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公明茨城県本部が現地調査
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 公明茨城県本部(本部長・鈴木孝治県議会議員)の原子力問題等調査特別委員会(委員長・井手よしひろ県議会議員、以下原特委と略称)は、平成9年8月29日、動燃東海事業所を訪れ、同事業所の山村修所長より説明の聴取並びに現地調査を行った。

 午後3時、調査団は同事業所に到着。まず山村所長は、「3月の火災爆発事故に引き続き、今回の放射性物質のズサンな管理には、県民の方々にご心配をおかけし、大変申し訳なく反省しております」と、深く謝罪するとともに、安全対策の徹底と一刻も早い廃棄物の撤去を約束した。

 その後、ウラン系低レベル放射性廃棄物の処理経過が説明された。また、地下水位等との関係や滞水の推移から外部への汚染水の漏出はないとの見解を示した。さらに、今後の対策として環境調査の方法や廃棄物の処理方法などを詳細に説明を受けた。

970829tyousa1  一連の説明聴取の後、原特委は屋外貯蔵ピットの現場に向かった。

 屋外貯蔵ピットの現場は、あっけないほど開放的な雰囲気であった。

 立入禁止の表示とロープが張り巡らされてはいるが、作業員も特に防護服を着ているわけでもなく、普通の建設現場といった様子であった。

970829ide  滞水が一番著しいNo2ピットのC槽の南側のマンホールを開き、ピットの中を直接目視で確認した。

 黄色く塗られたドラム缶が腐食し、斜めになったり、横倒しになっている状況が確認された。底には、水が溜まり、深さは1.3メートル程度あると説明された。

 このドラム缶の中に、本当に放射性の廃棄物が入っているのかと疑うようなズサンな管理の実態がそこにあった。

 現場を30分程度調査した後、事務所に戻り、山村所長、小山副所長らとの質疑応答に移った。(詳細は別項)

 予定を延長して4時40分、調査を終了して東海事業所を後にした。


井手県議と東海事業所幹部との質疑応答

井手県議

 防水工事の効果で、それまで漏洩していた滞留水がピット内に溜まり始めたとは考えられないか?防水工事の前までは、ピット外への放射性物質の漏洩があったのではないか?

山村所長

 現在は漏洩はなかったと考えている。しかし、それを証明することは出来ない。貯蔵ピット付近をメッシュに切ってボーリング調査を行い、漏洩がなかったことを証明したい。

 周辺環境への影響は、今日まで異常値はなかった。

 防水工事の際の施工法による隙間ができ、経年変化とともにひびが入ったのではないかと思う。

井手県議

 ピット内の滞留水の件は、東海事業所では早くから認識していたと言われる。しかし、動燃理事長は全く知らなかったと記者会見で述べている。事業所から本社への報告義務はなかったのか?

山村所長

970829yamamura  ピットに入れておけば廃棄物管理ができているとの認識だった。ドラム缶から漏出してもピットの中であれば管理ができているとの考えで、ドラム缶の腐食の状況等の報告は、本社にしていなかった。

井手県議

 東海事業所を経験されて、本社の理事クラスになった方がいるはずだが、理事長がこの事実を知らなかったことは理解できない。

山村所長

 当然、事業所長経験者が経営のトップに参画している。しかし、その者の認識もピット外に漏出はないという認識で、詳しい状況は知らなかったのではないだろうか。

井手県議

 27日に小山副所長に申し入れを行った。その際、ピットの改修ができないのは、予算が付かないからだとの回答だった。しかし、昨日の報道によると、改修のための建屋の予算等は、認められていたのにもかかわらず、他に流用していたことが報じられている。小山副所長から、先日の回答との乖離の説明をいただきたい。

小山副所長

 予算が認められにくいとの事情は説明した。保守、メンテナンスの予算は付きにくいとの話しはしました。私のこと場足らずであったことは訂正させていただきます。

山村所長

 予算上の虚偽の積み重ねで予算をとり続けた、との指摘をいただいている。私どもは、虚偽との認識はない。しかし、ピットの改修は、その廃棄物の処理を行う施設(UWTF)の建設と同時進行でなくては意味がない。ピットの改修予算は認められたが、処理施設の予算は認められなかった。そこで、ピットの改修を行っても、そこから出る廃棄物を持っていく先がないので、当面必要な予算先に振り替えて執行した。

井手県議

 予算執行に関して、科技庁の検査はなかったのか?

山村所長

 会計検査に問題はなかった。予算の名目上、認可を実行に振り替えたとき、実行の施行についての管理はされていたけれど、認可の項目に対する検査は入らなかった。項目間の予算の振り替えの裁量は、動燃内でできた。

井手県議

 その予算の振り替えは、誰の決裁によるのか?

山村所長

 事業本部が予算を持っている。本社事業本部長の決裁となる。





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