平成11年 第1回定例県議会本会議
速 報

<平成11年6月17日 月曜日 午後1時開議>

井手県議の水道料金引き上げに関する反対討論

平成11年6月17日


990617suidou_ide 公明党の井手よしひろです。

  会派を代表しまして第102号議案「茨城県水道条例の一部を改正する条例」に反対する討論を行います。

  県南及び県西広域水道事業の経営状況をつぶさに見てみますと、給水施設の整備や、高度浄水処理などに多額の投資が必要であること。水資源確保の国家的な要請による負担金が発生していること。給水地域の人口の集積が乏しため投資効率が低いことなど、広域水道事業の現状を私どもは理解するものです。

  平成11年度末の県南水道事業の累積赤字予想額は、3億4700万円。県西水道事業は、32億8400万円となり、このままこの状況を見過ごすことはできません。

  さらに、近い将来、県南水道事業では、施設の老朽化に対応するための投資が必要になります。県西水道も計画給水量の約半分近くの整備を今後進めなくてはなりません。

  人件費などの一般管理費の割合が低い水道事業においては、受益者負担の原則から給水を受ける自治体並びに水道企業団の負担増も余儀なくされてまいります。

  こうした厳しい状況を理解した上で、あえて私どもが値上げ案に反対する理由は、三点ございます。

  その第一点目は、「バブル崩壊後の平成大不況が、やっと底を打つか打たないかという重要な今の時期に、公共料金の値上げに直結しかねない水道料金を値上げすることは絶対に避けなくてはならない」という理由です。

  昨年11月、企業局長は、当時検討されていた値上げ案を取り下げる際、その理由の一つに「不況で県民生活への影響が考えられること」を挙げたと報道されています。県民生活の影響を考えるとき、むしろ現時点での値上げの方が、より深刻な影響を県民に与えると考えるものです。

  反対する第二点目の理由は、地元自治体の理解が、未だ得られていないということです。

  今回の値上げに関して、県南水道企業団議会をはじめ、守谷町議会、藤代町議会、竜ヶ崎市議会、取手市議会など多くの議会から反対の意見書が提出されております。

  また、筑南水道企業団と土浦市長よりは値上げの延期を求める要望書が提出されております。

  県と各市町村長との水道事業の実施協定書第7項によりますと、料金の決定については、「市町村は、県が決定又は改訂する供給料金に同意するものとする。」という条文があり、料金改定に地元市町村の同意は必要がない取り決めになっております。しかし、同項の但し書きで「県は供給料金の決定又は、改訂に当たっては、市町村の意見を聴くものとする」とあります。

  今回の県南広域水道事業について、企業局が真剣に地元市町村の意見を聴き、理解に努めたならば、これだけ多くの市町村、企業団から反対の声が起こるはずがないと判断するものです。この意味からも、今回の料金改正は、時期尚早だと主張するものです。

  そして、反対の第三の理由は、広域水道の中期的な経営ビジョンが不明確であるということを指摘したいと思います。

  昨年9月の第3回定例県議会で、自民党議員の質問に答え、企業局長は中期的経営計画の策定を明言しております。また、企業局では今年6月から民間人も含む「県企業局経営懇談会」を発足させ、中期経営計画の策定作業を急いでいると聞き及んでおります。

  地元市町村や企業団に料金改正の必要性をご理解いただくためにも、また県民への説明責任をまっとうする上でも、この中期計画の策定が必要不可欠なものであると確信します。

  将来的計画の裏付けのない拙速な料金改定は、県民の信頼を失い、今後の水道事業に禍根を残す可能性さえあります。

  以上三点の理由から、私ども公明党は、今回の改正案は白紙に戻す事を主張します。そして、景気回復の動向をしっかりと見定め、中期的な経営計画を綿密に策定し、その上で地元市町村、企業団の理解を得るプロセスを経て、必要最低限の水道料金改訂を再提案していただきたいとお願いするものです。

  討論の結びに、知事並びに企業局長に要望させていただきます。

  この水道料金改正に当たって、特定の政党の地方議員組織から申入書が企業局長に提出されております。その中で、水道事業の「実施協定」を、「地方自治法に反する」と批判しております。ご存じのようにこの「実施協定」は、県議会並びに各市長村議会の議決を経た協定書であります。その協定を地方自治法違反と断ずる事について、議会の信頼を失墜させる暴言であると私は認識し、県議会の末席に連なる一人として看過することはできません。問題の事実関係を精査の上、適正な対応をお願いするものです。

  さらに、同政党は「県南水道事業では、料金の値下げが可能」との、キャンペーンを当該市町村で行っておると聞いております。私は、近い将来、老朽化した設備の更新をどうするのか、単年度で赤字に転落した同事業をどのように継続させるのかという観点から、この主張を理解することはできません。企業局は、県民に誤解を与えぬよう、しっかりと水道事業の原則並びに現状と将来の展望を説明する責任があると存じます。

  以上二点要望させていただき、第102号議案への反対討論といたします。

  ご静聴ありがとうございました。




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