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991114toukai この資料は、99年11月13日と14日に茨城県那珂郡那珂町と那珂郡東海村で開催された、科学技術庁の周辺住民への健康に関する説明会で配布された資料「(株)ジェー・シー・オー東海事業所の事故による周辺への影響について<東海村及び那珂町の皆様方に対するご説明資料>」と、その際の説明をもとに作成したものです。
 内容についての責任は、作成者の井手よしひろにあります。
 リンクに関しては、自由に行っていただいて結構です。
 内容に関して発生した全ての問題に対して、作成者は一切の責任をとりかねます。
 写真:周辺住民300名以上が参加した東海村での説明会(99/11/14東海村立東海南中学校にて)

JCO臨界事故の線量評価の考え方

科学技術庁事故調査対策本部では、事故現場からの試料分析や、現在までの明らかになった事故状況をもとに、周辺環境への影響分析を進めてきました。
事故現場からの距離とそこにズットいた時間による、放射線量の理論的な基礎資料を公表しました。

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(株)ジェー・シー・オー東海事業所の事故の状況と周辺環境への影響について

平成11年11月4日
科学技術庁事故調査対策本部


1.趣 旨


 事故現場からの試料の分析等により現在までに明らかになってきた事故の状況と周辺環境への影響をとりまとめるとともに、それを踏まえた今後の対応を示すものである。

2.事故の状況

日本原子力研究所による沈殿槽内の試料の分析から、臨界反応により生じた核分裂生成物のうちの4核種について、ウラン1g当たりの核分裂数を1.44×1014〜1.55×1014個/g・ウランと算出した。
今回の作業で、沈殿槽に実際に投入されたウラン量は、指示書等の記録や転換試験棟内に残されていたビーカー内のウラン溶液の分析結果から16.6kgと推定することが適切である。
以上から、臨界反応による総核分裂数は、2.5×1018個と推定される。なお、事故現場近くで採取したステンレスの放射化分析から、総核分裂数を評価した結果は、2.4×1018個であり、上記の推定結果とほぼ一致する。
今回の臨界事故の初期の臨界反応の変化が大きい部分(以下、「パースト部」という)の核分裂数は1.2×1018個、その後の比較的なだらかに長時間にわたって臨界反応が続いた部分(以下、「プラトー部」という)の核分裂数は1.3×1018個と見積もられる。(別図参照)

3.理論的な基礎資料

 今回の臨界事故による周辺環境への影響に関しては、臨界継続時の周辺環境に達する中性子線量及びガンマ線の線量をとりあげれば十分である。
 周辺環境に遠する中性子線やガンマ線の線量評価については、周辺環境における時間、場所ごとに理論的に十分安全側にみた線量の基礎資料を作成し、各人の事故時の行動に応じて個人の線量を安全側に評価していくことが必要である。
 今回、敷地内外の中性子線及びガンマ線のモニタリング結果や上記の核分裂数から、周辺環境に達する中性子線やガンマ線の線量に関する理論的な基礎資料を暫定的に「理論的な基礎数値」としてとりまとめた。
 これは、仮にある人が表に示された距離に事故発生時から示された時刻まで屋外に滞在した場合の積算の線量を示しているものである。

4.実際の測定値に基づく線量評価

 臨界事故に伴う中性子線の放射化作用により体内に生成されたナトリウム24をホールボディ・カウンタで測定した結果に基づき、60人の方の線量の評価を行った。この中で、事故発生時から当日の午後4時頃まで、現場から約80メートル離れた所で、作業をしていた7人の一般の方のホールボディ・カウンタによる測定の結果は、下記のとおり中性子線とガンマ線の合計で約6〜15ミリシーベルトであった。

実際の測定の基づく線量評価
測定番号実効線量当量
中性子線とγ線
単位はmSv
6.4
14
15
13
11
6.6
9.3


5.実際の測定値に照らした理論的な基礎資料の位置づけ

 上記の7名の方の線量については、理論的な葦礎資料から見積もると30〜100ミリシーベルト程度となり、実際の測定値に基づく線量評価の値約6〜15ミリシーベルトよりも数倍大きくなっている。
 これについては、以下の理由から理論的な基礎資料の線量評価が安全側のものとなっており、実際よりも高い値を与えるものとなっていることが考えられる。、

理論的な基礎資料を作成する際、種々の処理・計算を行う過程において、一貫して安全側にたって条件設 定を行うため、全体として実際より高い値となる。
理論的な基礎資料を作成する際、屋外における線量のモニタリングデータを基に計算しているため、建物 の中や背後にいた人について、遮へいによる線量減少の効果が反映されておらず、実際より高い値となる。

6.今後の取組み

 理論的な基礎資料は、当面これが個人の線量を追跡していく時の助けとなるものとして用いられるが、今後、さらに計算等に用いた諸変数の精度の向上、動特性解析への再取慧み、一部遮へいのモデル化、関連する諸実験等により、基礎資料の精度を高めていくこととする。




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