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インターネット教室で着々
1996/4/1朝日新聞:3面「時々刻々」より転載


 カリフォルニアの活動は「ネットデー96(NetDay96)」といい、ホームページを開くと赤、黄、緑の色鮮やかなカリフォルニア州の地図が現れる。さらに情報を検索していくと、学校の所在地や生徒数、校長名など1万3千校のデータが読み出せる。インターネットの接続を支援するボランティアの登録もできる。

 インターネットの魅力は、ネット上にある行政機関や大学、研究機関などの情報、世界の新聞、テレビ情報を即座に入手できることだ。「ネットデー96(NetDay96)」では各学校が独自にホームページをつくり、学校間や学校と父母、地域の企業や研究機関との交流ができる。

 「ネットデー96(NetDay96)」の発案者でコンピューター技術者のジョン・ゲージ氏は「各学校にインターネットを接続しようという案には多くの人が賛成する。しかし、コストと労力を考えると実現には否定的だった」と振り返る。

 ところが、今年一月にホームベージを開設して以来、語学学校などが参加を申し出て、当初計画した学校数を2千校も上回る1万3千校に膨れ上がった。ボランティアの登録も、3月31日現在で約1万8千人にのぼっている。

 この計画にはクリントン大統領も全面支持を表明。1月の一般教書演説でも2000年までに全米の各教室にインターネットを接続する」と語った。心強い助っ人も現れた。米通信大手のAT&Tが2月末、インターネット接続事業への直接参入を発表。月20ドル弱で使い放題という定額料金を設定し、個人や学校のインターネット利用を促進するため、月5時間まで無料という特別サービスを始めた。

 同州コンコードにあるサンイグナシオバレー高校のボランティア代表の一人、チャーリー・メリルさんは「子どもたち一人ひとりが、インターネットを通して世界をかけめぐり、いろんは国の子供たちと交流ができるようになれば素晴らしい」と話す。

 日本でも、1994年に通産、文部省の後押しで財団法人コンピュータ教育開発センターが、全国の101の小中高等学校に対して、コンピューターの貸し出しとインターネット回線使用料の負担、技術的なアドバイスなどの支援をスタート(100校プロジェクト)。このときは1543校の応募があったという。今年5月からは、文部省とNTTが全国約1100校(96年度)の小中高校を募り、インターネット接続の支援を始めるなど、広がりを見せている。

 同センターのプロジェクトに参加している東京部港区立神応小学校では、ホームべージで他の参加校と情報を交換したり、外国の事情を調べたりする授業では、バチカン市国のホームページを探して、英文の説明を帰国生徒の児童が翻訳したりした。

 苅宿俊文教諭は「物事を細かく観察する『虫の目』や、事実関係を洗いだす『人間の目』は、これまでの教育でも指導できる。でも、幅広く大きな視点で見る『鳥の目』の教育はインターネットならではのもの。子どもたちは、電話やファクスと同じように自然に接している」と言う。

 インターネットは教育の現場を変える可能性があるが、プライバシー保護や「有害情報」の管理など、インターネットが抱えている問題が、そのまま教育現場に持ち込まれることにもなる。

 「インターネットは実際の社会と同じ。子どもが道を歩いていて、見知らぬ人か声をかけられるのと同じようなことがネット上で起こるだろう。いまのところ問題は生じていないようだが…!」と同小の斎藤等教諭はいう。

 新しい試みだけに、これまで経験しなかった問題だ。これについて通産省情報処理振興課は紙と鉛筆の教育では起きなかった陰の部分も必然的に伴ってくる。そこをどう解決するか、これから研究していきたい」と話している。

◇◇教育に関するインターネットサイトへのリンク
100校プロジェクト(100-School Networking project Home Pages)
茨城の100校プロジェクト:桜南小学校 HomePage
茨城の100校プロジェクト:笠間中学 HomePage
茨城の100校プロジェクト:岩井高校 HomePage
インターネットと教育に関するリンク集
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