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平成7年 第3回定例議会 一般質問の内容

1997/9/5に行われました、茨城県議会一般質問の内容を一部抜粋して掲載いたします。なお、本会議では、議員が一括して質問した後、知事または部長が答弁いたしますが、ここでは一問一答の形式で掲載いたします。

【質問:井手よしひろ】

 引き続いて、マルチメディア時代への対応についてお伺いいたします。

 2010年には、マルチメディア関連の市場規模は123兆円にも達するとの試算もあり、毎日のニュースを見ましても、マルチメディアとの言葉を聞かない日はないといっても過言ではありません。

 本県におきましても、この7月、都道府県では全国に先駆けて、インターネットのWWWサーバーを庁内に設置し、県内の情報を全国に、全世界に発信しております。

 さらに、今回の補正予算でも、インターネット活用推進事業費として約1千8百万円りが計上されております。

 勇退した佐川千秋・前県会議員が昨年の第4回定例議会の一般質問で提案し、私も2月の総務企画委員会でお伺いした内容を、早速にお採り上げいただき、こうした先駆的な事業を具体化された、知事はじめ執行部の方々に敬意を表するものです。

 さて、全国的な自治体のマルチメディアに対する取り組みを、新聞社のデータベースで検索してみますと、全国の10以上の地方自治体の間で、パソコン通信網を利用した新たな試みがスタートしました。

 静岡県では、「ふじのくに静岡情報」埼玉県は「彩の国さいたま情報」、東京都も「東京都情報」と題し、全国のパソコン利用者向けの通信ネットワークの「ニフティサーブ」「PC―VAN」に、県の情報を流すと同時に、行政に対する意見や質問を電子メールで募集する事業を始めました。

 また、大分県では、この夏から、NTTと共同実験を始めております。県庁や商店街、中小企業の事務所など約20カ所を光ファイバーで結び、各端末機を通して、商店街の売り出し情報などを紹介し、テレビ会議にも利用、新しい情報交換のやり方を模索しております。また、大分市内の病院と離島の病院など七カ所を結び、レントゲン写真を送り合う遠隔医療の実験も計画されております。

 政令指定都市においては、神戸市が、昨年10月から「インターネット」に、市政・観光情報を流して始めました。

 今年1月の阪神・淡路大震災では、神戸市は、地震発生の翌日から、このインターネットに震災状況や復興への取り組みを、文書や画像データの形で送り始めました。神戸市のインターネットには、震災後は一日一万件を超える、全世界からのアクセスがあったと報告されております。

 まさに、今年は「地方自治体のマルチメディア元年」であるといっても過言ではない状況です。

 さて、ここで、マルチメディアを巡る茨城県の位置を、具体的な数値で概観して見ることにいたします。

 本年度版の郵政省「通信白書」から、都道府県別の情報の発信量、受信量、そして蓄積量を計算してみますと、我が県のマルチメディアの分野での位置づけが鮮明になります。

 すなわち、県民一人当たりの数値で、情報の消費量は全国で5番目、提供を受けている情報量が全国13番目と、いずれも上位にあるのに対し、

 情報の発信量は全国29位、情報の蓄積量においては全国33位と、極端に低い状況になっております。

 我が茨城は、情報を発信する能力、蓄えて活用する能力が、全国平均をはるかに下回るという結果でした。

 本格的マルチメディア時代がくれば、単に経済的効果だけではなく、社会の各分野で革命的変化が、起こると言われております。

 マルチメディアは、距離と時間の制約を解き放ちます。海外や都会の新しい情報は、すぐ地方へ伝えられ、大都会と同様のサービスや文化を、簡単に享受できるようになり、反対に地方から全国に情報を発信することができるようになります。地方の持つハンデキャップは、限りなく縮小されていくでありましょう。

 地域開発や交通行政も、大きく転換を迫られるかもしれません。

 現に、アメリカのおいては、「ソーホー」と呼ばれる在宅勤務者の台頭によって、大都市近郊の自治体では、大都市への通勤者の伸びが止まり、交通インフラの整備を見直すか、否かの論議が始まったと、新聞報道されておりました。

 こうした激変に対して、地方自治体も、先駆的役割を担っていく必要があると、私は確信します。

 マルチメディアとは、その名の示すとおり、あらゆるメディアの結合体であります。

 行政の立場でいうならば、旧来の縦割り行政の手腕では、マルチメディアに、先駆的な役割を果たすことができないと思われます。私は、速急に、総合的なマルチメディアに関する施策を所管する部門を、庁内に設置する必要があると思いますが、いかがでしょうか?

 マルチメディア時代に対応する庁内の体制づくりについて、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

【答弁:橋本知事】

 マルチメディアに対応する庁内の体制づくりについてでございます。

 議員ご指摘のとおり、近年一部の地方自治体において、マルチメディアを活用した先駆的な事業への取り組みがス夕ー卜したところでございます。近い将来にま、光ファイバ等の情報通信基盤の整備や低価格で使いやすいパソコンなどの普及とあいまって、本格的マルチメディア時代がくると考えられており、今後、行政の各分野においても、その利活用が大きく進展するるのと考えております。

 県といたしましては、本年二月に「インターネット活用調査研究会」を設け、その利活用方策について検討してきたところですか、その結果、この七月三十一日に、「茨城県インターネット情報提供システム」の運用を開始したところでございます。すでに今日まで、県内外から約十五万件にるのぼるアクセスがあり、寄せられた意見も好意的なものが多くなっております。

 この八月には、政策立案、研究等への利活用方策を検討、調整する場として、庁内に「イン夕ーネット利活用推進会議」を設置したところであります。

 今後は、本格的なマルチメディア時代で向けてその利活用を図るため、新たな対応を図る必要があると考えております。

 また、県長期総合計画における「地域情報化推進プロジェクト」にありますように、県民生活を一層充実させ、県内産業の活性化を図るため、インターネットなどにより提供する情報の充実や、地域格差のない情報通信基盤の整備促進を図る必要があると考えており、情報化に関して総合的な調整機能をもつ推進体制について、検討してまいりたいと存じます。

【質問:井手よしひろ】

 さらに、現在、地方公共団体が導入している各種の情報システムは、部署毎に単独で、設置・運営されている閉鎖的なシステムです。利用者は、それぞれ別の窓口の端末でサービスを受けなくてはなりません。

 今後マルチメディア時代の、行政情報システムは、すべてのサービスを一つの窓口から受けられることを目指した「ワンストップ行政サービス」を実現させるものでなくてはならないと思います。

 私は、新庁舎建設や、行政改革の進行とも歩調を合わせて、こうした新時代の行政情報システム導入への準備を急ぐ必要があると思いますが、所管の総務部長のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。

【答弁:総務部長】

 新時代の行政情報システムの導入についてのご質問ですか、本県がこれまでに整備を進めて参りました行政情報システムは、個々の事務の効率化や高度化、さらには価値ある情報の蓄積を進めるなど、一定の成果を上げてきたものと考えております。

 今後は、これらのシステムの利便性を一層向上させるとともに、議員ご指摘のとおり、近年における情報通信技術の進展に対応した行政情報提供サービスを行っていく必要かあると考えております。

 このため、県におきましては新県庁舎の建設を契機といたしまして、個々のシステムを結ぶ全庁的な情報通信ネットワーク基盤の整備を推進するとともに、県が所有しております情報を県民が広く簡単に使えるよう、県民情報セン夕ーを整備するとともに、インターネットやマルチメディア技術を活用した県政情報の統合的な提供サービスを実現することとしております。

 また、ご提案のごさいました「ワンストップ行政サーヒス」を実現していくためには、行政改革が目指しております行政サーヒスの向上や行政投資の効率性の確保の面からも積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、その前提といたしまして、県はもとより、国や市町村などの行政機関全般にわたる制度、手続き面での改革、特に、電子化された情報の自由なやりとりや共有化を実現する必要があります。

 したがいまして、今後は、国や市町村などの関係機関とも充分連携を図りながら、県民の方々の情報ニーズの動向や社会経済情勢の変化に応じた柔軟で利便性の高い行政情報システムの整備を着実に推進してまいりたいと考えております。

【質問:井手よしひろ】

 さて、マルチメディア時代への庁内の対応につきまして、お伺いいたしましたが、次代を担う青少年の情報教育も、大変重要な課題でございます。

 学校における情報教育を進める上で、その中心的適役割を果たしますのがパソコンであります。本県におきましては、本年度から6年計画で、「第3次教育用コンピュータ整備計画」がスタートいたしました。この事業により、県立普通校には、一校当たり42台、一人一台のパソコンが整備されることとなっております。

 今年度は、磯原高校、緑岡高校、土浦一高など、15校が整備の対象と伺っております。

 導入される機器は、インテル社のペンチュームプロセッサと呼ばれるCPUを搭載する最新の機種であります。また、ソフトウェアも、マイクロソフト社の「ウィンドウズ」という、全世界を席巻している基本ソフトです。

 こうした最新の設備やソフトにより、21世紀の情報時代を支える高校生が、コンピュータに親しみ、その基本的な操作法をマスターすることは大変有用なことであります。

 そして、それ以上に、マルチメディアを使いこなす柔軟な発想を体得することの意義は大きいと思います。

 これまでの学校教育におけるコンピュータの利用は、あらかじめ用意されたソフトウェアを使い、データーを作成したり、検索するといった、いわば「内に閉ざされた」コンピュータの活用であったと思います。

 しかし、これからの時代は、無限に近い全世界の情報を、自ら探し、有効に活用し、さらに、自分自身が情報を発信していくという「外に開かれた」コンピュータの活用がどうしても必要になります。

 その意味で、学校という狭い枠を越えて、日本中を、否、世界中をパソコンでつないだネットワークへの対応が是非とも必要です。

 教室にいながらにして、「全世界からの情報に接し、自らの手で世界の友にメッセージを送る」その感動を、本県の好奇心あふれる高校生に味わってもらいたいと思います。

 そのためには、マルチメディア時代を視野においた、インターネット等への接続のためのモデムや、ISDNによる通信回線の確保、通信用のソフトウェア、インターネット・プロバイダーやパソコン通信サービスへの接続等、情報通信のためのハード面、ソフト面の整備を急ぐ必要があると思います。

 そこで、マルチメディア時代の情報教育を一層推進するための、コンピュータの整備の在り方について、教育長よりご答弁を頂きたいと思います。

【答弁:教育長】

 情報教育を推進するためのコンピュー夕の整備についてのお尋ねでございますが、高度情報化社会に向けて、これからの時代に生きる児童生徒の情報活用能力を育成するために、情報教育を充実させることは極めて大切なことであると考えております。

 本県の高等学校におけるコンピュー夕の整備につきましては、昭和六十年度を初年度とする第一次整備計画から、順次一校当たりの整備台数を拡充してまいったところですが、さらに、本年度からは、国の「教育用コンピュータ新整備方針」を踏まえて情報教育の一層の推進を図るため、第三次整備計画として、平成十二年度までに一校四十二台(一人一台)をレンタル方式により整備することとしております。

 議員の御意見にございます「外に開かれた」コンピュータの活用につきましては、県といたしましても力を入れて取り組んでいるところでございまして、例えば、平成三年度から、専門高校におきまして、パソコン通信ネットワークの整備を進め、授業の一環として、電子掲示板を利用した学校間の情報交換、気象衛星ひまわりの画像デー夕の受信、地域農業改良普及センターとの栽培情報の交換などを行っているところでございます。

 また、平成六年度から、小・中・高等学校各一校が、文部省と通産省の研究校に指定され、インターネットを活用し、国内外の学校などとの情報を交換したり、世界各地の情報を収集して、授業に活用しているところでございます。

 さらに、平成六年九月には、県教育研修センターをホスト局とするパソコン通信ネットワークを整備し、県内の小・中・高等学校が、さまざまな教育情報を、必要に応じて入手したり、発信したりできるようにしたところでございます。

 これらの施策に並行して県では、委員会を設置しまして、コンピュー夕を利用した学習指導の在り方、コンピュータネットワークの整備、将来を見通した整備方向など、情報教育の今後の在り方について総合的な観点から検討してまいったところでございます。

 その検討結果の一つとしまして、学校教育関係者に対し、必要・最適なソフトウェアの選択の機会を提供する「教育用ソフトウエアライブラリーセンター」の設置についての予算を、本議会で御審議いただいているところでございます。

 新しい情報機器やシステムの開発などが急速に進んでいる中で、児童生徒が教室に居ながらにして、全世界からの情報に接することができるようにするためにも、「外に開かれた」コンピュー夕の活用が益々大切になってくるものと思われますので、今後とも、マルチメディア時代の情報教育のなお一層の推進に努めてまいる所存でございます。




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