大井川和彦さんのホームページ
 7月7日付け茨城新聞に、自民党茨城県連の見開き全面広告が掲載されました。8月27日に投票を迎える県知事選の自民党推薦予定候補・大井川和彦さんと俳優の渡辺裕之さん、女子レスリング金メダリストの川井梨紗子さんとの鼎談記事です。この中で大井川さんは、知事選に臨む自らの政策の一端を語っています。
 井手よしひろ県議は、先日(2017/6/19)「茨城県政の展望と課題・県知事選の視点を考える」(http://blog.hitachi-net.jp/archives/51659131.html)との動画記事をブログに掲載しました。この視点から、大井川さんの提案を検証してみました。

評価できる「県独自の給付型奨学金創設」など教育への視点
 子どもは将来世代の主人公だけに、貧困問題は看過できない課題です。
 今日、問題になっているのが貸与型の奨学金制度ですが、社会に出れば利子を含め返済しなければなりません。貸与なので当然です。しかし、現実は返済の負担が重くのしかかり、その後の結婚や出産など、人生の設計そのものに大きな影響を及ぼしています。この教育(所得)格 差が続く限り、格差社会の一端は解消されないわけで、奨学金は制度の在り方そのものを見直す時期にきていると思います。
 国もやっと腰を上げ、貸与型から返済の必要がない給付型奨学金制度を導入する道を開きました。茨城も県独自の給付型奨学金の創設など、学びたい子どもたちが、お金の心配なく学へる教育環境を準えてやることが大切ではないでしょうか。
 また、価値観が多様化している現代に即した教育の実現も課題だと思います。私が株式会社ドワンゴで手掛けたネットの学校のように、さまざまな教育を誰で も好きなときに学べる環境の整備が重要になると考えます。特に、プログラミングなどIT教育には力を入れたいと思っています。これから、ITはあらゆる産業、社会生活に関わってきます。まさに第四次産業革命が起ころうとしている今、IT教育の充実は、まさに茨城県の将来を大きく変える力を秘めていると考えています。

 茨城県議会公明党は、県知事選の視点として、教育機会の格差解消問題を重要視しています。私立高校の授業料無償化もその発想から生まれました。「茨城も県独自の給付型奨学金の創設など、学びたい子どもたちが、お金の心配なく学へる教育環境を準えてやることが大切ではないでしょうか」との提案は全面的に支持します。ただ、所得要件や成績要件など、その制度設計は大いに工夫が必要です。また、給付型奨学金の要件として、地元茨城県にUターンすることなどを加味して、人口減少対策としても活用すべきではないでしょうか。IT教育の充実は、大井川さんの本領発揮の分野でしょう。特に、小学生などへのプログラミング教育は、是非実現して欲しいと思います。教員の養成など課題は大きいと思われます。
人口流出への対策の「必須アイテムは地域における医寮・ 福祉施策の充実」には同感
大井川和彦さんの対談記事
(超少子・高齢化社会を迎え、県北地域の人口流出が止まりません。何か対策はありますか。)県北地域に限ったことではなく、全県的な問題であり、一義的には市町村の取り組みが重要だと感じます。とは言え、単独では財政的にも大変なので、やはり、国、県の協力が必要です。私は、 その必須アイテムは地域における医寮・ 福祉施策の充実だと確信しています。
 地域で家庭を持ち、安心して子どもを産み育て、楽しい生活を保障する唯一の手段だからです。
先程、「再びのテイク・オフ時代を迎えている」と言いましたが、残念ながら、茨城は何十年たっても、今なお「医療後進県」から脱却できないでいますね。もう大胆な抜本的対策を考える時期にきているのではないでしょうか。
 これまで幾度となく政策課題に上っては立ち消えになってきた「医科大学」(仮称)の誘致、あるいは新設を白紙の状態からもう一度、具体的な調査、検討に入るべきと考えます。
 確かに、国の方針との整合性や財政問題など課題も多く、厳しい局面に立たされることは否めませんが、思い切った抜本策を打ち出さない限り、人口流出と医療後進県からの脱却という問題は解決しないのではないでしょうか。とにかく、新しい発想が必要です。
 「必須アイテムは地域における医寮・ 福祉施策の充実」との言葉には全く異論はありません。しかし、人口減少社会の中で「医療後進県」からの脱却手法を「医科大学」に求めるのはいかがでしょうか?本格的な人口減少時代に入った茨城県では、医科大学を整備し、その卒業生が茨城県の医療に従事するためのタイムラグは、余りにも長すぎます。現状では、筑波大学医学部の定員増などを国に働きかけることや寄付講座などで既存の医学部からの人材確保に予算を投入すべきでしょう。
 高齢化の時代にあっては、在宅医療の充実、産婦人科、小児科などの医師確保など、県民生活に身近な医療問題に力を注ぐべきです。そして、大事な視点が抜けています。子ども医療費助成制度の拡充です。県内すべての市町村で18歳までの医療費無料化を実現してもらいたいものです。

公共事業優先の県政運営には疑問
大井川和彦さんの対談記事
 県政を外から見ていて、確かに健全な行政運営(経営)は大事ですが、一方、果たして県民のための弾力的な財政運営が行われているのだろうかという疑問も感じます。もっと県民生活に直結した、新しい切り口の政策立案、実現に挑戦する積極的な財政運営を進めるべきと考えます。
 茨城発展の基軸が岩上、竹内県政を継承したトライアングル(鹿島、つくば、ひたちなか)開発にあることは否定できません。この3軸を結ぶ広域高規格幹線道路が常磐道、北関道、東関道水戸線、今年2月に県内全区間が開通した圏央道であり、これにつくばエクスプレス(TX)、茨城空港が加わり、県内の高速交通体系はそのネットワーク網が確立されることになります。
 報道で知りましたが、この道路構想(茨城港常陸那珂港区の経済波及効果を県北内陸部に誘導する新たな高規格幹線道路)は、平成5年時点で県がまとめた、いわゆる「県土60分構想」(水戸、つくば、日立、鹿島、筑西など、県内の主要都市を60分で結ぶ交通体系の整備)で検討さ れた経緯があるようです。しかし、県北の幹線道路は図上路線のままですが、平成10年代にも東西軸の「北関東北部横断道路(仮称)」が話題になったことがあると聞いており、幻の道路が復活するのかどうか、興味深い政策課題ですね。
 茨城県の財政再建は、現橋本県政の最大課題でした。それを考えると「果たして県民のための弾力的な財政運営が行われているのだろうかという疑問も感じます」との箇所は、どうしても気になります。もう一度、公共事業優先の県政に戻せと言っているような誤解を与えないでしょうか。
 また、「茨城発展の基軸が岩上、竹内県政を継承したトライアングル(鹿島、つくば、ひたちなか)開発にあることは否定できません」との言葉も、茨城県の実力を過小評価しているような気がします。「この3軸を結ぶ広域高規格幹線道路が常磐道、北関道、東関道水戸線、今年2月に県内全区間が開通した圏央道であり、これにつくばエクスプレス(TX)、茨城空港が加わり、県内の高速交通体系はそのネットワーク網が確立されることになります」にいたっては、首都圏の外郭に位置する茨城県の最大の武器を矮小化しています。高速道路網と茨城空港、TXは、茨城にひと・もの・かねを運び入れる生命線と捉えるべきです。その意味では、東関道水戸線の早期開通、圏央道の4車線化が最優先課題となります。TXの8両編成化による輸送量の増大、東京駅、羽田空港への乗り入れなどは優先順位が高いと思います。茨城空港への延伸が未来構想となると考えます。
 こうした優先課題に対して、「北関東北部横断道路(仮称)」の整備は投資と効果のバランスがとれないのが残念です。

なぜ、挑戦者らしく「東海第2発電所問題」に触れないのか?
 この鼎談記事を読んで、一番残念だったのは、「東海第2発電所問題」に全く触れていないことです。
 「来年秋には本県で湖沼の環境をテーマにした『世界湖沼会議』が開催されます。茨城にとっても、その豊かな自然を10年後、20年後も守り続けていくための重要な世界会議になると思います」と、大井川さんは環境問題に強い関心を示しました。「千波湖でたくさんのホタルが見られたら、きれいでしょうね。想像しただけでうれしくなります。自然から得られる恵みが、永遠であってほしいです」との言葉には説得力があります。大井川さんは出馬記者会見で、「東海第二原発の再稼働の判断には、住民投票も選択肢の一つ」(取意)と発言し、その後の原子力政策が大いに注目されています。
 「20年以上もの長期にわたり行政に携わってきた橋本県政には当然、多くの功績があります。しかし、いつの時代も転換期というものは訪れ、新たな時代への挑戦が始まります。茨城の場合、その転換期がまさに今であり、県政も将来の県勢発展に向けて、再びのテイク・ オフ(離陸)時代を迎えている気がしますので、県政も、新陳代謝が必要なのではないでしょうか」との大井川さんのアピールは県民の共感を得るでしょう。だからこそ、知事選挙の告示まであと1カ月余り。ぜひ、東海第2原発再稼働問題も含め、茨城県をどのようにリードするのか、さらに具体的な提言を聞きたいと思います。
(このブログで引用した大井川さんの対談記事は、2017年7月7日付け茨城新聞に掲載された広告記事です)