疑問が残る産業廃棄物処理
安全で効率的な産廃処理を……井手県議の見解
安全で効率的な産廃処理を……井手県議の見解
伊奈・谷和原丘陵部特定区画整理事業用地に不法投棄された産業廃棄物の撤去を巡っては、撤去事業費が40億円近くに上ることが、平成12年3月17日の県議会予算特別委員会の審議で明らかになりました。
業者が不法に投棄した産廃の撤去費用に、このような莫大な費用が掛かることには、県民の一人として憤りを感ぜざるを得ません。
また、その産廃処理の方法に関しても、不透明な部分があり、全面的に納得できるやり方ではありません。
以下に、平成10年度、11年度の廃棄物撤去事業の明細を、県土木部から提供を受け、転載いたしました。
私が指摘したい問題は2点あります。
その第一は、なぜ産廃処理がこのように小規模の単位に分割され、発注されているかという点です。
県が発注する公共事業の場合、5億円以上の事業は県議会の議決が必要になります。10億円以上の事業は、指名入札ではなく一般競争入札を行わなくてはなりません。
今回の産廃撤去工事は、総額が40億円という巨大のものでありながら、分離・分割されて発注されているために、議会の議決も受けず、指名競争入札に賦されて、工事が行われています。
なぜ、分割発注されたのか、引き続きその利用を明確にしていきたいと思います。
第2点は、なぜ一般の建設業者、いわゆるゼネコンに発注されたのかということです。
産廃撤去という独自のノウハウが必要なこの作業を、ゼネコンに請け負わせることは、いかがなものでしょうか?
ゼネコンが一括して受注した今回の産廃処理のスキムは、図−1の様になっています。
このシステムでは、ゼネコンが受け取る管理費分の経費が大幅に嵩むことになります。また、選別処理など効率的に見て欠陥がある方式を採用していると思われます。更に、こうした選別(中間処理)に経費を掛けるより、粗い選別(コンクリート片などだけを選別する)をして、直接管理型処分場へ処理をした方が、経費的にも安全性の確保のためにも、ベターだと思われます。
今回の産廃処理は、独自のノウハウを有する専門業者に、一般競争入札で発注すべきであったと思います。
今後とも、この産廃処理に関しては、注意深く監視し、県民に皆さまに情報をお伝えしててまいりたいと思います。
土 量 | 工 事 費 | |
平成10年度処理量 | 約116,000m3 | 1,047,511千円 |
平成11年度処理量 | 約117,000m3 | 1,471,050千円 |
平成12年度処理予定量 | 約110,000m3 | 1,300,000千円 |
合 計 | 約343,000m3 | 3,818,561千円 |
伊奈・谷和原の産業廃棄物処理現場では、掘り出した不法投棄産廃を選別し、管理型最終処分場や安定型処分場、そして再資源化へと振り分けています。
しかし、長年地中にあった不法投棄産廃にどのような有害物質が含まれているかを特定することは困難で、全量を管理型処分場への処分が望ましいと考えられています。
また、今回県が取った方式は、処分費が割高になるとの指摘があります。
産業廃棄物処理の専門家の試算によると、ゼネコンが処分を一括して請け負った場合、総費用1億円の処理の費用割合は、ゼネコンの作業・管理費が25%の2500万円、土木工事費が2000万円、選別処理費が2000万円、産廃の実際の処分に充てられる費用は3500万円にしかならない。一方、中間処理を簡略化して(80cm以上のコンクリート片などだけを選別する)、全量を安定型処分場で処分すると8000万円程度を処分費に充てられるといわれています。
図−1 伊奈・谷和原地区不法投棄処理フローチャート
ふるい分けに使用されているスクリーン・トロンネル
網目のドラムを回転させ、その中に廃棄物を含む土砂を通すことによって、土砂だけを選別する仕組み。
今回の現場のように、ビニールなども含む土砂を選別しようとすると、ビニールなどが網目を塞いでしまい、その都度機械を停止させ、取り出さなくてはならず、効率が非常に悪いと言われている。
参考:97年10月の産廃不法投棄問題について
参考:産廃不法投棄処理に40億円、産廃処理の中間報告
このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。 |