7月13日、井手よしひろ県議ら県議会防災環境商工委員会のメンバーは、徳島県庁を訪れ、鳥獣被害の実態やその対策などについて、消費者くらし政策課、農山漁村振興課、環境首都課などの担当者から説明を聴取しました。
徳島県では、シカ、イノシシ、サル等の野生鳥獣により、平成28年度は1億1260万円の被害が発生しました。被害面積は64.6ヘクタールに上ります。平成22年度の1億5590万円の被害から比べると、様々な対策が功を奏し、28%程度減少しています。獣種別の被害額では、シカが4213万円、イノシシ3665万円、サル2649万円などとなっています。昨年度は、シカの害がイノシシを抜いてトップとなりました。
対策としては、侵入防止柵(電気柵を含む)を平成11年度以降、1758キロ整備しました(電気柵は642キロ)。捕獲檻1174基を整備しました。捕獲したシカ、イノシシなどを食用に提供する獣肉処理施設(ジビエ処理施設)を県が1か所、交付金で3か所整備しました。民間が自己資金で整備した施設も3施設あり、合計で7施設あります。
また、ニホンザルなどの野生鳥獣を追い払うために、”モンキードック”の養成を行っています。28年3月末で6市町村で累計56頭のモンキードッグが導入されています。
さらに、ジビエの利用拡大に努めています。シカ肉等の利用拡大を図るために、ガイドラインを整備し、そのガイドラインに則した処理施設から出荷された安心・安全な獣肉を「阿波地美栄」として、ブランド化を目指しています。「阿波地美栄」の認知度向上・消費拡大を図るために徳島県は、ホームページでの広報充実や情報誌等の活用、各種イベントへの出展、加工品の開発などの支援を行っています。
「阿波地美栄」料理を提供する飲食店を「うまいよ!ジビエ料理店」として認定しています。平成29年3月現在で27店舗が認定されています。
ジビエとして提供されるシカの処分等数は全体で400頭余り、まだまだスケールメリットが出る規模ではありません。
一方、鳥獣を捕獲する人材の確保や出没情報の共有などにも力を入れています。
徳島県でも狩猟者の減少や高齢化により、捕獲の担い手が不足しています。狩猟者の7割が60歳以上となっています。そこで、狩猟免許の試験を年2回から3回に増やす。国立大学、農業大学などでの次世代狩猟者育成のための出前授業などを行っています。
また、ユニークな取り組みとして有害鳥獣の出没情報を専用のインターネットサイトで収集、発信しています。「野生鳥獣ウェッブサイト『ここいた!ケモノ調査隊』」を開設しました。このサイトは、スマホなどを活用して、イノシシやシカ、サルなどを見つけた場合、写真を撮影し投稿すると、グーグルマップ上に掲載し、情報が共有できるというものです。野生鳥獣ウェッブサイト『ここいた!ケモノ調査隊』・http://kokoita-web.com
防災環境商工委員会との質疑応答、意見交換では、地域住民の協力をどのように取り付けるか、ジビエ料理の普及・拡大は実際にはうまくいっているのか(ジビエ店舗が経営的に成り立っているのか)、ここいた!ケモノ調査隊のウェッブサイトをさらに使いやすくすべきといった発言がありました。