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Q12:ホームヘルパーの質的充実は図れるのか?

タンの吸引はなぜ出来ない。一回2時間で何が出来る。

茨城県におけるホームヘルパーの不足は、深刻なものがあります。平成8年の実績で平成11年の老人保健計画の目標に対する達成率は1/3に過ぎません。その上、市町村が採用を予定するヘルパーの人数を足しても57.6%にしか達さないという深刻な状況です。
 参考:茨城県の老人保健計画達成の状況

 その上に、そのヘルパーの資質や派遣の体制にも数々の問題を抱えています。

 介護保険制度の根幹とも言うべきホームヘルパーの充実は、深刻かつ重大な問題となっています。

ここが問題!!

たん吸引は代われず 家族の疲れ増すばかり

「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」の患者の場合は、筋力の低下、萎縮から呼吸まひに陥る難病で、腕も足も動かなくなり、呼吸も人工呼吸器が「命の綱」となってしまいます。 在宅での介護の場合は、24時間ヘルパーの支援がどうしても必要になります。
 しかし、その際一番要望が多いのが「たんの吸引をヘルパーさんにしてもらいたい」ということです。しかし、市町村の福祉担当は、「医療行為に当たるのでヘルパーは手が出せません。もし、善意で行為に及んだ場合、事故が起きたら、責任が問われるのは自治体です」。との返事。ヘルパーさんが来てくれても、外出もできない。ゆっくり休養もとれない、そのため、心身の疲れが取れないという悪循環が続いているのです。

床ずれの治療も「禁じ手」

 寝たきりの男性Aさん(75)。脳血管障害で両手足が硬直して、床ずれがひどくなってしまいました。背中などに4カ所。大きいのは直径7センチ、深さ5センチほどで、赤くただれ、骨が見えるほど。
 Aさんの妻は、介護疲れによる腰痛で、おむつ替えもできない状態です。
 「血行をよくすれば治るかも」と考えたヘルパーのB子さんらは、ある病院で効果があったという「お茶がら湿布」を試してみました。お茶がらを煮た汁でしぼったタオルを、傷口の周囲に置き、両手で軽く押し続けます。タオルが冷めると、取り換える。一時間半も続けると、血の膿がにじみ出てきます。それを妻がふき取り、乾かして薬を塗りました。体位交換なども組み合わせ、湿布を1日おきに続けると、3週間後、肉が盛り上がり始め、5カ月ほどで完全に直りました。
 以来、B子さんらは、床ずれを訴えるお年寄りの症状に応じて工夫をこらし、おかげで病院で出来た床ずれが、在宅で治すことができるようになりました。
 しかし、これはヘルパーの仕事としては「禁じ手」なのです。

摘便・浣腸も御法度

 独り暮らしの男性(78)が、半月以上も自力で排便できず苦しんでいた。ヘルパーC子さんがおむつをはずすと、コチコチの硬い便が出かかっている。見かねて指でかき出すと、おなかは栓が抜けたようにすっきりしました。ところが、それを聞いた医師は「摘便は医療行為。なぜ119番しないか」とCさんを強く叱責しました。
 床ずれの手当てやタンの吸引、摘便のほか、ヘルパーが禁じられている医療・看護行為はたくさんあります。
 血圧測定、服薬、かん腸、下剤や経管栄養食など、体に何かを入れたり出したり、症状を判断したりすることは全て医療行為となります。
 手が使えない人に、代わって目薬をさすこともできません。体調の目安となる血圧も、「高い、低い」と、結果を告げてはいけないのです。

散髪もヘルパーさんがやると違法行為になる

 医療行為だけではなく、理容・美容でも「禁じ手」が数多くあります。
 髪を洗って乾かし、クシを入れて、衛生上カットするのは問題ありませんが、散髪、化粧、マニキュア、香水などは法令に違反するとされています。

週2回2時間の派遣は出来て、週1回4時間の派遣はどうして出来ない

 ヘルパーさんの資格の問題もさることながら、その運用の問題も大きい。
 現在の措置制度の中では、一回のヘルパーの派遣単位は2時間となっており、それ以上の長時間のサービスは受けられない。
 家事の手伝いなどの単純なヘルプであっても、2時間でどれだけのことが出来るのか、4時間と6時間とまとまった介護のを受けることへの要望は高まっている。

このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。