身体拘束に関するアンケート結果
6割の介護施設が身体拘束を行う

 介護保険導入に伴い、介護保険施設などにおいてベットや車椅子に縛り付けるなどの身体の自由を奪う「身体拘束」が原則として禁止されました。茨城県においては、「県身体拘束ゼロ作戦」を展開し、身体拘束をなくすための取組に全力を挙げています。
 平成13年度には、特別養護老人ホームなど県内の513の介護保険施設と利用者・家族に対して「身体拘束に関するアンケート調査」を行いました。
 その結果、回答を寄せた299施設中180施設で、何らかの身体拘束が行われていることが判明しました。施設全体では、6割以上の施設で身体拘束が行われていることになります。特に、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群など比較的長期に利用者が入所する施設では、身体拘束を行っている施設が8割近くに上っています。(特養75.95%、老健77.61%、療養型77.55%)
 具体的な身体拘束の事例では、ベット柵を4本つけてベットを取り囲む(62.22%)、車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける(48.33%)、脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる(45.56%)、車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける(40.56%)などが4割以上の施設でみられました。(複数回答あり)
 こうした身体拘束をなくそうとする取組は、ほとんどの施設で行われていますが、4カ所の施設では行われていないとの回答があり、県の指導の甘さが露呈されています。また、身体拘束マニュアルなどを定めるとした施設は、81カ所(全施設の26.9%)にとどまり、今後の具体的な課題となっています。
 利用者本人・家族への説明とその受け止め方では、施設側は利用者本人対して90%、家族に対して95%説明を行っていると回答していますが、利用者側では38%が、家族では20%が説明を受けていないと回答し、身体拘束に関する説明が十分に行われていない実態をしましています。さらに、利用者の30%、家族の13%が説明は必要ないと回答し、身体拘束ゼロへの認識がむしろ利用者や家族の側で低い傾向が判明しました。
 介護保険制度では、やもおえず身体拘束を行う場合は、その記録をつけることが義務づけられていますが、記録を行っていない施設が36施設(11.8%)あり、その内容も身体拘束の実施者や責任者を明示していないところが7割以上に上っていました。
 茨城県では、こうしたアンケート結果をもとに、茨城県身体拘束ゼロ作戦推進会議を開催し、平成13年度中に、身体拘束廃止に関するパンフレットの作成、介護者用手引きなどを作成するとともに、シンポジュームを開催する計画です。さらに、平成14年度には相談窓口の設置や身体拘束をなくす取組の事例発表会などを計画しています。

施設別の身体拘束の有無
 県内施設数回答数拘束あり拘束なし拘束%
特別養護老人ホーム10279601975.95%
老人保健施設7067521577.61%
療養型病床群6649381177.55%
痴呆グループホーム22170170.00%
特定施設生活介護11117463.64%
短期入所介護10449202940.82%
短期入所療養1382732411.11%
合計51329918011960.20%

回答を寄せた299施設中180施設で、何らかの身体拘束が行われていることが判明しました。施設全体では、6割以上の施設で身体拘束が行われていることになります。特に、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群など比較的長期に利用者が入所する施設では、身体拘束を行っている施設が8割近くに上っています。(特養75.95%、老健77.61%、療養型77.55%)

身体拘束行為の実施状況
 施設数割合身体拘束を受けている利用者数
徘徊防止のためベットや車椅子に手足を縛る52.78%11
転倒・転落防止のためベットや車椅子に手足を縛る52.78%15
ベット柵2本使用し固定する、または高い柵を使用する2413.33%162
ベット柵を4本つけてベットを取り囲む11262.22%983
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、手足を縛る2815.56%44
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、
ミトン型の手袋を使う(手足の自由を奪う道具や工夫をする)
3821.11%69
車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける7340.56%234
車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける8748.33%452
車椅子等から立ち上がらによう、腰ベルト(紐)をつける2916.11%81
車椅子等から立ち上がらによう、Y字抑制帯をつける4223.33%119
車椅子等からずり落ちないよう、テーブルをつける2111.67%52
車椅子等から立ち上がらないよう、テーブルをつける126.67%29
脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる8245.56%259
必要以上yの眠気や脱力、精神作用を減衰させるために薬を使う10.56%1
鍵の掛かる部屋に閉じこめる21.11%5
拘束をしている施設数180延べ合計数2,516
拘束をしている施設の利用者総数11,928全体の割合21.09%

具体的な身体拘束の事例では、ベット柵を4本つけてベットを取り囲む(62.22%)、車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける(48.33%)、脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる(45.56%)、車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける(40.56%)などが4割以上の施設でみられました。(複数回答あり)

身体拘束に対する認識
 施設管理者本人家族
回答者数拘束であるどちらとも言えない拘束ではない回答者数拘束であるどちらとも言えない拘束ではない回答者数拘束であるどちらとも言えない拘束ではない
徘徊防止のためベットや車椅子に手足を縛る29828796.3%83965658.3%241624713755.5%6941
転倒・転落防止のためベットや車椅子に手足を縛る29828495.3%122964647.9%311924511647.3%6564
ベット柵2本使用し固定する、または高い柵を使用する29220871.2%4935953536.8%34262495923.7%83107
ベット柵を4本つけてベットを取り囲む29316957.7%7549953031.6%33322534819.0%77128
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、手足を縛る29219767.5%6035934043.0%31222496024.1%70119
点滴・中心静脈栄養・経管栄養等のチューブを抜かないように、ミトン型の手袋を使う(手足の自由を奪う道具や工夫をする)29317660.1%7542933537.6%31272514116.3%75135
車椅子等からずり落ちるないよう、腰ベルト(紐)をつける29517057.6%6263952223.2%28452553011.8%61164
車椅子等からずり落ちるないよう、Y字抑制帯をつける29617759.8%6455962222.9%29452593312.7%68158
車椅子等から立ち上がらによう、腰ベルト(紐)をつける29422877.6%4026932931.2%35292515521.9%85111
車椅子等から立ち上がらによう、Y字抑制帯をつける29122878.4%4023932830.1%34312436426.3%87102
車椅子等からずり落ちないよう、テーブルをつける29116356.0%6860931111.8%39432492811.2%83138
車椅子等から立ち上がらないよう、テーブルをつける29020069.0%5733931617.2%37402484317.3%90115
脱衣・おむつ外しを防ぐため、介護衣(つなぎ)を着させる29519164.7%6341932324.7%31392613413.0%68159
必要以上の眠気や脱力、精神作用を減衰させるために薬を使う29426891.2%206913538.5%391724815462.1%8529
鍵の掛かる部屋に閉じこめる29627191.6%214924852.2%261825015361.2%6136
フロアの入り口に施錠をする29116857.7%6756902831.1%33292517529.9%7597
命令や指示などの言葉29020671.0%6024902730.0%42232498935.7%11050

身体拘束廃止への取り組み状況
身体拘束への取組あり301
取組なし4
具体的な取組
介護・看護職員の増員8628.57%
運営方針の明確化・職員の意識向上20869.10%
ケアの創意工夫11237.21%
研修や会議の開催18962.79%
研修への派遣22173.42%
ベット・椅子などのハード面関係者との連携6421.26%
ハード面の環境整備3210.63%
ヒアリ・ハット分析16655.15%
身体拘束マニュアルなどを定める8126.91%
その他237.64%

身体拘束をなくそうとする取組は、ほとんどの施設で行われていますが、4カ所の施設では行われていないとの回答があり、県の指導の甘さが露呈されています。また、身体拘束マニュアルなどを定めるとした施設は、81カ所(全施設の26.9%)にとどまり、今後の具体的な課題となっています。

利用者・家族への説明
本人への説明
施設責任者240 本人家族181 
行っている14158.8%本人が常に説明を受けた6636.5%
必要に応じて行っている9439.2%本人が時々説明を受けた4726.0%
行っていない2510.4%本人が説明を受けていないので、説明をしてほしい147.7%
本人が説明を受けていないのが、説明は必要がない5429.8%

家族への説明
施設責任者251 家族240
行っている21384.9%家族が常に説明を受けた119
必要に応じて行っている2911.6%家族が時々説明を受けた72
行っていない93.6%家族が説明を受けていないので、説明をしてほしい18
家族が説明を受けていないのが、説明は必要がない31

利用者本人・家族への説明とその受け止め方では、施設側は利用者本人対して90%、家族に対して95%説明を行っていると回答していますが、利用者側では38%が、家族では20%が説明を受けていないと回答し、身体拘束に関する説明が十分に行われていない実態をしましています。さらに、利用者の30%、家族の13%が説明は必要ないと回答し、身体拘束ゼロへの認識がむしろ利用者や家族の側で低い傾向が判明しました。

身体拘束の記録
記録なし3611.8%
記録あり27088.2%
 時間帯15651.0%
実施場所11537.6%
心身の状況16553.9%
実施方法17155.9%
実施する理由18660.8%
行うかどうかを決める協議への参加者7123.2%
責任者8026.1%
実施者8628.1%
実施後の点検・検討11738.2%

介護保険制度では、やもおえず身体拘束を行う場合は、その記録をつけることが義務づけられていますが、記録を行っていない施設が36施設(11.8%)あり、その内容も身体拘束の実施者や責任者を明示していないところが7割以上に上っていました。

このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。