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2001年10月19日、バリアフリーチェックプロジェクトに所属する障害者や介助者ら約10人がカシマスタジアムを訪れ、JR鹿島神宮駅からスタジアムまでのアクセスや、スタジアム内の障害者用施設などを実地調査しました。
車いす席からの視界(サイトライン)や車いす用トイレの使い勝手などについて障害者の視点から観察し、チェックシートの各項目に採点し、改善点などを書き込みました。
カシマスタジアムはW杯仕様の拡張工事で、車いす席140席と車いす用トイレ22所が設置されています。障害者席は、介助者と一緒に座れるようにはなっていますが、一般席と分離されているため、家族やグループで観戦することはできません。当日、カシマスタジアムを調査した丸山武さんは、車いす使用者の視点で「一階席最前列の車いす席は観戦しやすいと思うが、一般席と隔離された感じで受け入れ難さもある。また、車いす用トイレのドアの開閉が困難なのと、一階席上部の車いす席の視界が前席の観客が立ち上がると、遮られて観戦し難いなどの改善点もあった」と、地元紙のインタビューに答えています。(2001/11/20付け茨城新聞より)
公表された調査結果によると、(1)最寄り駅(2)駅からのスタジアムまでのアクセス(3)スタジアムの設備の3点を点検し、エレベーターの有無やトイレの使い勝手、車いす席からの視界(サイトラン)など約30項目について採点。500点満点で総合点を付け、A〜Dの5ランクに分け、評価しました。
カシマスタジアムの総合点は285点で、全国で9番目の「C」評価。
最寄りのカシマサッカースタジアム駅は、エレベーターがなく、車いす利用者のトイレがないことなどから全国で唯一「D」評価となりました。
スタジアムについては、車いす席の一部がフィールド内にあり、一般席と分離されていることや、一階上部の車いす席は前の観客が立ち上がると視界が遮られることなどを理由に「B」評価となりました。(車いす席の設備状況:公式ホームページより):リンク切れ
ユースフォーラムのホームページでは、「車いす席は基本的に当事者、介助者の専用として考えられており、車いす席と一般席の間は完全に分断され、相互の移動が出来ない構造になっている。通行の便を考えたとのことだが、家族・グループ観戦の場合はどうなるのか?」との指摘が掲載されています。
こうした評価に対して県では、早速男女共用であった障害者用トイレを別々に分けるなど、応急対策を講じています。
しかし、鹿島神宮駅やカシマスタジアム駅へのエレベータや障害者用トイレの設置は、W杯には間に合いません。対策は大会ボランティアによる介助に頼るほかないようです。
また、障害者用の椅子席については、「入り口からほとんど高低差なしで入退場できる。最前列という最高のロケーションで、間近にプレーを観戦できる」と、一部ファンにはたいへん高い評価を得ていることも事実であり、今回の指摘は大きな議論の余地を残した結果となりました。
チェック箇所 | ポイント (/満点) | マイナスポイント | |
---|---|---|---|
駅 鹿島神宮駅 カシマスタジアム駅 | 50/200 | ホーム〜改札 | ・階段しかない:-30 ・改札の幅(どこも通れない):-30 |
トイレ | 車いすトイレがない:-50 (視覚障害者−要チェック) | ||
聴覚障害者の情報保障 | 公衆FAXなし:-10 | ||
外国人向けの情報保障 | 日本語のみ:-30 | ||
計:150点マイナス | |||
駅〜競技場 | 100/100 | なし | |
競技場 県立カシマスタジアム | 115/200 | 入口 | ・一般客と入場口が異なる:-10(避難経路:要調査) ・客席の分離がある(観客席の):-15 |
車いす用観客席 | ・アウェイ側座席がない:-15 ・視線:-10(1回最前列席の分はプラスだが、 最後方の席はマイナス) | ||
トイレ | ・車いす席に対して数が少ない(5〜10人 に一つ) :-5 ・扉が重くて開けにくい:-10 ・水洗ボタンが一つしかない:-5 | ||
エレベータ | 車いす専用になっている:-15 | ||
計:85点マイナス | |||
総計:265/500 |
参考:カシマスタジアムの施設概要:リンク切れ
参考:<日本―在日―韓国>ユースフォーラムのホームページ
参考:障害者インターナショナル(DPI)日本会議のホームページ:リンク切れ
このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。 |