臍帯血の私的保存について
「赤ちゃんが白血病になった場合、自分の細胞が治療に使える」と、お母さんの臍帯血を冷凍保管しする民間バンクが事業を拡大しています。
民間バンクの費用は10年間保管で12万円。3年間で約2000人の臍帯血を採取し、毎月約100人からの申し込みあるといわれています。
少子化の影響で赤ちゃんを大事に育てようとする親の心理もあり、民間バンクに臍帯血を保管しようとする親が増えているのが現状です。
一方、公的臍帯血バンク「日本さい帯血バンクネットワーク」は、民間企業による臍帯(さいたい)血の保存事業について、「安全性と有用性に疑問がある」として懸念を示す声明を発表しました。
さい帯血の私的保存について
近年、赤ちゃん自身のためにさい帯血を保存しましょう、という企業の宣伝によって、ご出産に際しそうした会社と契約を結ばれている方がおられるようです。この私的なさい帯血の保存は「日本さい帯血バンクネットワーク」とは全く関連ありません。ここに一般の方が契約する場合の注意点をまとめましたので参考にして下さい。
凍結保存した細胞を、将来白血病などの治療のための移植に使用するには、十分な細胞数が必要です。
世界的に、移植する患者さんの体重1kgあたり2000万個以上の細胞が必要とされています。保存を依頼する場合には細胞数を確認してください。また、その会社で用いる方法では、あとで細胞を融解したときにどれくらいの細胞が生きているかも確認してください。
「将来いくらでも細胞を増やせる」というのは、まだ確立された技術ではありません。
細胞を培養する場合には細菌の混入など、厳密に検査をする必要があります。また保存状態により、その後の培養が成功しないことがあります。
移植を受けるときは全身の抵抗力が弱っています。せっかくの移植用の細胞に細菌などが 混ざっていると危険です。
さい帯血の採取時に細菌の混入する危険性のないことについて確認してください。
私的に保存したさい帯血をご本人の移植に使う可能性はほとんどありません。
白血病など造血器疾患の発生率は10万人に数人で、そのうちで移植が必要になる患者さんは2〜3割とされています。つまり、移植が必要になる可能性は10万人に1人程度です。
世界的に自己のさい帯血を用いた移植について、確かな臨床的データはありません。
現在、造血細胞移植が必要となる病気にかかった場合、自分の骨髄細胞を使うか、骨髄バンクやさい帯血バンクを利用するのが一般的であり、これらは確立した治療法になっています。しかし、自己さい帯血移植についてのデータはほとんどありません。
日本さい帯血バンクネットワークの保存数・登録数は毎月着実にのびています。
さい帯血移植では白血球型(HLA型)の一部が異なっていても移植が行えるため、造血細胞移植が必要な時に適合さい帯血がない、という事態はかなり減少しています。
「日本さい帯血バンクネットワーク」は、公正・安全・迅速にいまご病気の方の役に立つために活動しています。この事業への末永いご支援をお願いいたします。
参考:私的臍帯血保存について(東京都赤十字血液センター臍帯血バンクのHPより):リンク切れ
参考:民間自己臍帯血保存事業者「ステムセル研究所」のホームページ:
このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。 |