日立市平和の鐘
保有国と非保有国の対話促し、核軍縮を着実に推進
 72回目の終戦記念日にあたり、先の大戦で犠牲となられた内外の全ての方々に謹んで哀悼の意を表すとともに、ご遺族ならびに今なお深い傷痕に苦しむ戦傷病者の皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
 かつての独善的な軍国主義が引き起こした植民地支配と侵略は、多くの国々、とりわけアジア・太平洋地域の人々に塗炭の苦しみと損害をもたらしました。
 8月15日は、この戦争の悲惨さと残酷さを後世に伝え、「不戦」と「平和」を誓い合う日です。二度とこのような悲劇を繰り返してはなりません。
 わが国は戦後、「国民主権主義」「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」の3原理をもつ日本国憲法の下で今日まで平和を享受し、社会の繁栄を築くことができました。公明党は今後も平和国家の基礎としてこの憲法3原理を堅持してまいります。
 私たちは、国連で核兵器禁止条約が採択されてから初の終戦記念日を迎えました。7月7日、122カ国の賛成で採択された核兵器禁止条約は、史上初めて核兵器を違法とする規範を打ち立てました。これは「核兵器のない世界」に向けた大きな一歩です。
 しかし、核兵器の非人道性を根拠に条約採択を推進した国々と、核抑止論の必要性を主張する核保有国との溝は深まりました。今、大事なことは、まず、核廃絶に向けて現実的に可能なことは何か、このことについて核保有国と非核保有国が対話をすべきであり、唯一の被爆国である日本にはそれをリードする責務があります。その対話の結果として、核軍縮を着実に進め、「核兵器のない世界」をめざします。
 核兵器と弾道ミサイルの開発に執着する北朝鮮は、日本にとって新たな段階の脅威となっています。この現実を踏まえ、国連の制裁決議の履行を加盟国に求めると同時に、米国、中国、韓国と連携して外交による北朝鮮の非核化を実現する必要があります。
 また、「核兵器のない世界」と同様に重要なのが、武力紛争の芽を早期に摘み取る「戦争のない世界」をめざす行動です。
 国連加盟国が昨年1月から2030年をめざして取り組んでいる持続可能な開発目標(SDGs=エスディージーズ)は、まさにそのための行動と位置付けることができます。
 貧困撲滅や健康増進、教育の拡充、さらにクリーンエネルギー開発や経済成長までも目標に掲げているSDGsは、全ての国が人権を尊重し活力ある社会を築くことで紛争の温床を絶つことが目的です。これは、公明党が推進してきた、欠乏と恐怖から個人を守る「人間の安全保障」そのものの実践であり、平和への確かな道です。
 公明党は「平和の党」の使命と責任を肝に銘じ、世界平和にさらなる貢献をしていくことを重ねてお誓い申し上げます。
2017年8月15日
公明党

日立駅前に建設された「平和の鐘」と「ワールドワイド・ピース・マーカー」
 「平和の鐘」は、終戦50周年の1995(平成7)年8月15日に、永久に戦争のない平和な世界の実現を願う日立市民の心の表象として、戦災者への慰霊の意を込め、建設されました。清水目千加子さん作の「平和の鐘…祈り」や日立市ゆかりの作曲家吉田正氏の曲などが、カリヨンという14個の鐘によって奏でられます。
 「ワールドワイド・ピース・マーカー」は、アメリカの造形作家ティーテ・バッケローさんの発案で、世界198ヵ国に世界平和の象徴としてひとつずつステンレス製マーカーを設置し、世界平和の啓発に努めることを目的としている事業で、日立市は日本で唯一の設置都市として選ばれ、終戦60周年の2005(平成17)年8月15日に、「平和の鐘」の脇に設置されました。