リニア中央新幹線
JR東海が8年8ヶ月間、総額約9億3000万円で借り受け
 JR東海がリニア関連の製造拠点を、茨城町の茨城中央工業団地に整備することが分かりました。
 8月17日、 井手よしひろ県議は、県事業推進課長よりヒアリングを行いました。説明によると、JR東海が計画するリニア建設プロジェクトの一環で、従来の鉄道のレールなどに当たる軌道部(ガイドウェイ)の側壁を製造します。16日までに県とJR東海は、茨城中央工業団地の工業用地4.3ヘクタールについて、2026年3月末までの貸借契約を締結しました。今後も隣接する2区画について段階的に貸借契約を結び、最終的に計12.2ヘクタールを一体的に活用する計画です。
 茨城中央工業団地はリース方式で、工業用地を貸し出す方式となっており、リニア新幹線の工事が終了するまでの一時的な使用となります。貸付用地するのは4号区画(9.4ヘクタール)と5号区画(2.8ヘクタール)の2区画。貸付単価は4号区画が年額988円/m2、5号区画が896円/m2。3日に分けて段階的に拡大して貸し付けます。全区画貸し付けした時点の貸付額は年額1億1814万円となります。貸付期間は平成29年8月から平成38年3月までの8年8ヶ月間。累計の貸付総額は、ブログ管理者の推計によると9億3000万円となります。

茨城中央工業団地
JR東海は、この用地で工場などを新設し、リニア新幹線の品川駅から神奈川県内までの区間のガイドウェイ側壁を製造します。ガイドウェイは、リニア車両を推進・制動する機能を持ち、側壁のほか、地上コイル、車両走行路などで構成されます。工場では、リニア車両を稼働させるために必要な電動コイルの埋め込み作業や側壁製造に必要な設備整備、完成後の側壁の保管管理・ヤード整備も行う計画です。
 JR東海は、リニア関連部材の製造に適した工業用地を探す中で、茨城県の工業団地に目を付け、昨年から県と調整を進めていました。JR東海東京広報室は「交通アクセスが良く、まとまった面積の工業用地を必要としていた。検討した結果、関東では一番条件が良かった」と選定理由を説明しました。
 契約した用地は、茨城中央工業団地1期地区の南東部で、北関東自動車道茨城町西インターチェンジICに近接しています。リニア新幹線の工事が完了し、契約が満了した後は、茨城中央工業団地から撤退する意向です。
 茨城中央工業団地は北関東道に沿って、東から1期地区、2期地区(茨城町)、笠間地区(笠間市)の3地区で構成。県は、北関東道や常磐自動車道に接するアクセス面などをアピールするが、一部を除き立地が進んでいないのが現状です。一時、イオンの大規模ショッピングセンターの進出が計画されましたが、都邑で頓挫した経緯があります。
 県事業推進課では、今回の立地を巡り、「リニア新幹線に関する大規模事業が行われるのはありがたい。知名度が上がり、工業団地へのさらなる誘致に結び付けたい」と説明しました。

★リニア中央新幹線
磁力で浮上して走る車両を使い、東京と名古屋、大阪を結ぶ。最高時速約500キロ。所要時間は東京・品川〜名古屋が40分、大阪までは約1時間。2027年に品川〜名古屋間を先行開業する予定で神奈川、山梨、長野、岐阜の各県に中間駅を1駅ずつ設置します。大阪までの全線開業は2045年の予定ですが、最大で8年間の前倒しを目指して工事を進めています。