学校給食のイメージ
 8月27日の茨城県知事選に当たり、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、新人候補の大井川かずひこ氏を推薦決定しました。推薦にあたっては7項目の政策協定を大井川候補と締結しました。その中でも、大井川氏が最も力を入れたいと思いれを込めているのが「子育て、教育への投資」です。
 具体的には、私立高校の授業料実質無料化、県独自の給付型奨学金制度の創設、学校給食の無償化などの検討です。
 いずれも1期内(4年間)で実現するとしていますが、予算の確保や保護者の理解を得るために最も壁が厚いのは、「給食費無料」ではないでしょうか。このブログでは、いち早く給食費無料化を実現した栃木県大田原市の事例をもとに給食費の無料化について考えてみます。

栃木・大田原市など無償化する自治体拡大 
 栃木県大田原市では、給食を重要な「生きた教材」と位置付け、食育や地産地消を推進。2012年10月からは、家庭の状況によらず全ての子どもの成長を地域全体で支えていこうと、給食費の無償化を始めました。
 大田原市は今年度予算で、29校分2億6900万円を計上し、小学生1人当たり月4200円(中学は4900円)の給食費を全額補助しています。「子どもが3人いるので助かる」「子どもが安心して食べられる」と、保護者からも歓迎されています。
給食のイメージ
 昨年度、給食費を無償化する自治体は61市町村に達しました。茨城県では大子町が実施しています。食育基本法の施行などで、食育の取り組みは全国でも着実に定着し、学校給食の役割が幅広く認識されている。公明党も各地で推進してきました。
 成長期の子どもたちにとって、何より重要な「食」。専門家は「給食は、家庭の食環境による野菜・果物の摂取格差を緩和する」と指摘しており、栄養バランスに優れた給食は子どもの貧困対策の観点から「食のセーフティーネット(安全網)」としても注目されています。
 給食費を無償化する自治体が出始めている一方で、課題となっているのが給食が実施されていない学校の存在です。主食・おかず・牛乳がそろう「完全給食」の実施率は小学校の98.5%に対し、中学校では82.6%にとどまっています(2015年5月時点)。
 未実施校の子どもの中には、弁当を持参できない子どももいる。例えば、大阪市が中学校の完全給食実施前の2008年に行った調査では、家で作った弁当を「持ってこない」と答えた生徒は5.1%に上っています。
 所得の低い世帯に向けた就学援助では、給食費などが支給されるいますが、給食未実施校の児童・生徒には届かないという問題もあります。朝食の欠食や偏食による肥満、痩身は経済的な困窮家庭に多いとされています。給食すら食べられない未実施校の児童・生徒への対策は重要です。
 子どもの貧困問題に詳しい首都大学東京の阿部彩教授は、こうした状況に警鐘を鳴らしています。阿部教授は「食の格差はかなり明らかになっている。栄養面や食育、そして学びをサポートするためにも学校給食は重要。全国で完全給食の実施、充実を進めていくべきだ」と強調しています。
 公明党は、今年5月に行った政府に対する提言で、全小中学校における完全給食の実施と、地方自治体における学校給食の無償化支援を掲げました。阿部教授も「政治で取り上げることは非常に意味がある」とし、公明党の今後の取り組みに期待を寄せています。