挑戦する県に変革を、農の輸出「自ら開拓」
「チェンジ茨城、チャレンジ茨城」。連呼する街宣カーの到着を合図に、演説会に集まった一人一人との握手が始まる。「頑張れよ」「もうちょいだ」。支持者からの励ましに、無所属新人の大井川和彦氏(53)=自民、公明推薦=は笑顔を見せる。
8月23日、銚子大橋(神栖市)での辻立ちを皮切りに、北浦を反時計回りするように鹿行地区の5市で演説を重ねた。
この日は鹿島臨海工業地帯の整備など過去のビッグプロジェクトに触れ、「あの挑戦する県政を取り戻す」と主張。農業が盛んな地域ということもあり、農産物の海外輸出を例に「自ら現場に足を運び、販路を開拓する。県民と一緒に汗をかいて知恵を絞る知事が必要だ」と訴えた。
自民、公明の国会議員や県議らの手厚い支援を受ける。この日、地元選出で自民党の額賀福志郎衆院議員は全ての会場でマイクを握り、「若い力で茨城に新しいレールを敷こう」と県政の刷新を訴えた。
閣僚級の応援弁士を次々送り込む政権与党への批判を強める現職陣営に対し、大井川氏は「国との太いパイプは欠かせない」と反論した。
昼すぎ。鉾田市と行方市に自民党の三原じゅん子参院議員が応援に入った。「同い年」という三原氏は、経産省やIT大手マイクロソフトなどで経験を積んだ大井川氏の経歴に触れ、「彼は茨城に足りない情報発信の第一人者だ」と声を張り上げた。
演説会場は時折、和やかな雰囲気に包まれる。
鹿島アントラーズの活躍や梶山弘志自民党県連会長の初入閣などを示し、大井川氏が「茨城にいい風が吹き始めている。でも一つ足りない」と聴衆に尋ねると、すかさず陣営スタッフから「知事だー」の声。会場に笑いが起こる。推薦団体の県看護連盟が手作りした鳥のゆるキャラ「票とりくん」も駆け付け、盛り上げに一役買う。
同夜、最後の遊説先となった潮来市のショッピングセンターの玄関前には約500人が集まった。「これからの安心安全や豊かさは、他県との横並びではなく、リスクを取って前進してこそ切り開ける」。日焼けした肌に汗を光らせ、茨城の未来を語る言葉に力を込めた。
(茨城新聞8月24日付けの記事に写真を添付しました)