9月2日、国土交通省は「道の駅」を拠点とした自動運転車サービスの実証実験を、全国に先駆けて栃木県栃木市で始めました。過疎化が進む中山間地域で高齢者の生活の足を確保するのが目的で、2020年度の実用化をめざしています。この日は石井啓一国交相(公明党)らによる開始セレモニーと試乗会が行われました。
 国交省によると、全国の道の駅の8割が中山間地域にあり、うち4割が1キロ圏内に医療機関や役場などがあります。運転免許の返納やバス路線廃止などで、高齢者らが市街地の病院や買い物に行きにくくなる中、道の駅と集落を結ぶ自動運転車が一つの解決策になるとみています。

 栃木市の実験では道の駅「にしかた」と、診療所が併設されている市役所西方総合支所、近くの集落をつなぐ約2キロに、バス停を3カ所設置。車両が障害物や水たまりなどにどう反応するかを確かめます。集落で取れた野菜などを配送する実験も行う予定です。
 実験は一般道路上で実施されますが、実験車両がナンバーを取得していないこと、走行速度を10キロ前後としていることなどから、一般車両が入れないクローズドされた中で行われます。
 栃木市での実際の実験は、7日から9日までの3日間。国交省はこの後、今年度中に全国12カ所で順次実験を進め、課題を探ります。茨城県内でも道の駅「ひたちおおた」でも行われる予定です(日程等の詳細は公表されていません)。
 公明党は、次世代カー普及推進プロジェクトチームが、5月に行った提言で、少子高齢化や過疎化が進む地域の移動手段として自動走行車の活用を求めるなど、国の取り組みを後押ししてきました。

道の駅にしかたでの自動走行実験
 今回の実験は、車両はDeNAが所有するフランスのEASY MILE(イージーマイル)社製造の「EZ10」を使用します。小型バスタイプの電気自動車で、立ち席を含めると10人まで乗車できる仕様ですが、実験中は監視要員以外に4〜5人が着座する形で走行させます。事前に走行ルートの高精度地図を車両に憶えさせ、車両にはセンサーとして、走行位置を把握するGPSの他、障害物を検知するためのカメラを前後に、レーザースキャナーを車両の四隅に突き出すように取り付けられています。
 2016年8月には、DeNAがイオンモール幕張新都心で、同型車で自動運転バスの実験をスタートさせています。