日立電鉄のバス
 日立市を中心にバス、タクシー、レンタカー事業などを展開する「日立電鉄交通サービス」が、「みちのりホールディングス」に買収されることになりました。
 10月27日、関東や東北のバス会社などを保有する「みちのりホールディングス」が、茨城県庁で記者会見して発表しました。日立製作所の子会社のバス会社「日立電鉄交通サービス」から、ことし12月までにすべての株式の譲渡を受けます。株式の譲渡価格は非公開です。
 「日立電鉄交通サービス」は、茨城県北部を中心に路線バスや観光バスなどを運行していますが、人口減少などで利用者が減り経営状況が悪化していました。
 「みちのりホールディングス」は今後、日立電鉄交通サービスグループとみちのりグループ各社(岩手県北バス、福 島交通、会津バス、関東自動車、東野交通、茨城交通、湘南モノレール、みちのりトラベルジ ャパン)との広域連携を推進し、日立電鉄交通サービスグループの事業の更なる発展に取り組んでいくとしています。特に、茨城交通・東野交通・関東自動車・福島交通・会津バスグループと茨城県県央エリアから栃木県・福島県にかけて地続きとなることから、相互に密接な連携を図り、茨城・栃木・福島エリアの交通ネットワークの機能向上や、インバウンド需要の取り込みによる観光誘客を図る計画です。
みちのりHDの営業展開 日立電鉄が現在、運行するバス路線や社員の雇用は、当面、継続される見通しです。
 「みちのりホールディングス」の松本順社長は、記者会見で「日立電鉄の事業が悪くなった、または立て直しが必要だという認識は一切ない」と強調。一方で「長期的な人口減少のなかにあって、長い目で公共交通事業を維持していくことが最大の課題だ」と話しました。「利便性の向上や地域との共存に力を入れて、事業の発展に取り組んでいきたい」と語っています。
 NHKの取材に対して、日立市の小川春樹市長は「公共交通としてのバス路線を存続するため、経営状況を見定めての今回の判断だと受け止めたい。これからも新しい会社と誠意をもって話し合い、市民のために地域の公共交通をしっかりと維持し発展させていきたい」とコメントしました。

 「みちのりホールディングス」は、複数の交通事業者を傘下に持つ持ち株会社です。公共事業者を傘下に持つ持ち株会社で、企業再生投資やベンチャー企業投資を生業とする経営共創基盤が100%の株式を持っています。経営共創基盤のルーツは2007年に解散した国の産業再生機構です。産業再生機構は様々な会社を建て直し、解散しました。その後、産業再生機構の業務執行最高責任者だった冨山和彦氏が立ち上げた企業再生のための投資企業が経営共創基盤株式会社であり、その傘下として交通事業者を束ねる中間持ち株会社として設立されたのがみちのりホールディングスです。
 経営共創基盤は社員の数が少ないことで有名。現在でも社長を除くと数名で運営しており、現地企業に常駐で人を送り込む体制の企業ではありません。
参考:日立電鉄交通サービス株式会社の株式譲受契約締結のお知らせhttp://www.michinori.co.jp/pdf/20171027_PR.pdf