予防接種のイメージ
 11月27日、厚生労働省は「抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について」との文書を発信しました。
 突然走り出し、窓から飛び出す、こうしたインフルエンザ患者の異常行動が、少なくとも404件起きていたことが厚労省の調査で判明しています。また、厚労省の「平成29年度インフルエンザQ&A」によると抗インフルエンザウイルス薬の服用後の異常行動により、2009年4月から2017年8月末現在で8件の死亡事例も報告されています。
 先の厚労省文書では、小児や未成年者が罹患した際の注意喚起の徹底を全国の自治体にもとめています。具体的には、高層階の住宅においては、玄関及び全ての窓の施錠を確実に行うこと、ベランダに面していない居室で療養を行わせること、窓に格子のある部屋がある場合はその部屋で療養を行わせること等を求めています。また、戸建てに住んでいる場合は、出来る限り1階で療養させることなどを訴えています。
 国立感染症研究所は「12月上旬までにインフルエンザの全国的な流行期に入る可能性がある」としています。国や自治体は、注意点の周知を迅速かつ丁寧に進める必要があります。
 異常行動については「タミフル」や「リレンザ」といった治療薬の服用後に起きるケースが報告されています。しかし、そうした薬との因果関係は分かっていません。服用していないにもかかわらず異常行動が起きた事例もあり、服薬の有無にかかわらず警戒が必要です。
 一方、毎年のようにワクチン不足も取りざたされています。
 国は当初、より効果の高い新たな種類のワクチンを製造しようとしたものの、十分な量が確保できないことが判明。急きょ、昨年と同じ種類に切り替えたため、準備が遅れていました。
 昨シーズンの使用量を100万本余り下回る恐れがありましたが、現在は、ほぼ同量を供給できる見通しが立ちました。ただ、一部地域での医療機関に行き届くまでに時間が掛かっています。国はワクチンの偏在が起きないための対策に加え、製造が遅れた教訓を来季以降に生かしていくべきです。
 尚、蛇足ですが、「予防接種は誰でも2回必要」との間違った認識が一部にあります。1シーズン2回接種は医師の判断で必要とされた場合や13歳未満に限られます。
 厚労省は多くの人が早めにワクチン接種を受けられるよう、「13歳以上は原則1回」の徹底を呼び掛けています。
 手洗いやマスクの着用、十分な休養・睡眠など、日頃の予防策や体調管理が重要であることも、を改めて強調しておきたいと思います。