喫煙の影響(ハッピー・ノート ドットコムより)
 子どもを受動喫煙から守るための条例が10月5日、東京都議会で可決、成立しました。公明党など3会派が共同提案した「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が成立、来年4月1日に施行されます。
 この条例は、どんな場所でも、子どもに受動喫煙をさせないように努めることを都民の責務として規定。家庭内で子どもと同じ部屋で喫煙しないことや、子どもが乗っている自動車内で喫煙しないことを求めています。
 この他に、公園、児童遊園、学校や児童福祉施設の周辺、小児科の病院や診療所の周辺などで、子どもの受動喫煙を防止するよう努める必要があります。
 罰則はありませんが、家庭内などの私的空間での禁煙を求める条例は、全国初となりました。
 努力義務とはいえ、家庭内や自動車など私的空間まで禁煙の対象とした理由は、子どもは自らの意思で受動喫煙を避けることが難しいので、保護の必要性が高いからです。
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 受動喫煙という言葉を聞くようになって久しいのですけれど、健康への影響は深刻であると言われています。たばこには70種類以上の発がん性物質が含まれているとされています。厚生労働省の「たばこ白書」によると、喫煙が原因となって死亡する人は年間約13万人。国立がん研究センターは、受動喫煙で亡くなる人が年間1万5000人いると推計しています。肺がんや虚血性心疾患、脳卒中は喫煙と因果関係があるとされ、受動喫煙を受けている人はこれらの疾病のリスクが1.2から1.3倍ほど高くなっています。
 受動喫煙による乳幼児突然死症候群(SIDS)の死者も年間73人程度いると考えられています。健康に大きな影響があるのです。
 タバコを吸っている人は、肺がんのリスクが約4〜5倍高まりますが、タバコを吸わない同居者も肺がんのリスクが高まるといわれています。
 タバコを吸わない妻が、喫煙する夫を持つ場合、吸わない夫を持つ妻に比べて肺がんになるリスクが約2倍高まります。タバコを吸わない女性が受動喫煙にさらされる場所としては、職場もありますが、より危険が高いのは、家庭内での夫の喫煙であることがわかっています。
 受動喫煙を防止する動きは民間でも広がりつつあります。外食チェーンでは「マクドナルド」やファミリーレストランの「ロイヤルホスト」がすでに全店で禁煙を実施しました。このほど「サイゼリヤ」が2019年9月までに全店を禁煙にする方針を打ち出しました。
 東京都は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、飲食店などを原則禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止条例の制定をめざしています。
 都議会公明党では、野上純子都議が2008年6月の定例会などで、たびたび質問に受動喫煙の問題を取り上げて対策を要請。党都本部女性局も女性議員研修会に有識者を招き、受動喫煙のリスクや対策を調査してきました。
 公明党都本部は今年5月に発表した都議選の重点政策で、受動喫煙防止条例の制定をめざすと明記しました。その後、都議会公明党と都民ファーストの会東京都議団でつくる「受動喫煙対策合同調査会」がこの8月、子どもを受動喫煙から守る条例を9月からの定例会で成立させる方針を発表していました。
 受動喫煙防止条例の採決に先立って栗林のり子都議が討論に立ち、受動喫煙の健康への影響に触れた上で「社会的環境を整え、子どもを保護する取り組みの緊急性は強い」と訴えました。
 また、東京都は今回の条例とは別に、飲食店などの屋内を原則禁煙として、罰則を設ける条例を制定する方針です。来年2〜3月の都議会に提出される見込みです。小池百合子都知事は今定例会の所信表明演説で「都民の健康を確保する観点から、受動喫煙防止対策をより一層推進しなくてはならない」と語っています。
 受動喫煙を巡っては国際オリンピック委員会(IOC)が「たばこのない五輪」を目指していることから、都や国は2020年東京五輪・パラリンピックの開催までの対応を目指している。
 受動喫煙を防止する東京都の取り組みを、全国に展開する必要があります。
 世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」の推進を求めており、近年の五輪開催都市はいずれも罰則付きの受動喫煙防止策が取られています。東京大会に向け、サッカー競技が開催される茨城県でも具体的な検討が強く望まれます。