パンフレット
 12月13日の茨城県議会文教治安委員会では、薄暮時間帯の交通事故防止が話題となりました。
 茨城県警察本部の調査によると、周囲が暗くなり始める日没前後の時間帯(薄暮時間帯)の事故が多く発生するこの時期、日没前後の10分間にライトをつけていた車は全体のおよそ4分の1にとどまっていることがわかりました。県警本部では、早めのライト点灯を呼びかけています。
 この調査は今年(2017年)10月から11月までの期間中の3日間、県警察本部が水戸市内の道路5か所で行いました。
 その結果、日没の30分前からライトをつけていた車は走行中の車の2%と極めて少なく、日没前後の10分間でもライトをつけていた車は26.2%で、およそ4分の1にとどまっていました。
 警察によりますと、日の入りの時間が早いこの時期は日没前後の事故が多く、去年までの3年間で見ると10月から12月に合わせて22人が死亡しています。
 県警察本部交通総務課は「車のライトの点灯は、ドライバーが早めに歩行者や自転車に気付くためにも、また、みずからの存在を周りの歩行者などに知らせるためにも重要だ。引き続き、日没30分前からのライトの点灯を呼びかけていきたい」と話しています。
時間帯別交通事故
 別の調査によると、県内で2012〜16年の5年間に発生した交通死亡事故711件のうち、日没前後1時間の「薄暮時間帯」の事故は、他の時間帯に比べて多い106件に上り、全体の約15%を占めています。
 9月2日、行方市では薄暮時間の午後6時すぎから7時までの1時間足らずの薄暮時間帯に死亡事故が3件相次ぎました。さらに同時刻、潮来市洲崎でも死亡事故が起きました。
 薄暮時間帯は、周囲が急激に暗くなり、ドライバーから歩行者が見えづらくなる。交通事故が多発することから「魔の時間帯」ともいわていますいます。
 県警交通総務課によると、昨年までの5年間に県内で薄暮時間帯に発生した死亡事故は106件。月別で見ると、1月が16件で最も多く、2月と11月が各13件、3月の12件と続いています。一方、最少は7月の3件でした。通勤時間帯と薄暮時間帯が重なると、死亡事故が多くなる傾向が明らかになっています。
 事故の形態については、「自動車と歩行者」が46件と最も多く、横断中の歩行者がはねられるケースが目立っています。次いで「自動車同士」が42件、「単独事故」が17件、「自動車と列車」が1件でした。

オートライトの点灯時間と照度(JAFの資料より)
 さらにJAFによると、意外な事実も明らかになっています。最近の自動車には、自動でヘッドライトを点灯させる機能(オートライト)がついたものが多くなっています。しかし、2014年にJAFが行った実験によると、オートライトの点灯時間が、メーカーによって大きく異なることが判明しました。
 テストは2014年5月下旬、日没時刻は18時50分。オートライトを装備したメーカーの異なる車を5台用意しました。ヘッドライトスイッチをAUTOモードに切り替え、テストを行いました。日没の約1時間前に実験開始です。徐々に暗くなっていくなか、どんなふうに点灯するのでしょう?
 一番最初に点灯したのは日没の50分前、天空の照度が2400ルクスの時に点灯しました。一番遅かったのは日没時、点灯照度230ルクスの時に点灯。その差は時間にして50分、照度は10倍以上の差がありました。
 国は、2020年までにすべての車両にオートライトを義務付ける方針です。この際の点灯基準は1000ルクスです。
 オートライト装着車でも、少し早めにライトをつけたほうが良いようです。