茨城政策ビジョン 12月26日、茨城県の大井川昭彦知事は、人口減少やグローバル化など茨城県が直面するさまざまな課題に対応するため、県は産業の創出や医療や防災の充実などを柱とした今後、進めていく政策の方針を「新しい茨城づくり政策ビジョン」を公表しました。
 政策ビジョンは産業の創出、医療や防災などの充実、人材の育成、観光創生や魅力度向上の大きく4つの分野に分かれていて、具体的には産業の創出ではこれまで物流や工場中心の企業誘致だったものを、研究施設や本社機能を誘致することで質の高い雇用を生み出すとしています。
 また、医療や防災などの充実では医師不足を解消するため、医学部を新設する可能性を含めてあらゆる方向性で検討するなどとしています。
 これについて、大井川知事は「このビジョンには挑戦する姿勢を込めている。これから取り組む政策の下地を県民に示すことができるのではないか」と話していました。
 県は今後、このビジョンを来年9月に策定する予定の「茨城県総合計画」や来年度の予算編成などに反映させていくことにしています。

「活力があり、県民が日本一幸せな県」へ4つの新たなチャレンジ
 大井川知事の発言の要旨をまとめました。
 就任当初の公約として、新しい政策として、まず、政策ビジョンという形で年内に発表させていただいて、その後、県の総合計画を来年9月を目途に策定していくということを発表させていただきましたが、その政策ビジョンを今回策定したところでございます。
 基本理念は、「活力があり、県民が日本一幸せな県」ということで、県民とともに挑戦する「茨城づくり」、それから、未来を展望した政策展開、さらに戦略的な行財政運営ということを大きな基本姿勢というふうに位置づけております。
茨城政策ビジョン
 これは、私が常々申し上げている4つのチャレンジということで、豊かさ、安心安全、人財育成、夢と希望という4章立てにして新しいビジョンを策定しております。
 まず、「豊かさへのチャレンジ」ということでございますが、まず、大きく重点施策として、戦略的な企業誘致ということです。研究施設やIT関連企業など成長分野の企業を中心に企業の誘致を進めていくということでございます。
 それから、東京圏から、工場、あるいは物流倉庫だけではなくて、本社機能を誘致していくということを大きな柱に掲げています。
 科学技術を活用した新産業育成や、中小企業の成長支援、質の高い雇用の創出、農林水産業についても、強い農林水産業を実現するためのメリハリのきいた施策、さらに、自然環境の保護・再生も抜本的な対策を打っていくといことを掲げていきます。
 多様な働き方の実現、女性の活躍やUIJターンの推進もチャレンジの中の一つでございます。

 それから、「安心安全へのチャレンジ」。まず、大きな目玉としては、医師不足の抜本的解決を徹底してやっていきたいということです。高校生や医学生、あるいは研修医、医師、各ステージにおいて総合的な対策をとっていって、医師不足の抜本的解消につなげていくということを目指します。
 そのほかとして、県民の命を守る県域医療・地域医療や福祉の充実、それから、健康寿命日本一、さらには、障害児・障害者福祉の充実、安心して暮らせる社会づくり、公共交通の維持や確保など安心して暮らせる社会づくり、さらには、災害に強い県土づくり、ITを活用した災害情報の共有化などソフト面も含めて災害対策を進めていこうということでございます。

 3つ目の柱が「人財育成へのチャレンジ」です。何と言っても人財育成の目玉が、グローバル社会で活躍できる人財をこの茨城からつくり出すということで、小中学校等学校においてインターネットを活用した英語やプログラミングといった教育を導入していくということを目指します。
 それから、次世代を担う人財の育成として、就学前教育・家庭教育の推進なども考えています。
 教育環境の充実として、魅力ある学校・学科づくり、少人数教育の充実、そのほか、日本一子どもを産み育てやすい県ということで、待機児童ゼロの実現や教育費の負担軽減も盛り込みます。
 それから、学び、文化、スポーツに親しむ環境ということで、多様な学習機会の提供、文化・芸術の振興、それから、人権を尊重し多様性を認め合う社会づくりとして、ダイバーシティ社会の構築とか、あるいは、いじめを生まない社会づくり、こういうことを盛り込みました。

 4番目が、「新しい夢・希望へのチャレンジ」ということです。重点施策としては、魅力度No.1プロジェクトと銘打って、新しい手法による情報発信力の強化や本県の魅力の再発掘、さらには、ブランド化に戦略的に取り組んでいこうということです。
 魅力度No.1プロジェクトとしては、観光誘客や農林水産物のブランド化、企業誘致という目的別にしっかり対策を、ターゲットを決めて戦略的に情報発信をしていくという、漫然とした茨城の魅力の発信ではない、もっとメリハリのきいたフォーカスした情報発信を目指していこうということを今、検討しています。
 それに加えて、私自身も含めたトップセールスの推進を積極的にやっていきます。
 世界に飛躍する茨城ということで、県産品、工業製品の輸出強化、それから、若者への起業教育、ベンチャー支援などもこの中に含まれます。
 ビジット茨城〜新観光創生〜として、戦略的な誘客プロモーション、それから、里山・海浜リゾートなど、新しい観光地の創造もメニューに入れてあります。
 国体やオリンピック・パラリンピックもこの中でキャンプの誘致や県民参加の実現ということでメニューに入ってくるわけでございまして、最後が発展を支える社会資本の整備ということで、つくばエクスプレスの県内延伸や地域資源を生かした魅力ある地域づくり、そういうことを目指していこうということでおります。

参考:「新しい茨城づくり」 政策ビジョン:http://www.pref.ibaraki.jp/bugai/koho/hodo/press/17press/documents/vision.pdf