今日は平成29年12月31日、大晦日です。年越しする茨城県の様々な課題の中で、“東海第2原発の運転延長、再稼働問題”は最も深刻な課題です。
東海村にある日本原子力発電(日本原電)東海第2発電所(東海第2原発)は、来年(2018年)11月28日、運転開始から40年を迎えます。福島第1原発事故を受けて、国は原発の運転期間を40年と定めました。本来なら、東海第2原発は運転を休止したままで、廃炉になるはずです。ただし、原子力規制委員会の厳しい審査と地元自治体の同意を得られれば、一度限り20年の運転延長が出来ます。
11月24日、日本原電は、東海第2原発の運転延長を原子力規制委員会に申請しました。仮に東海第2原発が再稼働されるとするならば、運転延長申請が認められ、再稼働に関わる審査が完了することが前提となります。
原子力安全協定を周辺6市村に拡大を
日本原電は、再稼働に関わる“事前了解”の権限を、県と東海村のほか周辺自治体に拡大する意向を表明しています。規制委の厳格な審査のうえに、地元理解が不可欠であり、避難計画の策定、原電の将来像も今後厳しく問われることになります。
井手よしひろ県議は、東海第2原発の再稼働は難しいと主張しています。半径30キロ圏内に96万人が暮らし、県庁所在地の水戸市も、県北の拠点都市日立市もその中に位置しています。首都圏に立地するだけに、重大事故が起これば、茨城県ばかりか首都東京にまで影響を及ぼしかねず、日本の政治、経済の中枢に関わることになります。福島の現実を踏まえれば、いかなる原発であっても、あのような事故は二度と起こしてはならないという原点は肝に銘じるべきであり、どのような安全対策を施しても原発事故は起こらないという確証はありません。
東海村にある日本原子力発電(日本原電)東海第2発電所(東海第2原発)は、来年(2018年)11月28日、運転開始から40年を迎えます。福島第1原発事故を受けて、国は原発の運転期間を40年と定めました。本来なら、東海第2原発は運転を休止したままで、廃炉になるはずです。ただし、原子力規制委員会の厳しい審査と地元自治体の同意を得られれば、一度限り20年の運転延長が出来ます。
11月24日、日本原電は、東海第2原発の運転延長を原子力規制委員会に申請しました。仮に東海第2原発が再稼働されるとするならば、運転延長申請が認められ、再稼働に関わる審査が完了することが前提となります。
原子力安全協定を周辺6市村に拡大を
日本原電は、再稼働に関わる“事前了解”の権限を、県と東海村のほか周辺自治体に拡大する意向を表明しています。規制委の厳格な審査のうえに、地元理解が不可欠であり、避難計画の策定、原電の将来像も今後厳しく問われることになります。
井手よしひろ県議は、東海第2原発の再稼働は難しいと主張しています。半径30キロ圏内に96万人が暮らし、県庁所在地の水戸市も、県北の拠点都市日立市もその中に位置しています。首都圏に立地するだけに、重大事故が起これば、茨城県ばかりか首都東京にまで影響を及ぼしかねず、日本の政治、経済の中枢に関わることになります。福島の現実を踏まえれば、いかなる原発であっても、あのような事故は二度と起こしてはならないという原点は肝に銘じるべきであり、どのような安全対策を施しても原発事故は起こらないという確証はありません。
茨城県内では、今日現在、44市町村中17市町村議会が20年の運転延長に反対する意見書を可決しています。衆院選に合わせて地元茨城新聞が行った世論調査では、再稼働に「反対」と答えた人は6割に上っています。
今回、原電が事前了解の権限を東海村も含め周辺6市村「原子力所在地域首長懇談会」(東海村+日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市、水戸市)に拡大することを表明したことは大きな前進です。広く地域の理解を得ることは必須事項であり、東海第2原発の再稼働はその先にあります。
現在、県、東海村と原電が結ぶ原子力安全協定に法的拘束力はありません。原子力施設の新増設、変更などを行う場合、事前に県や村の了解を得るものとしているほか、安全面から立ち入り調査や運転の停止、改善を求めることができるという紳士協定です。原電が周辺6市村とどのような協定を結ぶか、その中身に注目しています。
12月22日、読売新聞が安全協定修正案を報道
読売新聞が12月22日伝えた内容によると、日本原電と「原子力所在地域首長懇談会」との安全協定の修正案の内容は、周辺5市にも、原発立地自治体と同等の事前協議権(同意権)を実質的に認めると明記し、立会人として県も参加する新たな協議会を設置、再稼働の前に、日本原電と新協議会が合意形成に向けて話し合うことなどが盛り込まれていると言われます。原電は来年4月までに(平成29年度中に)、この協定を周辺5市村と結びたいとしています。
日本原電は、東海第二の運転延長申請直前の11月22日、村松衛社長が非公開で行われた懇談会に出席、周辺5市にも同意権を拡大する方針を伝え、原案を示しました。しかし、原案には「協定には事前了解に関する事項は規定されていない」などの表記があり、懇談会は、6市村に同等の権限を認めるという記載が不明確として修正を求めています。
修正案は、この文言を削除し、再稼働や運転延長の際、6市村が事前協議で意見を言ったり、安全対策を求めたりすることで、「同意権」が実質的に担保されるとしています。修正案は日本原電幹部が複数の自治体に説明しており、ある首長は「次の懇談会で事前了解が担保されていることを改めて確認できれば、この修正案で進めていいのではないか」と話していると報道されています。
新協定案の内容を詳しく説明する確認書も添付されています。その中でも「実質的事前了解は6市村が新たに同等に確保した権限」と明記していいます。確認書には、このほか6市村は再稼働の前に事前協議を求める権限を確保し日本原電は必ず応じる、事前協議では6市村が納得するまでとことん協議を継続する、6市村が追加の対策を求めた場合、日本原電は対応しなければならない−−などと記載されているといわれています。(新たな事前協定の内容は12月22日付け読売新聞茨城版の記事を引用しています)
井手県議は、この修正案の内容は大きな一歩前進と評価しますが、まだまだ不満の点があります。それは、各市・村との個別協定ではないと言うことです。東海第2原発の再稼働にあたって、事前協議の事前協議は、同意権ではなくむしろ「拒否権」であると考えています。安全協定は、ここの市・村と締結し、一つの自治体でも再稼働を容認しないと意思を示した場合、原発は動かせないとすべきです。
百歩譲っても、新たな協議会の中で、すべての自治体が再稼働を容認しない場合は、協議会全体の意思は「再稼働にノー」とすべきです。
(イラストは、早川由紀夫・群馬大学教授による福島第一原発事故の放射能汚染地図を東海第2原発を中心に重ね合わせたもの。過酷事故の被害がどのよう拡散するかを確認するための参考資料です)
絵に描いた餅、机上の空論の“広域避難計画”
原発の過酷事故からの広域避難計画は大きな課題です。30キロ圏内の自治体では過酷事故に備えて避難計画作りが進められています。避難先となる市町村との協定締結は行われていますが、計画の策定とその実効性には疑問が残ります。絵に描いた餅、机上の空論の域を脱していません。
水戸市や日立市、ひたちなか市など多くの人口と市街地を抱える多数の人口と広がる自治体には、避難計画の策定は非常に困難です。
さらに県北地域は避難道路を常磐道と国道6号に頼らなくてはならず、地震や津波によってこの命の綱が絶たれれば、避難計画それ自体の前提条件が全て崩れてしまいます。
病院や介護施設などに入院、入所している人たちの避難をどうするか、そもそもどのような手段で避難するのかさえ決まっていません。
原電は発電事業を一切辞めて廃炉専業事業者に
原電の経営事態も全く先が読めません。所有する4基のうち2基は廃炉となり、残る東海第2と敦賀2号機は再稼働のめどが立っていません。収益の根幹を成す原発が稼働していないのです。一方で、現在と将来にわたり4基全ての廃炉事業を担い、保管されている使用済み燃料の処分も課題となります。再稼働の有無にかかわらず、こうした業務に引き続き対応していく必要があるのです。新増設が実質的に困難な環境にある中、原発専門の発電会社として将来にわたって安定した収益を確保しどういう形で存続していくか、経営の道筋をつけていくことも急務です。井手県議は、発電事業を一切辞めて廃炉専業事業者として模様替えする必要があると考えます。原電一企業にとどまらず、国、業界挙げて、その方向性を検討すべきです。
今回、原電が事前了解の権限を東海村も含め周辺6市村「原子力所在地域首長懇談会」(東海村+日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市、水戸市)に拡大することを表明したことは大きな前進です。広く地域の理解を得ることは必須事項であり、東海第2原発の再稼働はその先にあります。
現在、県、東海村と原電が結ぶ原子力安全協定に法的拘束力はありません。原子力施設の新増設、変更などを行う場合、事前に県や村の了解を得るものとしているほか、安全面から立ち入り調査や運転の停止、改善を求めることができるという紳士協定です。原電が周辺6市村とどのような協定を結ぶか、その中身に注目しています。
12月22日、読売新聞が安全協定修正案を報道
読売新聞が12月22日伝えた内容によると、日本原電と「原子力所在地域首長懇談会」との安全協定の修正案の内容は、周辺5市にも、原発立地自治体と同等の事前協議権(同意権)を実質的に認めると明記し、立会人として県も参加する新たな協議会を設置、再稼働の前に、日本原電と新協議会が合意形成に向けて話し合うことなどが盛り込まれていると言われます。原電は来年4月までに(平成29年度中に)、この協定を周辺5市村と結びたいとしています。
日本原電は、東海第二の運転延長申請直前の11月22日、村松衛社長が非公開で行われた懇談会に出席、周辺5市にも同意権を拡大する方針を伝え、原案を示しました。しかし、原案には「協定には事前了解に関する事項は規定されていない」などの表記があり、懇談会は、6市村に同等の権限を認めるという記載が不明確として修正を求めています。
修正案は、この文言を削除し、再稼働や運転延長の際、6市村が事前協議で意見を言ったり、安全対策を求めたりすることで、「同意権」が実質的に担保されるとしています。修正案は日本原電幹部が複数の自治体に説明しており、ある首長は「次の懇談会で事前了解が担保されていることを改めて確認できれば、この修正案で進めていいのではないか」と話していると報道されています。
新協定案の内容を詳しく説明する確認書も添付されています。その中でも「実質的事前了解は6市村が新たに同等に確保した権限」と明記していいます。確認書には、このほか6市村は再稼働の前に事前協議を求める権限を確保し日本原電は必ず応じる、事前協議では6市村が納得するまでとことん協議を継続する、6市村が追加の対策を求めた場合、日本原電は対応しなければならない−−などと記載されているといわれています。(新たな事前協定の内容は12月22日付け読売新聞茨城版の記事を引用しています)
井手県議は、この修正案の内容は大きな一歩前進と評価しますが、まだまだ不満の点があります。それは、各市・村との個別協定ではないと言うことです。東海第2原発の再稼働にあたって、事前協議の事前協議は、同意権ではなくむしろ「拒否権」であると考えています。安全協定は、ここの市・村と締結し、一つの自治体でも再稼働を容認しないと意思を示した場合、原発は動かせないとすべきです。
百歩譲っても、新たな協議会の中で、すべての自治体が再稼働を容認しない場合は、協議会全体の意思は「再稼働にノー」とすべきです。
(イラストは、早川由紀夫・群馬大学教授による福島第一原発事故の放射能汚染地図を東海第2原発を中心に重ね合わせたもの。過酷事故の被害がどのよう拡散するかを確認するための参考資料です)
絵に描いた餅、机上の空論の“広域避難計画”
原発の過酷事故からの広域避難計画は大きな課題です。30キロ圏内の自治体では過酷事故に備えて避難計画作りが進められています。避難先となる市町村との協定締結は行われていますが、計画の策定とその実効性には疑問が残ります。絵に描いた餅、机上の空論の域を脱していません。
水戸市や日立市、ひたちなか市など多くの人口と市街地を抱える多数の人口と広がる自治体には、避難計画の策定は非常に困難です。
さらに県北地域は避難道路を常磐道と国道6号に頼らなくてはならず、地震や津波によってこの命の綱が絶たれれば、避難計画それ自体の前提条件が全て崩れてしまいます。
病院や介護施設などに入院、入所している人たちの避難をどうするか、そもそもどのような手段で避難するのかさえ決まっていません。
原電は発電事業を一切辞めて廃炉専業事業者に
原電の経営事態も全く先が読めません。所有する4基のうち2基は廃炉となり、残る東海第2と敦賀2号機は再稼働のめどが立っていません。収益の根幹を成す原発が稼働していないのです。一方で、現在と将来にわたり4基全ての廃炉事業を担い、保管されている使用済み燃料の処分も課題となります。再稼働の有無にかかわらず、こうした業務に引き続き対応していく必要があるのです。新増設が実質的に困難な環境にある中、原発専門の発電会社として将来にわたって安定した収益を確保しどういう形で存続していくか、経営の道筋をつけていくことも急務です。井手県議は、発電事業を一切辞めて廃炉専業事業者として模様替えする必要があると考えます。原電一企業にとどまらず、国、業界挙げて、その方向性を検討すべきです。