ひきこもり該当者の年齢別調査
 茨城県では平成23年6月から「ひきこもり相談支援センター」を開設し、ひきこもり問題に悩む当事者や家族への支援をしています。ひきこもり相談支援センター開設から5年を迎え平成28年、今後の支援のあり方を検討していくうえで、県内全域のひきこもり者の実態調査を実施しました。
 この調査は民生委員児童委員の協力を得て、平成28年6月〜12月の期間にアンケート方式で実施されました。
 結果を年齢別にみると、ひきこもりの該当者は、40代が446名と最も多く、30代が378名、50代が237名、20代が185名、60歳〜65歳が147名、15歳〜19歳が63名となりました。若者のひきこもりより、中高年のひきこもりが深刻な状況にあることが明らかになりました。
 ひきこもりの長期化、高年齢化という深刻な現実を直視し、一刻も早く本人や家族に希望を届ける必要があります。
参考:茨城県平成28年度ひきこもりに関する実態調査報告書 http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/shofuku/seishin/documents/h28ibaraki-hikikomori-tyosahoukokusho.pdf
 内閣府は来年度(平成30年度)、40〜59歳を対象とした、ひきこもりの実態調査に初めて乗り出します。ひきこもり状態の人がどの程度いるかに加え、家庭の状況や課題を把握するため、30年度予算案に調査費2000万円を盛り込みました。
 不登校など若者特有の現象と捉えられがちな、ひきこもり。これまで国も調査対象を39歳までに限り、その数は約54万人に上ると推計してきました。しかし、先の茨城県の調査結果を見ても、40代のひきこもりが最も多い結果になっています。同じく佐賀県の調査では実に7割以上が40歳以上の中高年層でした。NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が、40歳以上のひきこもりがいる家族に聞き取り調査をしたところ、その平均期間は22年以上に及んでいました。
 中高年のひきこもりは、社会とのつながりが薄く家族だけで課題を抱え込みがちで、行政や医療機関などの支援を受けられないまま孤立するケースが少なくありません。

8050問題に早急な対応を
 とりわけ見逃せないのは、支える側となってきた親の高齢化です。共倒れのリスクを抱えながら80代の親が50代の子どもの面倒を見る「8050問題」という言葉が生まれるほど、事態は深刻さを増しているのです。親亡き後、本人をどう支えるかとの課題も横たわっています。
 ひきこもりは、長期化するほど解決が難しくなるとされます。病気や介護、経済的困窮といった問題が複雑に絡むだけに、解決は一筋縄ではいきません。
 「どのような支援が求められているか」「長期化を防ぐにはどうすれば良いか」。きめ細かく効果的な対策につなげる上で、実態調査の意義は非常に大きなものがあります。当事者や家族の実情に即した調査を丁寧かつ速やかに進め、支援体制の構築を急ぐべきです。