平成30年の通常国会が収集され、衆参両院の本会議で各党代表質問が行われました。公明党から山口那津男代表と井上義久幹事長が質問に立ちました。日本は少子高齢化、人口減少に直面しています。この課題にどう立ち向かい、成長を加速させていくか。この国会では、その青写真を国民に示さなければなりません。このブログでは、子育て支援や共生社会の実現に向けた公明党の代表質問のポイントを紹介します。
支え合う共生社会(参議院代表質問:山口那津男代表)
生活困窮者の孤立化防げ
高齢者が住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けられるよう、医療・介護サービスに加えて、地域での見守りや支え合いなどの活動の充実が不可欠です。
神奈川県秦野市では、住民ボランティアが運営するデイサービス事業と、住民主体の送迎支援サービスを組み合わせた総合事業が進んでいます。
住民ボランティアは70代の方が中心。80代も少なくありません。
支える側も高齢者が中心で「自身の生きがい」として活動されています。
一方、車による送迎が欠かせませんが、送迎支援サービスの担い手となったのがNPO法人です。
送迎スタッフが利用者を送り届ける車中で健康状態なども確認しながら、心身の変化に応じて地域包括支援センターや住民ボランティアなどとも情報を共有し、住民同士の支え合いによる独自のデイサービスを展開しています。
地域の多様な主体が支える側に回ることで、高齢者はサービスを利用しながら地域とのつながりを維持する。(全ての団塊の世代が75歳以上となる)2025年に向けて、地域の状況やニーズを踏まえつつ、その地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの深化・推進を急ぐべきです。
支え合う共生社会(参議院代表質問:山口那津男代表)
生活困窮者の孤立化防げ
高齢者が住み慣れた地域で、自分らしく暮らし続けられるよう、医療・介護サービスに加えて、地域での見守りや支え合いなどの活動の充実が不可欠です。
神奈川県秦野市では、住民ボランティアが運営するデイサービス事業と、住民主体の送迎支援サービスを組み合わせた総合事業が進んでいます。
住民ボランティアは70代の方が中心。80代も少なくありません。
支える側も高齢者が中心で「自身の生きがい」として活動されています。
一方、車による送迎が欠かせませんが、送迎支援サービスの担い手となったのがNPO法人です。
送迎スタッフが利用者を送り届ける車中で健康状態なども確認しながら、心身の変化に応じて地域包括支援センターや住民ボランティアなどとも情報を共有し、住民同士の支え合いによる独自のデイサービスを展開しています。
地域の多様な主体が支える側に回ることで、高齢者はサービスを利用しながら地域とのつながりを維持する。(全ての団塊の世代が75歳以上となる)2025年に向けて、地域の状況やニーズを踏まえつつ、その地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの深化・推進を急ぐべきです。
生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至っていない生活困窮者に対して包括的な支援を行う「第2のセーフティーネット(安全網)」として創設されました。
1億総活躍社会実現への重要な施策です。
施行から2年、新規相談者が約45万人、うち約6万人の方が就労・増収に結び付いています。しかし、課題も見えてきました。例えば、就労準備や家計支援などの事業が任意の事業であるため、地域間でばらつきが出てしまっています。
生活困窮者の社会からの孤立を防ぎ、また、生活上の課題解決による自立と社会参加に向けて、自立相談・就労準備・家計相談にかかる支援が一体的に行えるようにするなど、実情を踏まえた支援体制の見直し・強化を強く求めます。
さらに、「貧困の連鎖」を断ち切るため、子どもの学習支援の他、生活習慣・環境などの向上にもつながるような支援を強化すべきです。
自殺対策
昨年10月、神奈川県座間市で9人の若者が殺害される凄惨な事件が起こりました。
SNSに自殺願望を投稿した被害者の心に付け込む、極めて卑劣な手口に、怒りを通り越し、言葉を失いました。
「死にたい」という亡くなった人たちの叫びは、「生きたい」との裏返しであり、助けを求めるSOSであったと思えてなりません。
特に、青少年の行き場のない悩み、心の叫びを、きちんと汲み取ってあげられる体制を、一刻も早く実現させなければなりません。
昨年、長野県ではLINEを活用した、いじめ・自殺相談を試験的に実施しました。
既存の電話相談が年間259件であったのに対し、わずか2週間で1579人の中高生からアクセスがあり、547件に対応できたそうです。
注目すべきは、交友関係や恋愛、学業など身近な相談が多かったことです。
これは中高生たちが気軽に相談できたことを示しており、悩みが深刻化する前の早期解消につなげることが大いに期待されます。
サイバーパトロール(ネット上の違法・有害情報のチェック)の強化と併せて、こうしたSNSなどを活用した相談事業をはじめ、悩みを抱える人が相談しやすい環境を、全国各地に迅速に整備することを強く求めます。
また、「SOSの出し方に関する教育」をはじめ、社会全体で子どもたちの心の不調に気付き、ケアする体制整備も急務です。
ユニバーサル社会の実現(参議院代表質問:山口那津男代表)
2020年東京五輪・パラリンピックへ、安心の街づくり早く
誰もが訪れやすく、安心して快適に暮らすことができる、そして、誰もが持てる個性や能力を発揮できる―そうした「ユニバーサル社会」の実現が、今こそ求められています。
それは、そのまま地域社会の活性化にもつながっていくはずです。
公明党は、高齢者や障がい者をはじめ、誰もが暮らしやすい街づくりに向け、段差の解消や鉄道駅のホームドア、内方線付き点状ブロックなどの整備促進など、バリアフリー法の制定当時から、その取り組みを強力に推進してきました。
昨年、政府は障がい当事者の意見や要望を十分に踏まえ「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を策定しました。
計画は、「ユニバーサルデザインのまちづくり」とともに、障がい者への差別や偏見をなくす「心のバリアフリー」が大きな2本柱になっています。
この計画を踏まえたバリアフリー法の改正を急ぐとともに、関連施策の見直し・実施に当たっては、引き続き、障がい者とそのご家族・関係者など現場の声・要望に適応した、きめ細かな配慮や工夫が求められます。
東京オリンピック・パラリンピックは、「世界に誇れるユニバーサル社会」実現の大きなチャンスです。
開催都市ともしっかり連携しながら、スピード感を持って推進するよう強く求めます。
障がい者スポーツ
先日、お会いした障がい者スポーツの関係者はこう話されました。
「『障がいは個性』です。健常者も障がい者も差異なく、誰もが『普通に』スポーツに親しめる社会をつくりたい」―私は、胸が熱くなりました。
地域で誰もがスポーツを楽しめる共生社会をつくり上げていきたいと決意を新たにしました。
しかし、障がい者スポーツには、健常者スポーツに比べ、多くの課題があることも現実です。
自分の住む地域で気軽にスポーツができるよう施設などの環境整備、指導者や競技を支える方の育成、心のバリアを取り払う教育の充実など、総合的な取り組みが求められます。
「障がいがあってもスポーツに取り組むことで、自らの可能性にチャレンジし、仲間との交流やコミュニケーションを深め、その結果、人生がより充実したものになる」
スポーツの力は絶大です。
2020年東京パラリンピック大会に向けて、「ソフト」「ハード」そして「ヒューマン」のさまざまな面から支援策を強化していくべきと考えます。
また、20年に向けては、過去の開催国が大切に引き継いできた「たばこのないオリンピック・パラリンピック」という伝統を継承するため、世界に恥じない実効性の高い受動喫煙対策を進めるための法案を早期に提出し、成立を図るべきと考えます。
子育て優先社会(衆議院代表質問:井上義久幹事長)
幼児教育の無償化 対象は丁寧な検討必要 「寡婦控除」の適用拡大を
児童手当や妊婦健診の公費助成など、公明党が提案し、実現してきた子育て支援策は数多くあります。
2006年に公明党は、「子どもが幸せな社会は、みんなが幸せな社会」との考え方に基づき、子育てを社会全体で支える「チャイルドファースト社会」をめざし、党独自の政策提言「少子社会トータルプラン」を発表しています。
現在、政府・与党を挙げて取り組んでいる「幼児教育の無償化」や「待機児童の解消」「給付型奨学金の創設」などは、公明党がこの政策提言を基に、これまで10年以上にわたって実現を訴え続けてきた政策です。
「子育てにかかる経済的負担の軽減」や「働きながら子育てできる環境の整備」など、子育てを社会全体で支える政策の実現は、「少子高齢化を克服する道」にも通じると私たちは考えています。
また、公明党は、「人への投資が未来を開く」との考え方に立ち、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会をめざしています。
政府は昨年末、閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」において、3歳から5歳児までの全ての幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化することを決定しました。
対象範囲については、さらに障がい福祉サービスや認可外保育施設、預かり保育も支援の対象とするなど、現場の実態を踏まえた丁寧な検討が求められます。
0歳から2歳児については、保育の受け皿整備や保育士の待遇改善など、待機児童解消への取り組みと併せ、着実に無償化を進めるべきです。
政策パッケージには、公明党が訴えてきた私立高校授業料の実質無償化も盛り込まれ、年収590万円未満の世帯を対象に実現することが決まりました。
政府は安定的な財源の確保に努め、確実に実施するよう求めます。
また、経済的な事情によって、大学などへの進学を諦めずに済むよう、2018年度から本格的に実施される返済の必要のない給付型奨学金について、多子世帯や中所得世帯にも十分に配慮した給付額・対象人数に拡充するとともに、授業料減免についても大幅に拡大すべきです。
未婚のひとり親世帯への支援
子育て世帯の中でも、ひとり親世帯は特に厳しい状況に置かれています。
厚生労働省の調査によれば、母子世帯の収入は、2011年に行った前回調査から改善してはいるものの、依然として、児童がいる世帯全体の収入に対し、半分にも満たない状況です。
また、未婚のひとり親世帯の場合は、より厳しい現実があります。例えば、所得税や住民税の「寡婦控除」の対象は、配偶者との死別や離婚したひとり親世帯のみで、未婚のひとり親世帯は対象外です。このため、税負担はもとより、それに基づき計算される保育料などの負担も重くなっています。
公明党は、これまでも寡婦控除の適用拡大を粘り強く訴え、地方議会でも寡婦控除の「みなし適用」の実現に取り組んできました。
2018年度の与党税制改正大綱では、公明党の主張を反映し、未婚のひとり親世帯への税制上の対応について、19年度改正で検討し結論を得ることになっていますが、未婚のひとり親世帯も寡婦控除の対象とすべきです。
また、離婚後の養育費の不払いも深刻です。離婚した父親から養育費を受け取っている母子世帯は4人に1人を下回っており、改善に向け、早急に取り組むべきです。
貧困世帯、中でも、とりわけ厳しい状況にあるひとり親世帯の貧困の連鎖を断ち切るために、より良い条件での就職・転職を可能とする学び直しや子どもの学習支援、社会保障の強化など、「トランポリン型」セーフティーネット(安全網)を充実すべきです。
医療的ケア児
子育てや教育の現場では、痰の吸引や人工呼吸器の装着が必要であったり、チューブによる栄養補給などが日常的に欠かせないなど、医療的ケアを必要とする子どもが増えています。
こうした「医療的ケア児」は、全国に1万7000人いるとされています。こうした子どもたちが安心して学び、生活できるよう、学校での支援体制や在宅支援を早期に充実すべきです。
支え合いと共生社会(衆議院代表質問:井上義久幹事長)
地域包括ケアシステム
公明党は、高齢者がたとえ要介護状態になっても、住み慣れた地域で自立した生活を送り続けることができる社会をめざしています。
都道府県が策定する「地域医療構想」と「地域包括ケアシステム」との一体的な取り組みを推進してきたのもその一環です。これにより、在宅医療や在宅介護サービスの提供体制が進み、医療の現場も病院から地域へと広がり始めています。
しかし、高齢化のさらなる進展を考えれば、医療、介護、住まい、生活支援サービスなどを地域の中で一体的に受けられる地域包括ケアシステムの構築が急がれます。
特に、医療と介護サービスのネットワークが鍵となります。そこで重要なのが18年度の診療報酬と介護報酬の同時改定です。
例えば「医療的ケアが必要だが入院するほどでもない」というような高齢者が自宅をはじめ、医療サービスが限定されている特別養護老人ホームなどでも生活ができるようにする対応が必要です。
また今後、増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、現行の「介護療養型病床」に代わり、医療と生活の場を一体的に提供する「介護医療院」へとスムーズに移行できるかどうかは、今後の具体的な基準や報酬が大きなポイントとなります。
認知症/基本法制定すべき
認知症患者は年々増え続けています。2015年に525万人だった認知症患者は2025年には700万人を突破すると予想されています。
公明党は、認知症対策の充実、加速化をめざし、昨年8月、党に「認知症対策推進本部」を設置し、当事者や家族、有識者などと精力的に意見交換し、12月に政府に提言を行っています。
提言では特に、認知症患者の意思が最大限尊重されることが大切であり、医療や介護の一方的な提供ではなく、本人の「こうしたい」という意思決定を支援することが重要であると訴えています。
認知症患者の意思決定支援のあり方について、ガイドラインを策定し、普及を図るべきと考えます。
また、政府が策定した国家戦略となる「新オレンジプラン」には、認知症患者や家族の相談体制の充実、地域の見守り体制整備の強化や創薬などの強力な推進など多岐にわたる幅広い施策が盛り込まれていますが、これらを政府挙げて総合的に進めるためにも「認知症施策推進基本法」を制定すべきと考えます。
介護人材の確保
政府は、特別養護老人ホームをはじめ、グループホームや小規模多機能型居宅介護事業といった在宅・施設サービスの整備を加速化し、2020年代初頭までに新たに50万人分の介護の受け皿を用意することとしていますが、介護人材の確保が最大の課題です。
介護人材を確保するため、私たち公明党も介護職員の処遇改善を提案し、これまでに自公政権で月額4万7000円の改善を実現してきました。
政府の新しい経済政策パッケージでも、介護サービス事業所で働く勤続年数10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善を行うこととしていますが、処遇改善の対象は介護福祉士だけでなく、他の介護職員の処遇改善にも充てられるよう柔軟な運用を認めることにしています。
引き続き賃金格差の解消など処遇改善に全力で取り組まなければなりません。
がん対策
長寿命化が進む中、がん対策の強化は重要です。
昨年10月に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」に掲げられている「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」の3本柱の着実な推進が求められています。
「がん予防」については、たばこを吸わないことが最も効果的ながん予防とされ、徹底した受動喫煙防止対策が必要です。また、医師らの外部講師の活用による、がん教育の全国展開にも取り組むべきです。
「がん医療の充実」については、がんゲノム医療や免疫療法など、がん研究を強力に推進すべきです。
「がんとの共生」については、就労や生活支援の取り組みが重要です。中でも病気休業中に生活を保障する傷病手当金制度の使い勝手を良くすべきです。また、医療者への緩和ケア研修の充実が不可欠と考えます。
1億総活躍社会実現への重要な施策です。
施行から2年、新規相談者が約45万人、うち約6万人の方が就労・増収に結び付いています。しかし、課題も見えてきました。例えば、就労準備や家計支援などの事業が任意の事業であるため、地域間でばらつきが出てしまっています。
生活困窮者の社会からの孤立を防ぎ、また、生活上の課題解決による自立と社会参加に向けて、自立相談・就労準備・家計相談にかかる支援が一体的に行えるようにするなど、実情を踏まえた支援体制の見直し・強化を強く求めます。
さらに、「貧困の連鎖」を断ち切るため、子どもの学習支援の他、生活習慣・環境などの向上にもつながるような支援を強化すべきです。
自殺対策
昨年10月、神奈川県座間市で9人の若者が殺害される凄惨な事件が起こりました。
SNSに自殺願望を投稿した被害者の心に付け込む、極めて卑劣な手口に、怒りを通り越し、言葉を失いました。
「死にたい」という亡くなった人たちの叫びは、「生きたい」との裏返しであり、助けを求めるSOSであったと思えてなりません。
特に、青少年の行き場のない悩み、心の叫びを、きちんと汲み取ってあげられる体制を、一刻も早く実現させなければなりません。
昨年、長野県ではLINEを活用した、いじめ・自殺相談を試験的に実施しました。
既存の電話相談が年間259件であったのに対し、わずか2週間で1579人の中高生からアクセスがあり、547件に対応できたそうです。
注目すべきは、交友関係や恋愛、学業など身近な相談が多かったことです。
これは中高生たちが気軽に相談できたことを示しており、悩みが深刻化する前の早期解消につなげることが大いに期待されます。
サイバーパトロール(ネット上の違法・有害情報のチェック)の強化と併せて、こうしたSNSなどを活用した相談事業をはじめ、悩みを抱える人が相談しやすい環境を、全国各地に迅速に整備することを強く求めます。
また、「SOSの出し方に関する教育」をはじめ、社会全体で子どもたちの心の不調に気付き、ケアする体制整備も急務です。
ユニバーサル社会の実現(参議院代表質問:山口那津男代表)
2020年東京五輪・パラリンピックへ、安心の街づくり早く
誰もが訪れやすく、安心して快適に暮らすことができる、そして、誰もが持てる個性や能力を発揮できる―そうした「ユニバーサル社会」の実現が、今こそ求められています。
それは、そのまま地域社会の活性化にもつながっていくはずです。
公明党は、高齢者や障がい者をはじめ、誰もが暮らしやすい街づくりに向け、段差の解消や鉄道駅のホームドア、内方線付き点状ブロックなどの整備促進など、バリアフリー法の制定当時から、その取り組みを強力に推進してきました。
昨年、政府は障がい当事者の意見や要望を十分に踏まえ「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を策定しました。
計画は、「ユニバーサルデザインのまちづくり」とともに、障がい者への差別や偏見をなくす「心のバリアフリー」が大きな2本柱になっています。
この計画を踏まえたバリアフリー法の改正を急ぐとともに、関連施策の見直し・実施に当たっては、引き続き、障がい者とそのご家族・関係者など現場の声・要望に適応した、きめ細かな配慮や工夫が求められます。
東京オリンピック・パラリンピックは、「世界に誇れるユニバーサル社会」実現の大きなチャンスです。
開催都市ともしっかり連携しながら、スピード感を持って推進するよう強く求めます。
障がい者スポーツ
先日、お会いした障がい者スポーツの関係者はこう話されました。
「『障がいは個性』です。健常者も障がい者も差異なく、誰もが『普通に』スポーツに親しめる社会をつくりたい」―私は、胸が熱くなりました。
地域で誰もがスポーツを楽しめる共生社会をつくり上げていきたいと決意を新たにしました。
しかし、障がい者スポーツには、健常者スポーツに比べ、多くの課題があることも現実です。
自分の住む地域で気軽にスポーツができるよう施設などの環境整備、指導者や競技を支える方の育成、心のバリアを取り払う教育の充実など、総合的な取り組みが求められます。
「障がいがあってもスポーツに取り組むことで、自らの可能性にチャレンジし、仲間との交流やコミュニケーションを深め、その結果、人生がより充実したものになる」
スポーツの力は絶大です。
2020年東京パラリンピック大会に向けて、「ソフト」「ハード」そして「ヒューマン」のさまざまな面から支援策を強化していくべきと考えます。
また、20年に向けては、過去の開催国が大切に引き継いできた「たばこのないオリンピック・パラリンピック」という伝統を継承するため、世界に恥じない実効性の高い受動喫煙対策を進めるための法案を早期に提出し、成立を図るべきと考えます。
子育て優先社会(衆議院代表質問:井上義久幹事長)
幼児教育の無償化 対象は丁寧な検討必要 「寡婦控除」の適用拡大を
児童手当や妊婦健診の公費助成など、公明党が提案し、実現してきた子育て支援策は数多くあります。
2006年に公明党は、「子どもが幸せな社会は、みんなが幸せな社会」との考え方に基づき、子育てを社会全体で支える「チャイルドファースト社会」をめざし、党独自の政策提言「少子社会トータルプラン」を発表しています。
現在、政府・与党を挙げて取り組んでいる「幼児教育の無償化」や「待機児童の解消」「給付型奨学金の創設」などは、公明党がこの政策提言を基に、これまで10年以上にわたって実現を訴え続けてきた政策です。
「子育てにかかる経済的負担の軽減」や「働きながら子育てできる環境の整備」など、子育てを社会全体で支える政策の実現は、「少子高齢化を克服する道」にも通じると私たちは考えています。
また、公明党は、「人への投資が未来を開く」との考え方に立ち、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会をめざしています。
政府は昨年末、閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」において、3歳から5歳児までの全ての幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化することを決定しました。
対象範囲については、さらに障がい福祉サービスや認可外保育施設、預かり保育も支援の対象とするなど、現場の実態を踏まえた丁寧な検討が求められます。
0歳から2歳児については、保育の受け皿整備や保育士の待遇改善など、待機児童解消への取り組みと併せ、着実に無償化を進めるべきです。
政策パッケージには、公明党が訴えてきた私立高校授業料の実質無償化も盛り込まれ、年収590万円未満の世帯を対象に実現することが決まりました。
政府は安定的な財源の確保に努め、確実に実施するよう求めます。
また、経済的な事情によって、大学などへの進学を諦めずに済むよう、2018年度から本格的に実施される返済の必要のない給付型奨学金について、多子世帯や中所得世帯にも十分に配慮した給付額・対象人数に拡充するとともに、授業料減免についても大幅に拡大すべきです。
未婚のひとり親世帯への支援
子育て世帯の中でも、ひとり親世帯は特に厳しい状況に置かれています。
厚生労働省の調査によれば、母子世帯の収入は、2011年に行った前回調査から改善してはいるものの、依然として、児童がいる世帯全体の収入に対し、半分にも満たない状況です。
また、未婚のひとり親世帯の場合は、より厳しい現実があります。例えば、所得税や住民税の「寡婦控除」の対象は、配偶者との死別や離婚したひとり親世帯のみで、未婚のひとり親世帯は対象外です。このため、税負担はもとより、それに基づき計算される保育料などの負担も重くなっています。
公明党は、これまでも寡婦控除の適用拡大を粘り強く訴え、地方議会でも寡婦控除の「みなし適用」の実現に取り組んできました。
2018年度の与党税制改正大綱では、公明党の主張を反映し、未婚のひとり親世帯への税制上の対応について、19年度改正で検討し結論を得ることになっていますが、未婚のひとり親世帯も寡婦控除の対象とすべきです。
また、離婚後の養育費の不払いも深刻です。離婚した父親から養育費を受け取っている母子世帯は4人に1人を下回っており、改善に向け、早急に取り組むべきです。
貧困世帯、中でも、とりわけ厳しい状況にあるひとり親世帯の貧困の連鎖を断ち切るために、より良い条件での就職・転職を可能とする学び直しや子どもの学習支援、社会保障の強化など、「トランポリン型」セーフティーネット(安全網)を充実すべきです。
医療的ケア児
子育てや教育の現場では、痰の吸引や人工呼吸器の装着が必要であったり、チューブによる栄養補給などが日常的に欠かせないなど、医療的ケアを必要とする子どもが増えています。
こうした「医療的ケア児」は、全国に1万7000人いるとされています。こうした子どもたちが安心して学び、生活できるよう、学校での支援体制や在宅支援を早期に充実すべきです。
支え合いと共生社会(衆議院代表質問:井上義久幹事長)
地域包括ケアシステム
公明党は、高齢者がたとえ要介護状態になっても、住み慣れた地域で自立した生活を送り続けることができる社会をめざしています。
都道府県が策定する「地域医療構想」と「地域包括ケアシステム」との一体的な取り組みを推進してきたのもその一環です。これにより、在宅医療や在宅介護サービスの提供体制が進み、医療の現場も病院から地域へと広がり始めています。
しかし、高齢化のさらなる進展を考えれば、医療、介護、住まい、生活支援サービスなどを地域の中で一体的に受けられる地域包括ケアシステムの構築が急がれます。
特に、医療と介護サービスのネットワークが鍵となります。そこで重要なのが18年度の診療報酬と介護報酬の同時改定です。
例えば「医療的ケアが必要だが入院するほどでもない」というような高齢者が自宅をはじめ、医療サービスが限定されている特別養護老人ホームなどでも生活ができるようにする対応が必要です。
また今後、増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応するため、現行の「介護療養型病床」に代わり、医療と生活の場を一体的に提供する「介護医療院」へとスムーズに移行できるかどうかは、今後の具体的な基準や報酬が大きなポイントとなります。
認知症/基本法制定すべき
認知症患者は年々増え続けています。2015年に525万人だった認知症患者は2025年には700万人を突破すると予想されています。
公明党は、認知症対策の充実、加速化をめざし、昨年8月、党に「認知症対策推進本部」を設置し、当事者や家族、有識者などと精力的に意見交換し、12月に政府に提言を行っています。
提言では特に、認知症患者の意思が最大限尊重されることが大切であり、医療や介護の一方的な提供ではなく、本人の「こうしたい」という意思決定を支援することが重要であると訴えています。
認知症患者の意思決定支援のあり方について、ガイドラインを策定し、普及を図るべきと考えます。
また、政府が策定した国家戦略となる「新オレンジプラン」には、認知症患者や家族の相談体制の充実、地域の見守り体制整備の強化や創薬などの強力な推進など多岐にわたる幅広い施策が盛り込まれていますが、これらを政府挙げて総合的に進めるためにも「認知症施策推進基本法」を制定すべきと考えます。
介護人材の確保
政府は、特別養護老人ホームをはじめ、グループホームや小規模多機能型居宅介護事業といった在宅・施設サービスの整備を加速化し、2020年代初頭までに新たに50万人分の介護の受け皿を用意することとしていますが、介護人材の確保が最大の課題です。
介護人材を確保するため、私たち公明党も介護職員の処遇改善を提案し、これまでに自公政権で月額4万7000円の改善を実現してきました。
政府の新しい経済政策パッケージでも、介護サービス事業所で働く勤続年数10年以上の介護福祉士に月額8万円相当の処遇改善を行うこととしていますが、処遇改善の対象は介護福祉士だけでなく、他の介護職員の処遇改善にも充てられるよう柔軟な運用を認めることにしています。
引き続き賃金格差の解消など処遇改善に全力で取り組まなければなりません。
がん対策
長寿命化が進む中、がん対策の強化は重要です。
昨年10月に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」に掲げられている「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」の3本柱の着実な推進が求められています。
「がん予防」については、たばこを吸わないことが最も効果的ながん予防とされ、徹底した受動喫煙防止対策が必要です。また、医師らの外部講師の活用による、がん教育の全国展開にも取り組むべきです。
「がん医療の充実」については、がんゲノム医療や免疫療法など、がん研究を強力に推進すべきです。
「がんとの共生」については、就労や生活支援の取り組みが重要です。中でも病気休業中に生活を保障する傷病手当金制度の使い勝手を良くすべきです。また、医療者への緩和ケア研修の充実が不可欠と考えます。