CoCo CLT:つくばCLT実験棟
 2月16日、那珂川で繋がる茨城・栃木両県議会の森林・林業・林産業活性化促進議員連盟の平成29年度那珂川「森林と水」こだわり交流会が開催されました。つくば市を会場として開催し、意見交換会を行うと共に新建築材のCLTやセルロースナノファイバーに関して、研究施設に伺い調査を行いました。井手よしひろ県議は副会長として、開会のご挨拶をさせていただきました。
 この日、視察した施設は、建設研究所と農研機構の2か所。特に、建築研究所では、昨年春に完成した「CoCo CLT:つくばCLT実験棟」を調査は有意義でした。
 つくばCLT実験棟は、日本CLT協会が国土交通省の「平成26年度追加木造建築技術先導事業(木造実験棟)」の補助を受けて建設したものです。
 見どころは、国産材の杉を使った幅2m×高さ6mの大版パネルの通し壁と、CLTの内装現し仕様、また3mバルコニーは、CLT床板をそのまま片持ちにしています。デザイン性にも優れ、井手県議が先に現地調査した岡山県真庭市のビジネスホテルよりも、コンテンポラリーで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
 この験棟で、建築研究所との共同研究により、施工性能検証を行っています。CLTの変形挙動性能、居住環境性能、および耐久性などの長期性能を検証する予定です。
CoCo CLT:つくばCLT実験棟
導入進むCLT工法
 CLTとはCross Laminated Timberの略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料です。厚みのある大きな板であり、建築の構造材の他、土木用材、家具などにも使用されています。
 CLTは1995年頃からオーストリアを中心として発展し、現在では、イギリスやスイス、イタリアなどヨーロッパ各国でも様々な建築物に利用されています。また、カナダやアメリカ、オーストラリアでもCLTを使った高層建築が建てられるなど、CLTの利用は近年になり各国で急速な伸びを見せています。特に、木材特有の断熱性と壁式構造の特性をいかして戸建て住宅の他、中層建築物の共同住宅、高齢者福祉施設の居住部分、ホテルの客室などに用いられています。
 日本では、2013年12月に製造規格となるJAS(日本農林規格)が制定され、2016年4月にCLT関連の建築基準法告示が公布・施行されました。これらにより、CLTの一般利用がスタートしています。
 CLTは構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性などの複合的な効果も期待できます。木の表面をそのまま見せて用いると、木目や木の肌触りを感じる心地のいい空間ができます。また、木材は持続可能な循環型資源であり、森林資源を有効活用した省CO2型の建物を建てることができます。
 その他にも、工場内で一部の材料を組み立ててから現場に搬入するプレファブ化による施工工期短縮が期待でき、接合具がシンプルなので熟練工でなくとも施工が可能です。災害時の仮設用住宅にパーツとして保管し、必要な時に組み立てて利用することも考えられます。RC造などと比べた場合の軽量性も大きな魅力です。