新入学のイメージ
 経済的に困窮している世帯が、ランドセル購入などの小学校入学準備費用を用意しなくても済むよう、義務教育の就学援助の入学前支給が全国の市区町村で広がっています。入学前支給が実施されれば、入学準備に必要なランドセル代などの費用に充てられるようになり、対象世帯にとっては一時的な出費を抑えることができます。
 公明党の主張で昨年3月末、就学援助に関する国の補助金(要保護児童生徒援助費補助金)交付要綱が改正されました。国の補助金の単価は昨年4月から小・中学校ともに前年度比で約2倍に増額されています。
 就学援助は、児童生徒の家庭が経済的に困窮している場合、学用品などの費用の一部を市区町村が国の補助も得て支給する制度です。ランドセルなど入学時に必要な学用品の費用は支給されるものの、改正前の補助金交付要綱では、国庫補助の対象に小学校入学前を含まない形にしていたため、多くの市区町村で入学後の支給となっていました。
 公明党は、2017年3月の衆院文部科学委員会で、「国が要綱を変えれば入学前支給はできる。早急に検討を」と主張しました。これを受けて、文科省は同3月末に要綱を改正しました。
 要綱の改正によって、入学前の支給を予定する市区町村は、前年の89団体から711団体(2017年6月時点)へと約8倍に急増しました。ただ、実施率で見れば40.6%にとどまり、約6割の市区町村では入学前支給が実施されない見通しです。もう一段の普及を進めるべきです。
 国の取り組みが変わったにもかかわらず、過半数の自治体が実施ていないのは、条例の改正と制度を変える際に2年分の予算を用意しなければならないからです。また、事前の対象世帯の把握が難しいという事情もあります。すでに入学前支給を実施している自治体では、入学前の健康診断の際に案内チラシを配布するなどして、対象世帯を事前に把握する工夫をしています。
 予算措置や条例などの改正にしても、手続きだけの問題であれば、今からの準備で、来年春の実施には十分間に合います。
 茨城県議会公明党では、就学援助の入学前支給の県内の状況を調査するとともに、各市町村議会の公明党議員と連携して、県内すべての市町村の実施に向けて全力を挙げます。