井手よしひろ県議の代表質問【茨城県の魅力度と新総合計画】
 3月5日、井手よしひろ県議は県議会代表質問に登壇。大井川和彦知事に対して、5つの項目から県政運営の基本姿勢、来年度予算の考え方などを質しました。
 冒頭、井手県議は大井川知事の就任以来5ヶ月間の県政運営について、そのスピード感を高く評価したうえで、新たな県総合計画の数値目標の設定やSDGsの考え方を導入するよう提案しました。
 以下、井手県議の質問と大井川知事の答弁の要旨を議論の模様をご紹介します。なお、質問、答弁とも正式な議事録ではありませんので、ご了解下さい。
県議会代表質問<井手よしひろ>
大井川知事の政策ビジョンの「基本理念」を踏まえた、茨城県の魅力度と新たな県総合計画について
 大井川知事が就任されて5か月余り。昨年暮れには、県政の指針となる「『新しい茨城づくり、』政策ビジョン」が明示されました。知事の考え方が具体化された平成30年度予算がこの定例会に提案され、それを実行する県庁の新たな組織改正案も示されたところです。中長期的な方向性を示す、県総合計画の策定も、今年秋を目指して着手されました。
 このスピード感は、「この10年間が勝負」との知事の明確な現状認識とその対応への真剣さの表れと高く評価するところです。ちなみに、24年間続いた前橋本県政では、県の総合計画の改定に1年6カ月、県庁の組織改革には5年6カ月を要しました。
 「スピードはきわめて重要だ。競争力に欠かすことのできない要素である。スピードがあれば、企業も、従業員も、いつまでも若さを保てる。スピードは習慣になりやすい。これを利用しない手はない。長く待ちすぎるより、早すぎる行動に価値がある」とは、20世紀最高の経営者と称せられた元GEのCEOジャック・ウェルチのことばです。
 知事の力強いリーダーシップで、県庁全体が大きく動き出した実感があることは事実です。「スピードは習慣になりやすい」との先の格言のように、県庁がマンネリを打破し、茨城県が抱える難問に果敢に挑戦していただきたいと念願いたします。

 今回の代表質問は、知事が示した「『新しい茨城づくり、』政策ビジョン」の内容にそって、構成しました。政策ビジョンの基本理念、基本姿勢、そして新しい4つのチャレンジについて、順次、知事に質問します。質問は、その議論の過程を県民のみなさまにもご理解いただけるよう一問一答(分割)方式で行います。限られた時間ではございますが、明確なご答弁をよろしくお願いいたします。

 まず、知事の政策ビジョンの基本理念にかかわる質問です。
 『活力があり、県民が日本一幸せな県』をつくるという基本ビジョンは、わかりやすく説得力があるものです。「日本一」という言葉に込められた知事の思いを私も共有するものであります。そのうえで、この「日本一」ということを、単に抽象的な形容詞に終わらせてはならないと思います。
 ブランド総合研究所が調査・公表している「地域ブランド調査」における本県の「魅力度」は、5年連続ワースト1という結果です。茨城の魅力を実感する私たちにとっては、甚だ遺憾であり、納得のいかないものです。
 この都道府県別の魅力度ランキングを「日本一」にすることは、実は容易ではありません。なぜならば、心理学でいうところの『刷り込み効果』で、「茨城県の魅力度はワースト1である」との、誤ったメッセージが多くの国民に刷り込まれてしまっているからです。これは、『ザイオン効果』とも呼ばれています。情報の善し悪しにかかわらず、接触頻度が多くなることで、イメージが固定化されてしまうという効果です。
 ブランド総研の魅力度調査には、客観的な指標は何もありません。だからこそ、その刷り込まれた印象を払拭することは非常に難しいといえます。

 そこで、現在策定中の新たな県総合計画には、「県民が日本一幸せな県」と客観的に評価できる指標を盛り込むべきと提案します。
 現行の『いばらき未来共創プラン』には192項目に亘る数値目標が掲げられています。こうした数値目標に、他県と比較できる指標を加えるべきだと考えます。
 例えば、国連の持続可能な開発目標であるSDGsを基本として、他の都道府県とも比べることができる数値目標を設定してはどうでしょうか。客観的な数値による茨城県政の充実度を明確にすることは意義があります。県民に対する説明責任や県民の誇りを醸成することにつながるのではないでしょうか?
 こうした視点から、魅力度のとらえ方についてのご所見をお伺いいたします。
 また、新たな県総合計画について、どのような数値目標を設定する考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

県議会代表質問<大井川和彦知事>
大井川知事の答弁:SDGsの考え方などを取り入れ、具体的な数値目標を明確にした新たな総合計画を検討する
 はじめに、政策ビジョンの基本理念を踏まえた本県の魅力度と新たな県総合計画についてお尋ねをいただきました。
 まず魅力度のとらえ方についてでございます。
 本県には多彩な魅力があり、民間の調査会社における「住みよさランキング」では、100位以内に全国で5番目、関東地方では2番目に多い6市がランクインするなど、本県の魅力度は高く評価されております。
 ブランド総合研究所における魅力度ランキングの順位は、県民の実感とはギャップがあると感じておりますが、本県の魅力をあらためて見つめ直す契機にもなっておりますので、先月開催しました「いばらきイメージアップ大賞」におきましては、ブランド総合研究所に対し、特別賞を授与させていただきました。
 私は、魅力とは、観光面の魅力、住みやすさ、所得の高さ、食べ物のおいしさなど様々な観点があると考えており、こうしたことすべてについて、より良くしていく努力を重ねていくことが魅力度の向上につながるものと考えております。
 このため、新たに作成した「新しい茨城づくり」政策ビジョンでは、「観光誘客」、「農林水産物のブランド化」、「企業誘致」を県の最重要PRテーマとして位置付け、県内に存在する多様な魅力の発掘や、テーマやターゲットを絞った戦略的な情報発信を行ってまいります。
 推進体制につきましても、4月から新たに設置する営業戦略部の中にプロモーション戦略チームを設置し、スピード感を持って情報発信に取り組み、本県の魅力度向上を図ってまいります。

 次に、総合計画における数値目標の設定についてでございます。
 本年9月を目途に策定する新たな総合計画では、PDCAサイクルにより、政策の効果をしっかりと検証することのできる数値目標を設定することが重要であると考えております。
 議員ご提案の他県と比較できる客観的な指標につきましては、私が目指す「活力があり、日本一幸せな県」を、県民の皆様とともに実感でき、かつ、それらが着実に伸びていく姿を明らかにできるような指標であることが望ましいと認識しております。
 また、世界共通の持続可能な開発目標であるSDGsは、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に、国際社会全体で統合的に取り組むものであり、グローバル社会の中で大きく飛躍を目指す本県にとっても重要な視点であると考えております。
 さらに、SDGsの考え方と、昨年12月に策定した「新しい茨城づくり」政策ビジョンの方向性は、共有できるものが数多くあるものと認識しており、計画策定にあたりましては、SDGsの考え方なども大変参考になるものと考えております。
 いずれにいたしましても、総合計画において、どのような数値目標を設定すべきかにつきましては、今後の総合計画審議会における議論を十分に踏まえ、検討を進めてまいります。