井手よしひろ県議の代表質問【東海第2原発再稼働中止と原電の廃炉専業事業者への業態変更を知事に提案】
3月5日、井手よしひろ県議は県議会代表質問に登壇。大井川和彦知事に対して、5つの項目から県政運営の基本姿勢、来年度予算の考え方などを質しました。
「新たな安心安全への挑戦」にあたって、井手県議は東海第2原発の再稼働中止と運営する日本原電を廃炉専門の事業者に業態変更するよう大井川知事に提案しました。
以下、井手県議の質問と大井川知事の答弁の要旨を議論の模様をご紹介します。なお、質問、答弁とも正式な議事録ではありませんので、ご了解下さい。
東海・日立地区の活性化のため、東海第2原発は再稼働を止め、日本原電を廃炉専門の企業に
3つ目の提案は、東海第2原発の再稼働を中止し、運営する日本原電を廃炉専業の事業者に転換するという提案です。
現在、日本原電は、東海第2原発の適合性審査申請に加えて、運転期間延長申請も提出しています。しかし、東海第2原発は、●30キロ圏内に96万人が居住している。●首都東京まで110キロの至近距離である。●実効性が伴う広域避難計画の策定はほぼ不可能である。●直近に原子力開発機構の再処理施設が位置し、高レベル放射性廃液が管理されている。●日本原電は経営的基盤が脆弱で、廃炉積立金すら不足している。●安全対策工事費の債務保証を、東電が担うことは国民の理解を得られない。●原子力安全協定の範囲が拡大されれば、周辺6市村の同意を得られるか不透明である。
等々の理由により、県民の再稼働への理解を得ることは非常に難しい状況です。
日本原電は保有している原発がすべて停止しており、東海第2原発の再稼働に向けて準備する以外に、生き残るための選択肢がありません。また、株主である電力各社も日本原電が経営破たんすれば、保有する株式に深刻な影響が出ることが懸念されています。こうした背景から現在の東海第2原発の再稼働に向けた、県民の声を無視した、無理な動きが出ていると考えます。
この問題を解決し、日本原電を東海・日立地区の新たな活性化の拠点とするためには、日本原電を全く新しい企業に変身させる必要があります。
日本の原子力発電の将来を考えた場合、通常運転を終えた商用原発の廃炉は必ず発生します。ここに着目すれば、日本原電がとるべき別の選択肢が見えてきます。沸騰水型、加圧水型のどちらのノウハウも持ち、また既に東海原発の廃炉措置に着手している日本原電には、米・エナジーソリューションズ社のような廃炉専門会社に転身できる大きな可能性があります。
東海第2原発は廃炉を選択し、日本原電を廃炉専業事業者に業態変更。そして、他の電力事業者の原発廃炉を受注する特措法を設けて、日本原電が一括して廃炉業務を行う体制を検討すべきだと提案します。
知事にあっては、八方塞がりとなっている現状を、新たな発想と突破力で打開していただきたいと期待します。知事に、日本原電の廃炉専門事業者への業態変更を、国に提案していただきたいと考えますが、いかがでしょうか?
以上、大規模災害から茨城県民の安心安全を守るための3つの提案について、知事のご所見を伺います。
大井川知事の答弁:東海第2原発の再稼働は、原子力防災対策や地域住民の理解の面などにおいて様々な課題がある
東海第2発電所につきましては、現在、国の原子力規制委員会において、新規制基準適合性審査が行われているところであり、今後の取扱いについては、現時点において国や事業者から具体的な方針は示されていない状況にございます。
こうした中、議員から「日本原電を廃炉専門の事業者に転換するよう国に提案すべき」とのご提案をいただきました。
日本原電の一つの動きとして、敦賀発電所1号機の廃止措置の効率的な遂行に向け、米国の廃止措置専門会社であるエナジーソリューションズ社との間で、同社の有する廃炉技術のノウハウを取得し、活用することで合意したところであり、これにより、今後、国内の原子力発電所の安全確保を前提にした効率的な廃止措置の実施に貢献していきたいとしていることは、承知しております。
しかし、一民間事業者の経営方針に関わることを、県の立場から具体的な方向性を申し上げることは差し控えたいと考えております。
東海第2発電所の再稼働を巡っては、原子力防災対策や地域住民の理解の面などにおいて様々な課題があると認識しており、県といたしましては、東海第2発電所の安全性をしっかりと見極めていくとともに、万一に備えた実効性ある原子力防災体制の構築を図った上で、県民の声にしっかりと耳を傾け、県民の安全、安心の観点から慎重に対処してまいりたいと考えております。