水戸市議会の意見書案 3月19日、東海第二原発を巡り、水戸市議会総務環境委員会は、「住民の理解なき再稼働を認めない意見書」案をまとめ、全会一致で認めました。この意見書案は20日開かれる議会運営委員会に諮られ、承認されれば22日の水戸市議会本会議に提出される見込みです。
 東海第二原発は、今年(2018年)11月28日に、運転開始から40年を迎えます。現在、再稼働を求める適合性審査と20年の運転延長審査が、原子力規制委員会で進められています。
 意見書案には、東海第二原発について「住民理解のない再稼働は認めない」と明記。「原子力に依存しない社会移行を目指し、代替エネルギー確保と新エネルギー導入促進を進める」「原子力防災情報の伝達体制を充足し、UPZ(緊急防護措置区域)における実効性のある避難態勢確立を早急に完成させる」などの意見を記載しました。
 さらに意見書案では、原発から30キロ圏の14市町村の実効性ある避難計画の策定が不十分とした上で、原電が運転延長を申請したことに対しても「再稼働を前提とした運転延長を認められない」と断じています。
 総務環境委員会では、委員長を除く5人全員が意見書案に賛成しました。委員の一人で意見の取りまとめに尽力した公明党の伊藤充朗市議は「原発事故から学ぶことは、原発は認められないということ。事故が起きたら避難できない。さまざまな議員の支持者も同じように思った結果だろう」と語りました。
 3月15日井手よしひろ県議は、水戸市議会の伊藤市議、五十嵐博市議らと意見交換し、東海第二原発をめぐる諸課題について意見交換。さらに、高橋靖市長と原子力安全協定の広域化について議論を交わしました。
原子力安全協定の広域化議論が今後の焦点に
 水戸市議会での「東海第2原発の再稼働を認めない意見書」は、県や国への意思表示というだけに止まらない意義を持っています。
 原発を再稼働させるためには、原子力安全協定を結んだ所在自治体の"事前承認"が不可欠です。通常、首長が再稼働を認めるという意思を示すわけですが、議会でも事前承認が必要になります。議会の事前承認は、法的に決まられたものではありません。従前の例では、再稼働を求める陳情や請願を認めるとか、議会が意見書を採択することで、事前承認としています。
 ということは、水戸市で再稼働を認めない意見書が採択されれば、東海第2原発の再稼働は認められないということになります。
 ただし、現状では水戸市と日本原電は原子力安全協定を結んでいません。この事前協議の対象ではありません。そこで、水戸市を含む6市村(水戸市、日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市、東海村)は、この原子力安全協定の範囲拡大を求めて、現在日本原電と交渉中です。
 この協定は、3月中に締結されるとされており、昨日の県議会予算特別委員会でも確認しました。
 この協定がどのようなものになるか、住民の注目が一挙に集まることになります。

重要な更新
「東海第二」再稼働 反対意見書案「早期可決を」
東京新聞茨城版 2018年3月21日
 日本原子力発電(原電)東海第二原発(東海村)の再稼働に現時点で反対するとした水戸市議会の委員会でまとめられた意見書案。一部議員が手続きを問題視し二十日、三月議会にかけることが見送られた。ただ、文言の変更はなく六月の議会で可決するとみられる。意見書に賛同する議員からは、早期の可決を求める声が聞かれた。
 意見書案をまとめた総務環境委員会は、三月議会で可決するよう求めていた。だが、この日開かれた市議会の議会運営委員会(議運)で、一部委員が、今回のように議会開会前の議運で協議しなかった議案を議員が提出する時は、「緊急性がある場合」とするルールがあることを指摘した。
 委員の一人で最大会派・新生改革水戸の松本勝久市議は「意見書案は緊急性がないと感じた。今回、議運で了承して前例を作る必要はない」と、三月議会での採決に反対した。ただ、「私自身は原発に反対」と述べ、内容に賛同する。
 別の委員の田中真己市議(共産)は「三月議会で採決し、可決させたかった。大事な意見書案なので、六月議会で採決できるような環境をつくる」と話した。
 意見書案づくりを主導した伊藤充朗市議(公明)は「提案が見送られたのは残念だが、六月の定例会で全会一致の提案・可決するための延期なら仕方ない」とコメントした。
 東海第二が四十年の運転期限を迎え、原電が最長二十年の延長を申請したことを受け、意見書案では「実効性が伴う避難計画の策定が十分とは言えず、現時点で住民理解が得られるものではない。再稼働を前提とした運転延長は認められない」としていた。