部活動のイメージ
 3月19日、文部科学省の外局であるスポーツ庁は、運動部活動のガイドラインの策定及び運動部活動の適切な運営にかかわる取り組みの徹底について依頼文を各都道府県の教育員会に送付しました。
 スポーツ庁が公表した部活動のガイドラインの主な内容を要約すると、
  • 学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、週末(土曜・日曜)は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える)
  • 長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な休養を取ることができるとともに、運動部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
  • 1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。
  • 地域のスポーツクラブなどと連携し、生徒がスポーツをする環境を整備する。
  • 運動部顧問はスポーツ医科学の知見を持ち、故障の原因となる過度な練習を避け、科学トレーニングで合理的に効果をあげる
  • 多くの大会に参加することが生徒の負担とならないよう大会の統廃合を進める

 近年、社会や経済の変化などにより、教育に関わる課題が複雑化・多様化し、学校や教師だけでは解決できない課題が増えています。さらに少子化が進み、運動部活動が従前と同様の運営体制では維持が難しくなってきているのも事実です。スポーツ庁は平成29年5月より運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議を発足し、議論を進めてきました。
 ガイドラインの基本的な考え方は、学校の種類や学校の設置者の違いに関わらず該当するものであることから、高校の運動部活動についてもガイドラインを原則として適用し、速やかに改革に取り組むとしている。
 茨城県では、このスポーツ庁のガイドラインもとに、茨城県独自のガイドラインの策定を現在進めています。有識者会議での検討を経て、6月中にはまとめる予定です。
 井手よしひろ県議は、このガイドライン策定に関して、3月県議会予算特別委員会で取り上げました。(2018年3月28日付けブログ「中学校での“朝練”の見直しを提案/県議会予算特別委員会での議論より」http://blog.hitachi-net.jp/archives/51680374.html
 この中では、朝練習について原則廃止するよう提案しました。すでに群馬県では、朝練習を「放課後の練習時間が十分に取れる日は原則として行わない」「希望者のみ」と明記しました。
 また、少子化が進み、中学校の生徒数が減少している状況に注目し、ガイドラインでは「地方公共団体は、少子化に伴い、単一の学校では特定の競技の運動部を設けることができない場合には、生徒のスポーツ活動の機会が損なわれることがないよう、複数校の生徒が拠点校の運動部活動に参加する等、合同部活動等の取組を推進する」との項目を加えました。
 さらに結論部では、「本ガイドラインは、生徒の視点に立った、学校の運動部活動改革に向けた具体の取組について示すものであるが、今後、少子化がさらに進むことを踏まえれば、ジュニ ア期におけるスポーツ環境の整備については、長期的には、従来の学校単位での活動から一定規模の地域単位での活動も視野に入れた体制の構築が求められる」として、学校の部活動を地位単位の活動への転換を指向しています。