3月29日、日本原子力発電(日本原電)は、所有する東海第2原発の再稼働に関し、30キロ圏内の6市村(東海村、日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市、水戸市)と新たな安全協定を結びました。
立地する東海村に加え周辺の5つの市とも協議を重ね、「実質的に事前了解を得る」ことを、安全協定に明記しました。
6市村の意見が分かれ、一つの自治体でも再稼働に反対した場合、どのように対応するかなど、実際の運用に不透明な点は残っているのも事実です。しかし、原発の再稼働手続きで周辺自治体の了解を盛り込んだ協定は全国で初めてとなり、画期的な取り組みです。6市村の首長の粘り強い交渉に敬意を表します。
原発事故が起きれば、その影響は立地自治体にとどまりません。にもかかわらず、周辺自治体は再稼働の事前了解権を持ちません。この新協定を、そんな矛盾を全国的に見直すモデルと位置付けるべきです。
原発立地自治体は通常、他の自治体が了解権を持つことを嫌います。立地自治体は税金など様々なメリットを原発事業者から受けるからです。また、原発関連の企業やサービス業、その従業員など、原発に直接的利害関係をもっており、大規模な施設改修などにも理解を示すことが多くなります。
このような中、日本原電と周辺自治体の交渉は、東京電力福島第1原発事故後に脱原発に転じた村上達也前東海村長が、周辺自治体へ呼びかけたことで始まりました。福島第1原発事故後、国は事故に備えた住民の避難計画を策定する市町村を原発8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大。この30キロ県内に、東海第2原発の場合、全国最多の約96万人が住んでいます。茨城県の県庁所在地である水戸市もスッポリとその範囲に入ります。当然のように、避難計画策定は今も難航しており、実効性のある計画立案は絶望的です。原発再稼働に対する住民感情も複雑で、地元でも再稼働に反対する声は4割を超えています。
村上前村長からバトンを受けた山田修村長は、周辺5市の首長と共に粘り強い交渉を続けました。
日本原電は、原子力専業の発電会社です。3基の原発で発電した電気を、東京電力などの電力事業者に卸売りしています。日本原電が、この新たな安全協定の締結を受け入れた背景には、「東海第2原発が原電の命運を握る存在」という苦しい経営状況もありました。原発専業でありながら、原発事故以降は保有原発全てが運転停止。2012年3月期連結決算では純損益が過去最悪の128億円の赤字に陥るなど、震災後は年度の連結純損益が4度も赤字となっています。再稼働の望みを託せるのは事実上、東海第2原発のみです。日本原電の村松社長は「経営上極めて重要なプラントだ」と繰り返し強調し、何としてもこの原発を再稼働させたいとの思いが、大きな譲歩の上での協定締結となりました。
立地する東海村に加え周辺の5つの市とも協議を重ね、「実質的に事前了解を得る」ことを、安全協定に明記しました。
6市村の意見が分かれ、一つの自治体でも再稼働に反対した場合、どのように対応するかなど、実際の運用に不透明な点は残っているのも事実です。しかし、原発の再稼働手続きで周辺自治体の了解を盛り込んだ協定は全国で初めてとなり、画期的な取り組みです。6市村の首長の粘り強い交渉に敬意を表します。
原発事故が起きれば、その影響は立地自治体にとどまりません。にもかかわらず、周辺自治体は再稼働の事前了解権を持ちません。この新協定を、そんな矛盾を全国的に見直すモデルと位置付けるべきです。
原発立地自治体は通常、他の自治体が了解権を持つことを嫌います。立地自治体は税金など様々なメリットを原発事業者から受けるからです。また、原発関連の企業やサービス業、その従業員など、原発に直接的利害関係をもっており、大規模な施設改修などにも理解を示すことが多くなります。
このような中、日本原電と周辺自治体の交渉は、東京電力福島第1原発事故後に脱原発に転じた村上達也前東海村長が、周辺自治体へ呼びかけたことで始まりました。福島第1原発事故後、国は事故に備えた住民の避難計画を策定する市町村を原発8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大。この30キロ県内に、東海第2原発の場合、全国最多の約96万人が住んでいます。茨城県の県庁所在地である水戸市もスッポリとその範囲に入ります。当然のように、避難計画策定は今も難航しており、実効性のある計画立案は絶望的です。原発再稼働に対する住民感情も複雑で、地元でも再稼働に反対する声は4割を超えています。
村上前村長からバトンを受けた山田修村長は、周辺5市の首長と共に粘り強い交渉を続けました。
日本原電は、原子力専業の発電会社です。3基の原発で発電した電気を、東京電力などの電力事業者に卸売りしています。日本原電が、この新たな安全協定の締結を受け入れた背景には、「東海第2原発が原電の命運を握る存在」という苦しい経営状況もありました。原発専業でありながら、原発事故以降は保有原発全てが運転停止。2012年3月期連結決算では純損益が過去最悪の128億円の赤字に陥るなど、震災後は年度の連結純損益が4度も赤字となっています。再稼働の望みを託せるのは事実上、東海第2原発のみです。日本原電の村松社長は「経営上極めて重要なプラントだ」と繰り返し強調し、何としてもこの原発を再稼働させたいとの思いが、大きな譲歩の上での協定締結となりました。
日本原電と茨城県、東海村が結ぶ既存の安全協定では、再稼働に関わる事前了解権を持つのは県と村のみに限られていました。被害が広範囲に及んだ東京電力福島第1原発事故後、再稼働問題は「小さな村の首長だけで背負える責任ではない」と、当時の村上東海村長が周辺自治体に呼び掛け、「原子力所在地域首長懇談会」が2012年に発足しました。
東海村と周辺5市の首長は、事前了解にこだわり交渉を続けました。2016年12月21日、東海村で開かれた会合後、座長を務める山田東海村長らは、肝心の事前了解権への言及をかたくなに避ける原電側の対応に不満を隠しませんでした。
2017年11月、交渉の潮目が変わります。2018年11月28日に、東海第2原発は運転から40年の節目を迎えます。20年の運転延長に必要な国への認可申請期限が迫っていました。東海村を訪れた日本原電の村松衛社長は、既存の安全協定とは別に新しい安全協定を6市村と結び、そこに再稼働と延長運転に関する「実質的な事前了解」を盛り込むと回答しました。この後も厳しい交渉が続けられ、最終的に新協定は、事前協議などを通じ6市村から「実質的に事前了解を得る」と明記され、権限がより明確になりました。
協定締結に至った3月29日。村松社長は居並ぶ6首長の前で「1自治体でも納得できない状況で協議を打ち切ることはない」と断言しました。
事前了解権を立地自治体に限る従来の枠組みへの異論は全国的にも相次いでいます。周辺自治体が訴訟を起こす事例もあります。しかし、実際に周辺にまで広がるのは全国で初めてでした。
なぜ東海第2原発だけ実現したのか。山田村長は「立地の東海村も周辺自治体と足並みをそろえて権限拡大を要求してきた点が他県とは決定的に違う。よそは立地(自治体)が声を上げていない」と地元紙のインタビューに応えています。明確な事前了解権をもつ立地自治体の首長が筋を通した交渉を貫いたことが、こうした画期的な結果に繋がったと評価します。日本原電からすれば「なぜ東海村まで言い出すのか」との思いはあったはずですが、背に腹を変えられない苦渋の判断であったと思われます。
新たな安全協定締結で、原子力行政に関わる体制づくりが急務
安全協定は住民の安全確保を目的に事業者と自治体が結ぶ紳士協定です。既存の協定は原子力施設を新増設する際の事前了解や運転停止を求める権利を、立地の自治体に認めています。法的な裏付けはありませんが、当然守らなければならないものとして強い効力を持ち、茨城県では1974年から運用されてきました。
既存の協定で事前了解権を持つ茨城県と東海村は原子力専門の「課」を持ち、協定に基づき、各施設で必要な安全対策が取られているかをチェックする体制と人材を整えてきました。
安全協定が拡大は、新たに加わった5市にとって、原子力行政に関わる体制づくりという大きな責任を課すことになります。
水戸市は4月、防災・危機管理課内に「原子力安全対策係」を新設し、専従職員3人を配置。原子力に特化した専門チームとして必要な知識や能力向上に努めるとともに、「事前了解の是非を問われる局面で必要条件」となる過酷事故に備えた避難計画の策定も急ぐことになりました。
一方で、既存の安全協定でも原子力施設への立ち入り調査権などを持つ日立、常陸太田、ひたちなか、那珂の4市は、従来から防災部門に原子力の担当者を配置してきましたが、地震や風水害対策など他の業務と兼務している自治体もあるのが実情です。新協定の締結を踏まえ、「地元」として体制強化が急務です。
再稼働を巡る地元同意手続きでは、自治体がどのようなプロセスで事前承認を与えるかも課題となります。
茨城県と東海村は、原子力施設の安全性を調査し首長に報告する有識者会議を既にもっています。現時点で周辺5市に同様の組織はありません。
水戸市は、原発の安全性を評価する有識者会議を本年度中に設ける方針をいち早く打ち出しました。原子力の専門知識を備えた学識経験者のほか医療関係者や市民の代表者らで構成し、再稼働の可否に関する市の判断に意見を反映させていく考えです。しかし、原発の再稼働に関わる専門的な判断に明確な意見を述べられる人材を、5つの自治体がそれぞれ自前で揃えられるのか、大きな問題であることは事実です。
事前了解の権限を得たということは、自治体側も判断する責任をしっかり果たす必要があるということです。その責任を果たすための体制整備を急ぐべきです。
再稼働問題への5市議会の取り組みが問われる
福島第1原発事故後、原発の安全対策を厳格化した新規制基準下での再稼働は、全国で5原発7基あります。地元同意の手続きは基本的に、立地自治体の議会の同意→立地の首長同意→県議会の同意→知事同意の順に進められてきました。
各議会では、議会は再稼働を求める陳情を採択したり決議を可決したりする例が多く、首長は議会の判断を踏まえ、記者会見や議会などで再稼働への同意を表明するケースが一般的です。
東海第2原発について、既存の安全協定で事前了解権を持つ山田村長は「住民や議会などの意見を伺い、総合的に判断する」、大井川和彦知事も「県議会や有識者の意見、県民の声に耳を傾けて判断していく」と発言しており、いずれも議会の意見を求める点は一致しています。
一方、各自治体の住民の意見を代表する議会の役割は明確になっていません。
4月9日、東海村議会が緊急招集され、全員協議会が開かれました。新しい安全協定について、執行部が議会に説明しました。
「再稼働や延長運転がなし崩しに進められることはないと思う」と、山田村長は、枠組みを拡大した新協定に基づく事前了解権の効力を説明しました。6市村の首長のうち一人でも、再稼働を求めないと表明すれば、日本原電は再稼働せずに「6市村が納得するまでとことん協議する」ことを約束。再稼働のハードルは非常に高くなったとの思いが込められていました。
これに対して原発反対派の村議は、事前了解が「拒否権」になり得るか疑問視し、「安全協定は原発を止めることを前提にしていない。最終的には選挙で反対派を増やしたり、世論に訴えたりすることでしか止められない」と指摘しました。
一方の原発推進派村議は「各議会で再稼働に反対する動きが出てくるかもしれない」と周辺5市の議会の動向を注視。「今後、周辺議会に再稼働への理解を求めることもあるだろう。でないと先に進めなくなる」と、再稼働推進に向けて他議会への働き掛けも辞さない姿勢を示しました。
日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市では、議会構成は再稼働容認派が優勢です。保守系の議員に加えて、労組を支持母体にする民進、希望の党系の議員も、再稼働を推進する立場だからです。こうした議会では、自らは原発の再稼働に関わる判断を避け、「首長の責任で判断するべきだ」との意見が大勢を占めています。首長が新たな原子力安全協定を、議会側に説明する動き自体も表面化していません。(蛇足ですが、新たな原子力安全協定が締結されたことを、ホームページなどで報告している自治体も水戸市の他はありません。住民にとって非常に重要な出来事だと思うのですがなぜでしょうか?)
県庁所在地の水戸市議会での対応は、原発関連の事業者や労組の影響力も弱く、他の4市議会の対応とはかなり異なっています。議会の大多数の賛成で「住民理解のない再稼働は認めない」とする意見書がまとめられ、6月定例会で採決される見込みです。可決されれば、事前了解に対する水戸市の判断に、大きな影響を与えます。
井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、福島第1原発の事故発生以来、一貫して“再稼働反対”“運転延長反対”を主張してきました。4月16日には、6市村の公明党所属の議員で公明党茨城県本部「東海第2原発再稼働等対策プロジェクトチーム(東海第2原発PT)」を発足させます。住民の声を集約し、各議会で再稼働に向けての議論の中核を担う決意です。
参考:新たな原子力安全協定の全文
https://www.jsdi.or.jp//~y_ide/180329shin_kyotei.pdf
参考:確認書の全文
https://www.jsdi.or.jp//~y_ide/180329kakunin.pdf
東海村と周辺5市の首長は、事前了解にこだわり交渉を続けました。2016年12月21日、東海村で開かれた会合後、座長を務める山田東海村長らは、肝心の事前了解権への言及をかたくなに避ける原電側の対応に不満を隠しませんでした。
2017年11月、交渉の潮目が変わります。2018年11月28日に、東海第2原発は運転から40年の節目を迎えます。20年の運転延長に必要な国への認可申請期限が迫っていました。東海村を訪れた日本原電の村松衛社長は、既存の安全協定とは別に新しい安全協定を6市村と結び、そこに再稼働と延長運転に関する「実質的な事前了解」を盛り込むと回答しました。この後も厳しい交渉が続けられ、最終的に新協定は、事前協議などを通じ6市村から「実質的に事前了解を得る」と明記され、権限がより明確になりました。
協定締結に至った3月29日。村松社長は居並ぶ6首長の前で「1自治体でも納得できない状況で協議を打ち切ることはない」と断言しました。
事前了解権を立地自治体に限る従来の枠組みへの異論は全国的にも相次いでいます。周辺自治体が訴訟を起こす事例もあります。しかし、実際に周辺にまで広がるのは全国で初めてでした。
なぜ東海第2原発だけ実現したのか。山田村長は「立地の東海村も周辺自治体と足並みをそろえて権限拡大を要求してきた点が他県とは決定的に違う。よそは立地(自治体)が声を上げていない」と地元紙のインタビューに応えています。明確な事前了解権をもつ立地自治体の首長が筋を通した交渉を貫いたことが、こうした画期的な結果に繋がったと評価します。日本原電からすれば「なぜ東海村まで言い出すのか」との思いはあったはずですが、背に腹を変えられない苦渋の判断であったと思われます。
新たな安全協定締結で、原子力行政に関わる体制づくりが急務
安全協定は住民の安全確保を目的に事業者と自治体が結ぶ紳士協定です。既存の協定は原子力施設を新増設する際の事前了解や運転停止を求める権利を、立地の自治体に認めています。法的な裏付けはありませんが、当然守らなければならないものとして強い効力を持ち、茨城県では1974年から運用されてきました。
既存の協定で事前了解権を持つ茨城県と東海村は原子力専門の「課」を持ち、協定に基づき、各施設で必要な安全対策が取られているかをチェックする体制と人材を整えてきました。
安全協定が拡大は、新たに加わった5市にとって、原子力行政に関わる体制づくりという大きな責任を課すことになります。
水戸市は4月、防災・危機管理課内に「原子力安全対策係」を新設し、専従職員3人を配置。原子力に特化した専門チームとして必要な知識や能力向上に努めるとともに、「事前了解の是非を問われる局面で必要条件」となる過酷事故に備えた避難計画の策定も急ぐことになりました。
一方で、既存の安全協定でも原子力施設への立ち入り調査権などを持つ日立、常陸太田、ひたちなか、那珂の4市は、従来から防災部門に原子力の担当者を配置してきましたが、地震や風水害対策など他の業務と兼務している自治体もあるのが実情です。新協定の締結を踏まえ、「地元」として体制強化が急務です。
再稼働を巡る地元同意手続きでは、自治体がどのようなプロセスで事前承認を与えるかも課題となります。
茨城県と東海村は、原子力施設の安全性を調査し首長に報告する有識者会議を既にもっています。現時点で周辺5市に同様の組織はありません。
水戸市は、原発の安全性を評価する有識者会議を本年度中に設ける方針をいち早く打ち出しました。原子力の専門知識を備えた学識経験者のほか医療関係者や市民の代表者らで構成し、再稼働の可否に関する市の判断に意見を反映させていく考えです。しかし、原発の再稼働に関わる専門的な判断に明確な意見を述べられる人材を、5つの自治体がそれぞれ自前で揃えられるのか、大きな問題であることは事実です。
事前了解の権限を得たということは、自治体側も判断する責任をしっかり果たす必要があるということです。その責任を果たすための体制整備を急ぐべきです。
再稼働問題への5市議会の取り組みが問われる
福島第1原発事故後、原発の安全対策を厳格化した新規制基準下での再稼働は、全国で5原発7基あります。地元同意の手続きは基本的に、立地自治体の議会の同意→立地の首長同意→県議会の同意→知事同意の順に進められてきました。
各議会では、議会は再稼働を求める陳情を採択したり決議を可決したりする例が多く、首長は議会の判断を踏まえ、記者会見や議会などで再稼働への同意を表明するケースが一般的です。
東海第2原発について、既存の安全協定で事前了解権を持つ山田村長は「住民や議会などの意見を伺い、総合的に判断する」、大井川和彦知事も「県議会や有識者の意見、県民の声に耳を傾けて判断していく」と発言しており、いずれも議会の意見を求める点は一致しています。
一方、各自治体の住民の意見を代表する議会の役割は明確になっていません。
4月9日、東海村議会が緊急招集され、全員協議会が開かれました。新しい安全協定について、執行部が議会に説明しました。
「再稼働や延長運転がなし崩しに進められることはないと思う」と、山田村長は、枠組みを拡大した新協定に基づく事前了解権の効力を説明しました。6市村の首長のうち一人でも、再稼働を求めないと表明すれば、日本原電は再稼働せずに「6市村が納得するまでとことん協議する」ことを約束。再稼働のハードルは非常に高くなったとの思いが込められていました。
これに対して原発反対派の村議は、事前了解が「拒否権」になり得るか疑問視し、「安全協定は原発を止めることを前提にしていない。最終的には選挙で反対派を増やしたり、世論に訴えたりすることでしか止められない」と指摘しました。
一方の原発推進派村議は「各議会で再稼働に反対する動きが出てくるかもしれない」と周辺5市の議会の動向を注視。「今後、周辺議会に再稼働への理解を求めることもあるだろう。でないと先に進めなくなる」と、再稼働推進に向けて他議会への働き掛けも辞さない姿勢を示しました。
日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市では、議会構成は再稼働容認派が優勢です。保守系の議員に加えて、労組を支持母体にする民進、希望の党系の議員も、再稼働を推進する立場だからです。こうした議会では、自らは原発の再稼働に関わる判断を避け、「首長の責任で判断するべきだ」との意見が大勢を占めています。首長が新たな原子力安全協定を、議会側に説明する動き自体も表面化していません。(蛇足ですが、新たな原子力安全協定が締結されたことを、ホームページなどで報告している自治体も水戸市の他はありません。住民にとって非常に重要な出来事だと思うのですがなぜでしょうか?)
県庁所在地の水戸市議会での対応は、原発関連の事業者や労組の影響力も弱く、他の4市議会の対応とはかなり異なっています。議会の大多数の賛成で「住民理解のない再稼働は認めない」とする意見書がまとめられ、6月定例会で採決される見込みです。可決されれば、事前了解に対する水戸市の判断に、大きな影響を与えます。
井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党は、福島第1原発の事故発生以来、一貫して“再稼働反対”“運転延長反対”を主張してきました。4月16日には、6市村の公明党所属の議員で公明党茨城県本部「東海第2原発再稼働等対策プロジェクトチーム(東海第2原発PT)」を発足させます。住民の声を集約し、各議会で再稼働に向けての議論の中核を担う決意です。
参考:新たな原子力安全協定の全文
https://www.jsdi.or.jp//~y_ide/180329shin_kyotei.pdf
参考:確認書の全文
https://www.jsdi.or.jp//~y_ide/180329kakunin.pdf