折立地区を調査
 4月17日、井手よしひろ県議は宮城県仙台市役所を訪れ、東日本大震災により大規模な宅地被害があった「折立5丁目地区」の復旧事業の進捗状況を聴き取りするとともに、現地調査を行いました。折立地区の調査は、2011年10月、2014年3月に続いて3度目になります。
 東日本大震災では、仙台駅から概ね5キロ圏内で、昭和30年代から40年代にかけて造成された住宅団地を中心に、地滑りや地盤の崩壊、宅地擁壁の損壊などの大規模な被害が発生しました。その原因は、地下水が豊富な地形や盛土がしっかり締め固められていなかったりと、様々な視点から指摘されているところです。
 「被災地危険度判定マニュアル」により「危険」または「要注意」宅地と判定された被災宅地は、仙台市内5728か所にも及びました。
 道路や港湾などの公共施設が地震被害を受けた場合は、当然、公的資金(税金)により復旧が行われてきました。しかし、私有物である宅地の被害に公金を投入すにはかなり敷居が高く、被災者の生活再建には大きな足かせとなっていました。
折立地区の復興事業 仙台市では、国の復興基金を活用した公共事業として「造成宅地滑動崩落緊急対策事業」と「防災集団移転促進事業」、市独自の支援策(土地所有者が行う復旧工事への補助金)である「被災宅地復旧工事助成制度」の3つの制度で宅地の復旧を進めました。危険または要注意の5728宅地のうち、2521宅地(44%)を公共事業で、3207宅地(56%)を市の支援事業で行いました。
 井手県議が、震災直後から注目していた折立地区は、昭和40年〜47年に造成された戸建ての住宅団地です。谷(沢)を盛土で埋め立てて造成した「谷埋め守土」に分類されます。盛土に使った素材(礫混り粘性土)が問題で、通常N=50程度必要なところN=1〜2と非常に柔らかく、一方地下水が豊富な状態でした。そこに、東日本大震災により震度6弱の地震が3分以上も続いたために、一挙に"全体すべり"と盛土表層部の"ひな壇すべり"が発生しました。いわゆる"複合すべり"の典型的事例でした。
 平成24年12月に着工し、平成27年3月31日に復旧工事を完了しました。抑止対策工事(地盤にセメント系固化材を混合し、地盤強度の増加を図る工事)34宅地、擁壁工(地震により壊れた擁壁を撤去し、再構築等を行う工事)52宅地を行いました。
 7年前、絶望的にもみえた折立地区は見事に再生していました。こうした宅地崩壊は、全国各地で起こる可能性があります。現に、熊本地震でも益城町を中心に、大規模な宅地の崩壊が起こりました。仙台市の復旧の実例は、他地域の復旧の大きな参考となります。東日本大震災の経験を次の災害の中で活かすことも重要です。