
厚生労働省によると、旧法のもとで不妊手術を受けた障がい者らは約2万5000人。このうち、本人の同意なしに不妊手術を施されたのは1万6475人と報告されています。
本人の意思に反して手術が施されたとすれば、人権上大きな問題です。同様の不妊手術を行っていたドイツやスウェーデンでは当事者に対する補償等の措置が講じられています。旧法のもとで不妊手術を受けた障がい者らの高齢化が進んでいることを考慮すると、我が国においても早急な救済措置を講じるべきです。
そのために、国は、速やかに旧優生保護法に基づく不妊手術の実態調査を行うこと。その際、都道府県の所有する「優生保護審査会」の資料などの保全を図るとともに、資料保管状況の調査を行うこと。併せて個人が特定できる資料について、当事者の心情に配慮しつつ、できる限り幅広い範囲で収集できるよう努めること。旧法改正から20年以上が経過しており、関係者の高齢化が進んでいることから、的確な救済措置を一刻も早く講じること。などが特に重要です。
茨城県の強制不妊手術は54名。個人を特定できる19人部の資料を発見。4月25日現在11人分の名前とカルテを確認
茨城県においては、国の優生保護統計報告などを基に、県内で54件の強制不妊手術が確認されています。しかし、県優生保護審査会の議事録など個人の特定につながる資料は「残っていない」としていました。
ところが、4月17日、全国障害者問題研究会茨城支部(茨障研、支部長・鈴木宏哉茨城大元教授)の有志は、個人を特定できる県内9人分の資料を確認したと発表しました。資料には個人名や手術した病院などが記されていました。
この資料は、県が国に手術費を請求した際の明細書(1955年7月9日付)です。54年度に手術を受けた9人の名前、性別、年齢、病名、入院日数などが記載されていました。手術を受けたのは当時10〜30代の男性5人と女性4人。最年少は15歳、最年長は32歳です。いずれも精神障がいや知的障がいを理由に、精管や卵管を切除したり結んだりする不妊手術を受けていました。入院日数は男性5日、女性15日で、県立こころの医療センター(笠間市)の前身、県立内原精神病院で手術を受けていました。
また、4月19日には、県は県内10人分の個人名を特定できる資料を、新たに県立歴史館で発見したと発表しました。実際に手術を実施した県立内原精神病院のカルテや病棟日誌が一部残っていることも確認されました。
新たに見つかったのは、1955年度に手術を受けた10人分の記録で、県が国に手術費を請求した明細書です。全国障害者問題研究会茨城支部の有志が県に提供した資料の翌年度のものです。当時10〜40代の男女10人の名前、性別、年齢、病名などが記され、全員が県立内原精神病院で手術を受けていました。
4月24日、県内で見つかった19人分の個人名記載の資料に関し、男女8人の名前と一致するカルテが県立こころの医療センターで発見されました。県は身元の特定につながる可能性があるとみて、カルテの内容を精査するとともに、残る11人についても5月中をめどに、こころの医療センターが保管するカルテの中から洗い出す方針です。24日の県議会保健福祉医療委員会で、県執行部が県議会に報告しました。
さらに、県は4月25日、新たに男性3人の名前と一致するカルテが県立こころの医療センターで見つかったと発表しました。19人のうち11人分の名前と一致するカルテが確認されたことになります。
大井川和彦知事は定例記者会見で、県立歴史館が資料を1月に発見していたにもかかわらず報告を受けていなかったことについて、「県民に誤った情報を提供していたことになり、県政運営の責任者として非常に責任を感じ、遺憾に思う」と陳謝しました。その上で、大井川知事はカルテなどから身元が特定できた場合、「本人やご家族の希望があれば、県の持つ情報を開示する」と述べました。再発防止策として、職員の意識改革や歴史館資料の詳細なデータベース化、公文書の調査に関する庁内連携の強化などを挙げました。
茨城県においては、国の優生保護統計報告などを基に、県内で54件の強制不妊手術が確認されています。しかし、県優生保護審査会の議事録など個人の特定につながる資料は「残っていない」としていました。
ところが、4月17日、全国障害者問題研究会茨城支部(茨障研、支部長・鈴木宏哉茨城大元教授)の有志は、個人を特定できる県内9人分の資料を確認したと発表しました。資料には個人名や手術した病院などが記されていました。
この資料は、県が国に手術費を請求した際の明細書(1955年7月9日付)です。54年度に手術を受けた9人の名前、性別、年齢、病名、入院日数などが記載されていました。手術を受けたのは当時10〜30代の男性5人と女性4人。最年少は15歳、最年長は32歳です。いずれも精神障がいや知的障がいを理由に、精管や卵管を切除したり結んだりする不妊手術を受けていました。入院日数は男性5日、女性15日で、県立こころの医療センター(笠間市)の前身、県立内原精神病院で手術を受けていました。
また、4月19日には、県は県内10人分の個人名を特定できる資料を、新たに県立歴史館で発見したと発表しました。実際に手術を実施した県立内原精神病院のカルテや病棟日誌が一部残っていることも確認されました。
新たに見つかったのは、1955年度に手術を受けた10人分の記録で、県が国に手術費を請求した明細書です。全国障害者問題研究会茨城支部の有志が県に提供した資料の翌年度のものです。当時10〜40代の男女10人の名前、性別、年齢、病名などが記され、全員が県立内原精神病院で手術を受けていました。
4月24日、県内で見つかった19人分の個人名記載の資料に関し、男女8人の名前と一致するカルテが県立こころの医療センターで発見されました。県は身元の特定につながる可能性があるとみて、カルテの内容を精査するとともに、残る11人についても5月中をめどに、こころの医療センターが保管するカルテの中から洗い出す方針です。24日の県議会保健福祉医療委員会で、県執行部が県議会に報告しました。
さらに、県は4月25日、新たに男性3人の名前と一致するカルテが県立こころの医療センターで見つかったと発表しました。19人のうち11人分の名前と一致するカルテが確認されたことになります。
大井川和彦知事は定例記者会見で、県立歴史館が資料を1月に発見していたにもかかわらず報告を受けていなかったことについて、「県民に誤った情報を提供していたことになり、県政運営の責任者として非常に責任を感じ、遺憾に思う」と陳謝しました。その上で、大井川知事はカルテなどから身元が特定できた場合、「本人やご家族の希望があれば、県の持つ情報を開示する」と述べました。再発防止策として、職員の意識改革や歴史館資料の詳細なデータベース化、公文書の調査に関する庁内連携の強化などを挙げました。