180620syashin 6月19日、水戸市議会の最終日、今年11月に運転開始から40年を迎える日本原子力発電(原電)東海第2原発について、国や県に再稼働を認めないことを求める意見書が可決されました。この3月に、原電が水戸市を含む周辺6市村に事前了解権限を認める新安全協定を結んで以降、協定を結んだ議会による「再稼働反対」の意思表示は初めてです。再稼働ストップに向けての大きな布石となります。
 意見書では、東海第2原発の「住民理解のない再稼働は認めない」と、内閣総理大臣や県知事などに要望。その上で、原子力に依存しない社会への移行を掲げ、「代替エネルギー確保と新エネルギー導入の促進」や「情報伝達体制や避難道路整備を充足し、実効性ある避難態勢を早急に確立させる」ことを求めています。
 また原発から半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の14自治体に関し、「実効性の伴う広域避難計画の策定が十分と言えない」と指摘。その上で「現時点で住民理解が得られるものではない。再稼働を前提とした運転延長は認められない」と指摘しています。
180620map 東海第2原発の再稼働を巡っては、原電が3月に東海村のほか、水戸市、日立市、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市、東海村の周辺6市村にも事前了解の権限を認める新たな安全協定を締結しました。再稼働や40年を超えて運転する際に6市村が事前に意見を述べ、特別な安全対策を求めることができることになり、実質的に6市村の事前了解を得ることとなりました。
 新たな安全協定の締結以降、6市村を構成する自治体の議会が明確に再稼働の是非に関する態度を示すのは、水戸市が初めてとなりました。こうした反対の意思表示は、今後、市が事前了解権限を行使する際の判断に、大きな影響を及ぼします。

"実にまっとうな意見書が可決された"高橋市長
 この意見書の可決を受け、高橋靖市長は「実にまっとうな意見書が可決された。市民の代表による、貴重な意見として真摯に受け止める」としながら、再稼働に対する判断については「これから有識者会議の設置や広域避難計画の策定、原電と6市村との協議など、さまざまな手続きを踏まえた上で最終判断することになる」と、マスコミの取材に応えました。

市民の声を無視し、国民民主の市議2人は意見書に反対
 この意見書は公明党市議らが主導し、3月の総務環境委員会で全会一致でまとめられました。3月の本議会で可決する見通しでしたが、手続き上の問題で6月議会に先送りされていました。
 6月19日の採決では、自民などの保守系を含め、公明党、共産党、社民党の市議17人が賛成しました。なお、保守系などの7人が退席し棄権しました。驚いたことの電力労組などでつくる連合が支援する国民民主の議員が反対するという椿事が起こりました。
 意見書づくりを主導した公明党の伊藤充朗市議は、「全会一致ではないが、議会は大きな判断をした」と強調。福島第一原発事故に触れ「子育てや街の発展についてみても再稼働は、足かせにしかならない」と東京新聞の取材に応えました。
 意見書に反対した国民民主党の綿引健市議(民主・社民フォーラム:連合茨城の推薦を得て当選)は、東京新聞の取材に「原子力規制委員会の決定を待ち、専門的知見を踏まえた議論をすべきだ」と語りました。
(このブログ記事は、6月20日付けの茨城新聞、東京新聞、毎日新聞などの記事を参考としました)