津南ひまわり広場
 7月31日、越後妻有「大地の芸術祭」の県外調査2日目、井手よしひろ県議は、津南ひまわり広場の視察、飯山線沿線のアートプロジェクト視察、十日町市担当課との意見交換、キナーレの作品群視察、松代地区の作品群の視察、美人林、棚田の景観の視察などを行いました。十王町担当者からの概要説明、意見交換の内容は、先のブログ“「大地の芸術祭」は、地域活性化、賑わいの創出の手段!“http://blog.hitachi-net.jp/archives/51689641.htmlをご参照下さい。

 津南ひまわり広場は、平成2年に農家の青年仲間が、遊休農地を利用して自ら楽しむために作付したのがきっかけで、当時は現在の面積の8分の1程度でした。その翌年に町や農協の協力を得て面積を3haに拡大し数品種を作付したところ、あまりにも反響が大きく多くの観覧者が訪れました。平成5年より観光協会を主体に、観光スポット「ひまわり広場」として毎年開園し、現在に至っています。現在では約4haの面積に約50万本のひまわりが作付けされています。今では毎年約7万人ものお客様で賑わっています。
 畑は3つに分けられていて、それぞれ時期をずらして種がまかれています。そのため長い期間ひまわりを楽しむことができます。ひまわりの咲いている期間中には地元露店市が並び、ひまわり畑の真ん中で本物の結婚式が行われる「ひまわりウェデイング」や「ライトアップ」などのイベントも行われまています。
 今年(2018年)のひまわり広場の開園期間は、7月27日(金)〜8月19日(日)までです。すでに一番早く咲き始める区域は満開となっていました。周囲の景色の素晴らしさは満点ですが、全体を三分割して開催する方式では、迫力に欠ける印象を払拭できません。那珂市のひまわり祭りが4ha、筑西市(あけの)のひまわり祭りも4ha規模です。全国的にも著名なイベントです。新たな取り組みを期待します。

幸せのきっぷ Kiss&Goodbye
 今回の視察で強く示唆を受けたのが、JR飯山線アートプロジェクトです。越後妻有圏域を走るローカル線がJR飯山線です。この飯山線の駅(周辺)にアートを配し、都市の人々と地域の住民がローカル線の「駅」を基点に交流する飯山線アートプロジェクトが、前々回2012年から始まりました。「駅」がその奥に続く集落や自然への出入り口となることを目指ししています。
 飯山線のようなローカル線は、日本の各地で過疎化や自動車の普及により利用者が減少し、存続そのものが危ぶまれています。越後妻有地域も同様に、大半の観光客は車で来圏し、利用低迷が続いています。飯山線アートプロジェクトは、ローカル線とアートを掛け合わせることによって、ロ ーカル(地域)の充実を図り、鉄道が物理的に都市と地方をつなぐ手段であることに留まらず、鉄道そのものが交流の舞台・場となることを目的としています。
 越後妻有圏域には、飯山線の駅が10あります。今回視察できたのは下条駅、越後田沢駅、土市駅の3駅です。特に、台湾のベストセラー絵本作家ジミー・リャオ(幾米)が、越後妻有の里山の四季を織り込みながら彩り豊かに描く、癒しと再生の物語『幸せのきっぷ Kiss&Goodbye』は、大変感動しました。少年の目線で物語は展開しますが、環境や人間、生命といった、ジミーの全作品を貫くテーマが織り込まれています。かわいらしい建造物、絵画や動画、そして絵本のコラボレーションが独特の世界を演出しています。各駅での展示作品のサポートやおもてなしは、商工会議所のメンバーなどに委託されています。まちおこしの一つの可能性を提案してくれています。
 茨城県北芸術祭の山側の企画を、JR水郡線の駅を起点に開催したら大きな可能性があるのではないかと、気づかせてくれました。

 「大地の芸術祭」の拠点施設・越後妻有里山現代美術館「キナーレ」。その中央に位置する真四角な水面に、アルゼンチンの作家レアンドロ・エルリッヒが不思議な絵画を描きました。見る角度によって、異次元の建物が浮かび上がってきます。折しも、35度を超える猛暑日。多くの鑑賞者が靴を脱いで、エルリッヒのアートな空間に遊んでいました。
レアンドロ・エルリッヒ