8月6日、7日の両日、井手よしひろ県議は、徳島県三好市を訪れ、地方創生の取り組みについて調査しました。このブログは、その報告の後編です。

黒川三好市長と 三好市の課題は、何といっても人口減少。2006年に3万5134人であった人口は、2017年に2万6675人に減少しました。11年間で7459人減少したことになります。高齢化率は42.3%に達しています。市内442集落のうち、179集落が限界集落となっています。丸浦商工会議所会頭によると、それに輪をかけて深刻な課題は事業者数の減少です。2006年の2042社であった市内事業者は、4分の3の1541社に縮小しています。このままでは故郷・三好がなくなってしまうという危機感を行政関係者や商工業者が共有しています。
 こうした課題の解決策として観光振興による交流人口の拡大と転出者を減らし、UIターン者を増やす取り組みが協力に推し進められています。
 転出者を減らし、転入者を増やすためにまちづくり会社「一般社団法人三好みらい創造推進協議会」が設立されました。三好みらい創造推進協議会の目指すものは3つ。第1に、三好市にやりがいのある魅力ある仕事を創出することです。多様な働き方に対応する職場の創造を目指しています。第2に、住み家を準備することです。魅力的な家・部屋を準備し、あわせて空き家問題を解決します。そして、まちの魅力をより高めることです。
地域交流拠点「真鍋屋」
 1番目の仕事を作ることでは、新たな起業・創業の支援や域内の法人の求人の支援を行うために、「企業版・地域おこし協力隊」というユニークな取り組みを行っています。都市部からUターン、Iターンして、週3〜4日間地元企業で働く。残り3〜4日間は、起業の準備や農業、趣味、子育てなど多様な働き方で三好市での新たな生活を満喫してもらうという取り組みです。8月3日と10日に大阪市内ではじめての説明会を開催します。
 2つ目に住み家を準備することです。三好市の空き家率は20%超。安くて魅力的な家を提供します。移住や受け入れのため三好市ではお試し住宅が5か所ありますが、その管理運営も三好みらい創造推進協議会が受託しています。
 そして3点目のまちの魅力づくりでは、地域交流拠点「真鍋屋」の創設しました。真鍋屋は築100年以上の商家の店舗。敷地面積は、約728平方メートル。大きな松や築山、井戸のある中庭をぐるり囲むように古民家の母屋と蔵、別棟などが建っています。これを国の地方創生拠点整備事業の補助金と合併特例債を活用し活用し、全面的にリノベーションしました。総事業費は1億4500万円余りですが、市の一般財源からの繰り出しは約1割の1400万円余りで収まりました。
 移住者支援窓口、お試しオフィス/店舗、お試し住居、みんなのデスク、みんなのスペース、トライスペース、畳スペース、中庭スペース、ミニマーケット、日本酒市場、カフェレストランなどが整備されました。カフェレストラン「MINDE KITCHEN」のカレーランチは4種類のお路地なるカレーの組み合わせが楽しめる逸品。880円のお値段も魅力的なメニューでした。
 また、国の「生涯活動のまちづくり」支援対象の自治体にも選ばれ、"福祉・介護機能の集積"によるシニア世代を中心にすべての世代が安心して暮らせる町づくりが池田町州須地区で進められています。社会福祉法人池田博愛会(中村忠久理事長)を中核として、戸建のサ高住の建設、「配色サービス」や「買い物支援」「見守り」などのくらしのサポートなどを充実させ、福祉就業と移住をセットとした「介護移住」などのユニークな取り組みが具体的に進んでいます。
 「何としても故郷・三好を守っていこう」という熱い気持ちが、行政のトップやお会いした商工会議所、介護関係者などのみなさんの言葉から伝わってきました。
 「三好には山と川(吉野川)しかいない、とよく人は言います。しかし、私は、三好には山と川がある!と自信と誇りをもって話しています」と、黒川市長は語っていました。この前向きな姿勢は、小さな町の力強い地方創生の取り組みの原動力となっていることを実感した視察となりました。