倉敷市真備町:撮影・アジア航測(株)
 9月6日、井手よしひろ県議は、県議会公明党を代表して大井川知事に代表質問を行いました。この中で強調したポイントの一つは、大規模化・激甚化する自然災害に対して“事前防災”を充実させるといった主張でした。
 質間では時間的制約もあり、触れられなかった豪雨災害について、犠牲者ゼロをめざすポイントをまとめてみました。

土砂災害から住民の生命を守る
 7月の西日本豪雨災害は大きな被害を岡本山県、広島県、愛媛県などを中心にもたらしました。瀬戸内海の温やかな気候、台風などの影響もあまり受けないという国民の常識を裏切る出来事となりました。
 その中でも広島県、愛媛県の真砂土地域で多発した土石流災害は、住民の生命、生活を根こそぎうばう深刻な事態となりました。
 豪雨災害とは別次元の災害ですが、北海道胆振東部地震で厚真町では大規模な地滑りが発生し、多くの人命が奪われました。この災害も独特な火山灰土壌が地滑り発生の要因となっています。
 瀬戸内に広まる真砂土地帯における土石流対策は、非常に難しい課題です。こうした土壌は降雨時に毎年壊しやすい性質を持っており、土石流が多発するからです。また、土石流化した土と水の混合体は長距離を流れ下ります。コアストーンと呼ばれる巨石が多く含まれ、その破壊力は凄まじいものがあります。土石流が流れ下るうちに、他の谷から流れ下る土石流と合意して大規模化して、民家に襲いかかります。
 土石流から生命を守るために、その発生の危険性を充分に住民に伝える必要があります。土砂災害ハザートマップをその危険性のある地域に全てに作成し公表する必要があります。たまたま都市部では、地価が下がり財産価値が目減りするなどの批判もありますが、防災はすべてに優先すべきです。
 その上で少しでも土砂災害が懸念される場合は早期の避難が基本です。自治体はその情報を、正確にかつ迅速に伝える仕組みを構築しなくてはなりません。
 当然、土砂を防ぐための砂防堰堤の整備も計画的に進めていかなければなりません。
 乱開発による土砂災害への対策も忘れてはなりません。西日本豪雨で7箇所にわたって大規模太陽光発電施設が崩壊して被害が出た事例が報告されています。傾斜地に
おける太陽光発電施設建設は強い法的規制を加えるべきです。

ダム放流から住民の生命を守る。
 愛媛県の野村ダムならびに鹿野川ダムの洪水では、ダム放流操作に問題があったと指摘され。今後、訴訟問題にも発展する懸念もあります。
 肱川は治水安全度15分1の川です。15年に1度程度の雨であれば安全性を担保できるということです。ここに、100年に1度200年に1度という雨が降りました。
 これをダムで制御することは出来ません。ダムが越流すれば、ダム自体が破堤して、大災害を起こす危険性があります。そこで、流入した雨をそのまま放流する「異常洪水時防災操作」を断行しました。その結果、野村ダムでは毎秒1800トン、鹿野川ダムでは3740トンの放水が行われました。そして、野村ダム下流で650戸の浸水被害と5名の犠牲者が出ました。鹿野川ダム下に4780戸の浸水被害と4名の犠牲者が出ました。
 ダムの容量を増やし堤防をかさ上げしない限り浸水被害を減らすことはできません。
 しかし、一番の課題は犠牲者をゼロにすることです。ダムの放流の場合、河川の水位上昇は事前にある程度確実に予測できます。また、ダム放流は何時間も前に連絡されます。
 要はこうしたダム下流域の住民への危険性の共有や情報の共有がうまく機能していなかったということです。
 津波被害に対する避難訓練は度々行なわでれていますが、ダム放流にかかわる避難訓練も地道に行われなくてはなりません。
 さらに、マスコミ報道によると、ダム放流警報(サイレンなど)は豪雨の雨音などにかき消され、住民には届いていなかったとされています。放流情報の伝達法の見直も必要です。

堤防決壊から住民の生命を守る
 井手県議は8月7日、8日、岡山県倉敷市の真備地区を現地調査しました。真備地区では高梁川の支流である小田川など4河川合計8ケ所の堤防が決壊し、51名の犠牲者が出ました。
 水害は、そもそもその備えが脆弱である場所で発生します。一級河川の多くは整備が進み堤防で守まれるようになってくると、小田川のような堤防整備が進んでいない支川で被害が発生するようになります。
 真備地区はもともと遊水地であったような地形条件をもっています。何よりも迅速な避難が求められます。
 過去にも何回も水害に襲われ堤防が仮に決壊しても、ある程度の浸水で済むであろうという作動や行政の危機感の欠如は、果たしてなかったでしょうか?
 山陽新聞社が真備町の住民を対象にアンケート調査を行った結果を報道しています。それによると、水害に対する備えをしていなかった人が84%を占めていました。また、被災住民のうち42%が自主避難ではなく、第三者に救助されています。
 「避難しなかった理由」としては、「これまで災害を経験したことはなかったから」「2階に逃げれば大丈夫だと思ったから」などが挙げられています。こうした現状をしっかりと把握して、情報提供のあり方や、地域コミュニティの再生、防災教育の充実などを図る必要があります。
 この点については、ブログの他の記事で詳しく述べたいと思います。
(写真はアジア航測(株)撮影。格別なご配慮をいたでき掲載させていただいております。誠にありとうございます。)