9月21日、茨城県議会予算特別委員会が開かれ、井手よしひろ県議が登壇しました。井手県議は、防災対策について(防災・危機管理部長)、県北芸術祭について(政策企画部長)、市町村立学校へのエアコン設置、「暑さ指数」の活用、児童生徒の携行品に係る配慮など小中学校の諸課題について(教育長)の3項目にわたって質問しました。
この中でも、井手県議は頻発する大規模自然災害への“事前防災”の重要性を強調。計画的な公共投資、ボランティアとの連携、首都東京を支援する広域防災体制の整備を訴えました。大規模災害時の民間団体との連携の在り方についての質問に対し、服部隆全防災・危機管理部長は、「災害の被災地では支援が多様化してきており、組織間の調整などをする中間支援機能が重要。行政とNPOなど関係者間で信頼関係を構築することが大事であり、県レベルでの中間支援機能の育成を図っていく」と前向きな答弁を行いました。
以下、“事前防災”にかかわる予算特別委員会での質問の要旨を紹介します。
大規模災害発生時のNPOやボランティアとの連携
私は、“事前防災”の重要性をずっと強調してきました。そこで、この場では防災・危機管理部長に2つの視点から質問します。
1点目は、大規模災害発生時のNPOやボランティアとの連携をどのように進めていくか、ということです。
災害復旧、復興に重要な役割を果たすのが、NPOやボランティアなどの民間団体や一般市民です。そしてそのまとめ役として、県ならびに市町村社会福祉協議会の機能充実は重要です。しかし、市町村社協は福祉や介護の業務が中心で、大規模災害時に迅速に大量に集う災害ボランティアの中核として機能するためには、余りに非力であるといわざるを得ません。そこで、非常時に市町村社協と一体となり、災害ボランティアの取りまとめやボランティアセンターの運営等を支援する県社協の機能強化が課題だと思います。
一方で、災者のさまざまなニーズへの対応に向け、プロボノといわれる災害ボランティアセンターを通さず被災地へ直接入り、独自の調査に基づいて細かなニーズを把握し活動する団体も出てきており、NPO・ボランティア等の活動も専門化多様化しています。こうした中、従来災害ボランティアセンターが担っていたボランティア・コーディネーションの役割に加え、災害ボランティアセンターの外でそれぞれの強み・専門性を活かした活動を展開するようになったNPO・ボランティア等の活動を調整する“中間支援機能”の育成が不可欠です。こうした組織は、行政、社協などと顔の見える関係を構築しておく必要があり、平時にしっかりと体制整備をする必要があります。
社会福祉協議会の機能強化、中間組織の育成と連携強化について、防災・危機管理部長に伺います。
首都東京を守る広域防災体制の整備
2点目は、広域防災体制の整備です。
今回の西日本号府被害や北海道胆振東部地震の被災地を調査し、行政関係者や防災関係者に取材したところ、まさかこの地域でこんな被害が起きるとは思ってもみなかったという声が多く聞かれました。
一方、8月に四国徳島県の三好市に地方創生の取り組みを調査した際、黒川征一市長の言葉は印象的でした。黒川市長は「東日本大震災の際、岩手県の遠野市が津波被害を受けた沿岸部の復興、復旧の拠点として大きな働きをした。四国山地に位置する三好市は、来たるべき南海トラフ地震では、四国の防災、復旧、復興の拠点として役割を果たしたい。例えば、モバイル型の仮設住宅なども平常時は、移住促進のお試し住宅などとして活用し、いったん災害が発生すれば、被災地を支援するツールとして活用できるのでないか」と、語ってくださいました。
南海トラフ地震、首都直下地震などの可能性が指摘されています。茨城県の防災体制を強化するのみではなく、首都東京の防災や復興の拠点としての茨城県のあり方も検討すべきではないでしょうか。例えば、東京23区と県内市町村との対ロ支援協定など現実的な対策を進めるべきです。
常磐道守谷サービスエリアは防災拠点としての機能も充実しております。圏央道にも防災機能を充実させた休憩施設の充実なども提言したいと思います。
広域防災、特に首都圏の防災拠点、復旧・復興拠点としての体制づくりについて、防災・危機管理部長に伺います。