FullSizeRender 今日(10月15日)から、第17回世界湖沼会議が、土浦市、つくば市をメイン会場に開催されます。
 「世界湖沼会議」は湖の保全や環境対策などについて、世界各国の研究者などが話し合う会議で、17年ぶりに日本で開かれます。
 茨城県で世界湖沼会議が開催されるのは、1995年に第6回会議を開催して以来、23年ぶり2回目となります。
 第6回会議は、多くの市民団体の方々にもご参加いただき、参加国数75カ国,参加者数8203人(うち外国人421人)に及ぶ大規模な国際会議となりました。地球温暖化や環境ホルモンの影響などが懸念された中での開催でした。湖沼の環境問題を解決するためには、行政や研究機関だけでなく、県民の皆様一人一人のご協力が欠かせません。この前回会議をきっかけに、霞ヶ浦研究科学センターが創設(平成17年)され、湖沼環境を守るための「いばらき森林湖沼環境税」が導入されるなど、茨城県では大きな動きがありました。
 今回の第17回世界湖沼会議は、「人と湖沼の共生〜持続可能な生態系サービスを目指して」をテーマに、50の国と地域からおよそ4000人の研究者や行政の担当者などが参加する予定です。
 開会式には秋篠宮ご夫妻も出席されて開会式が行われました。主催県の大井川知事は「湖沼を持続的に残していくため関係者が意見交換し、新たな展開につながる会議になることを期待したい」とあいさつしました。秋篠宮さまは、「今回の会議は、湖沼を望ましい形で次世代に引き継ぐために大きな役割を果たすでしょう」と述べられました。
世界湖沼会議2108
 5日間の会期中は、研究者たちが9つの分科会に分かれて気候の変動や外来魚の流入が湖沼に与える影響や、市民の保全活動などについて研究発表を行い、それぞれ議論がかわされるプログラムです。また、日本で2番目に大きい湖の「霞ヶ浦」やラムサール条約に登録されている水戸市の涸沼などを研究者が実際に訪れて、水質浄化などの取り組みを視察するイベントも行われます。
 最終日には、会議の成果を取りまとめた「いばらき霞ヶ浦宣言」を採択して、閉会することになっています。

 生態系とは、植物が太陽の光を利用して光合成によって作り出す有機物(炭水化物)を基盤として機能するシステムです。生態系とは、自然そのもののことであり、私たちの生活や文化、暮しは、食料や水の供給、気候の安定など生態系から得られる恵みによって支えられています。こうした自然の恵み、恩恵を"生態系サービス"と呼んでいます。
 "生態系サービス"は、"基盤サービス"、"文化的サービス"、"供給サービス"、"調整サービス"の4つの要素から成りたっています。文化的サービスとは、習慣、慣習、振興等各地域の固有の文化は、生態系と強く結びついています。「泳げる霞ケ浦を取り戻そう」という、霞ケ浦周辺住民の思いがまさにこれに当たります。"供給サービス"は、飲料水、工業用水、水産資源など、周辺住民に提供する水資源、漁業資源などを指します。"調整サービス"は、空気の浄化や植物による二酸化炭素の吸収、気候の安定化などの機能です。そして"基盤サービス"とは、太陽、水、土壌、植物、動物などが協調して機能する生態系の働きそのものです。
 開会式に当たり、前日(10月14日)開催された「世界湖沼会議2018学生会議」の基調報告で、高校生の代表が、湖沼を認識し、学び、環境を守るために行動することの重要性を強調しました。まさに、今回のテーマに対して正鵠を射た発表でした。