政府が決定した2018年度補正予算案に、公立小・中学校の教室へのエアコン設置を支援する緊急対策が盛り込まれました。子どもの命と健康を守る取り組みが大きく前進することを、大いに評価します。
この夏、日本列島は「災害級」と言われるほどの暑さに見舞われ、小学生が亡くなる痛ましい事故も起きました。酷暑が恒常化する中、子どもたちにとって安全な学習環境を整えることは喫緊の課題にほかならなりません。
また、学校は災害時に避難所として使われます。高齢者や病弱な人、乳幼児などが身を寄せることを考えても、エアコンの必要性は明らかです。
学校へのエアコン設置はこれまで、自治体が主体となって進めてきました。しかし、全国に約38万ある公立小・中学校の教室のうち、半数近い約17万教室が未設置でした。設置率が100%の自治体がある一方で、0%のところもあるなど自治体間の格差も拡大しています。
設置が進まない主な理由は2つ。一つは、そもそも夏さほど高温にならなかった地域、高温の日数が少ない地域の学校で、エアコン設置の必要性があまり検討されていなかった市町村があります。
そして、もう一つの理由が、自治体として財政負担が重いことが挙げられます。しかし、子どもの命に関わる施策が自治体の財政力によって左右されることがあってはならず、その意味で国による後押しが不可欠でした。
今回の緊急対策は、エアコン設置費用に対する国の補助を従来通り3分の1としますが、残る3分の2を全て地方債で充当できるようにし、その返済金の6割を国からの地方交付税で賄える仕組みを創設するというものです。これにより地方の負担割合は4分の1程度に抑えることができます。
来夏から教室でエアコンを使えるようにするには、来年の春休み中に工事を終える必要があります。今月(10月)24日に召集される臨時国会で補正予算案を速やかに成立させるべきです。また、自治体が今回の支援制度を積極的に活用するよう地方議会で公明党がリード役を果たす必要があります。
学校へのエアコン設置については、党文部科学部会が8月に文科相に申し入れ、9月の党全国大会で発表した重要政策にも明記しました。今月10日の政府・与党連絡会議では山口那津男代表が補正予算案に盛り込むよう訴えています。こうした公明党の取り組みが今回の緊急対策として結実したことを強調しておきたいと思います。
茨城県においては、国に先立って7月下旬に茨城県知事をはじめ、市町村長に小中高等学校、幼稚園の普通教室にエアコンを設置するよう申し入れを行いました。その結果、県内すべての市町村は平成32年度中のエアコン設置を決め、9月議会に補正予算などを計上しました。国の新たな財政支援策が決まった以上は、32年度まで整備に時間がかかるとしている北茨城市、常陸太田市、筑西市に関しても来年夏までのエアコン設置を働き掛けてまいります。
参考記事:平成32年夏までに県内すべての小中幼稚園にエアコン設置:http://blog.hitachi-net.jp/archives/51693009.html