軽減税率
 来年(2019年)10月の消費税率10%への引き上げと同時に、その影響緩和策として軽減税率が実施されます。
 消費税には所得の少ない人ほど負担感が重くなる「逆進性」の問題があります。その逆進性を和らげるために、政府が実施を決めた具体策が、酒と外食を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率です。
 軽減税率に対し「高所得者ほど減税額が大きく、逆進性の緩和にならない」との声もありますが、その指摘は当たりません。一般的に、所得が低い人の方が収入に占める飲食料品への支出の割合が高く、そうした人こそ恩恵を受けられるからです。軽減税率は逆進性の緩和につながる効果的な制度と言えます。
 また、日銀の経済・物価情勢の展望(展望リポート)によると、来年10月の消費税率引き上げに伴う家計負担の増加分は、軽減税率の実施などにより、前回(2014年)の税率引き上げ時と比べ約4分の1に抑えられると試算しています。負担軽減措置が恒久的であることも効果を大きくする要因とみています。
 軽減税率は「せめて食べるものだけは今の税率であってほしい」との庶民の切実な声を受け、公明党が政党の中で唯一、主張し実現させたものです。
イートインコーナー
軽減税率は消費者にとって、面倒で複雑なものでない
 さて、この軽減税率について、コンビニのイートインコーナーなど複数税率が導入されると、さも複雑な事態になって混乱が大きくなるといった、もっともらしいマスコミ論調があります。
 しかし、その大部分は消費者側の心配の声ではなく、事業者サイドからの意見です。消費者の側からいえば、「買い物する食料品は8%のままで良い」という単純なことです。レジで「イートインコーナーで食べますか?」と店員さんが聞いて、「はい、イートインで食べます」というお客さんには10%の消費税をいただけれ良い。「持って帰るます」というお客様は8%の消費税です。もし、もって変えるといった人が気分が変わってイートインで食べても、お店側にその人に差額の2%分を請求する必要もないし、その権限もありません。なぜなら、店側は消費税をお客様から仮に預かっているだけなので、お客様の申告通りに処理をすればよいだけです。
 例外的なイートインコーナーでの対応を繰り返し報道され、軽減税率に大きな欠点があるような誤解を与えることは、マスコミの姿勢としていかがなものでしょうか?
 軽減税率を導入しなければ、買い控えによる消費不況が起きる懸念があります。消費不況を避け、低所得者の増税負担を和らげるのが軽減税率なのです。逆進性の緩和と買い控えを避ける、軽減税率導入の、目的を再確認するべきです。本末転倒の議論はは情けありません。

軽減税率導入とともにインボイス制度もスタート
 実は、この10%の消費税引き上げのタイミングで、マスコミが取り上げなくてはならないのが、軽減税率とは時間差で導入され「インボイス制度」のことです。今までも、消費税の納税義務がない小規模な事業者に、消費税分が利益として残ってしまう問題が指摘されていました。こうした、欠点を解決するために導入されるのがインボイス制度です。特に、複数税率になる今回の改革で、2段階で導入されることになります。2023年10月に施行される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」は、多くの事業者に徹底が必要制度で、マスコミは丁寧に説明、告知する必要があります。
 今までは、税率は一つでしたので売り上げに8%をかけて、仕入れにも8%をかければ、その差額から事業者が収める消費税額は簡単に計算できました。しかし、10%と8%の複数の税額が存在するようになると、売り上げや仕入れのうちどれが10%でどれが8%かを明確に分けないと納税すべき消費税は計算できません。
 また、今までは免税事業者からの仕入れに対しても、8%の消費税率をかけて支払いをしています。しかし消費税を免税事業者に払っても、免税事業者は消費税を納税しなくていい仕組みになっています。課税事業者側で支払った消費税は、そのまま免税事業者の手元に入ってしまっているのです。これを益金(益税)と言いますが、この問題もインボイス方式が導入されれば、解決することになります。
 この経理上の改革を2019年10月から2023年10月まで4年間かけて行います。その中には、事業者一つ一つに消費税事業者にかかわる「登録番号」を届け出る必要があります。
 この改革は、アンダーグランドに流れる取引、税の不平等をただすためには必要なものだと考えます。
 インボイス制度については、少し難しい解説になりますが、日立システム社の「『インボイス制度』は2019年、2023年の2段階で施行! 計画的なシステム改修を」というサイトが参考になります。https://bit.ly/2OE0nh1