日立電鉄バス
 12月13日、日立電鉄や茨城交通などを傘下に持つ持ち株会社「みちのりホールディングス」は、日立電鉄交通サービスと茨城交通を来年5月1日付で経営統合すると発表しました。茨城交通を法的な存続会社とする吸収合併を行います。統合後の社名は「茨城交通」となり、日立電鉄の名前は消えることとなります。人手不足が深刻な運転士の適正な配置に加え、営業・管理部門の統合でコスト削減を図ります。2022年をめどにICカードの共通化に踏み切る方針で、利用客増に力を入れるとしています。
 みちのりHDは2009年に茨城交通、昨年、日立電鉄の全株式を取得しました。両社の年間売上高は計100億円を超えまい。
 みちのりHDによると、統合を13日付の両社取締役会で決定し、国土交通省に統合を申請します。来年4月中旬には認可される見通しです。
 合併後の茨城交通はバス保有台数630台、従業員数1431人で、みちのりHGグループでは最大のバス会社となります。統合による人員削減は行わないとしています。
 茨城交通は県央、県北地域の12市町村、日立電鉄は県北地域の4市に路線バスを運行しています。統合に伴う路線変更はありません。
 合併は対等合併ですが、社名は「茨城交通」となり、いま「日立電鉄交通サービス」が走らせている路線バスも、今後は茨城交通の名前で運行されることになります。バスのデザイン変更等は、多額の投資が必要となるため、順次行う見込みです。
 両社の路線バスは一部重複している路線がある常陸太田市内で見直しを検討するほかは、路線の再編や人員の整理は行わないとしています。さらに茨城交通の「いばっピ」と日立電鉄の「でんてつハイカード」のICカードを共通化。他の公共交通機関との相互利用も視野に入れます。
 両社のバス運転士は、茨城交通が494人、日立電鉄が180人。人手不足を巡っては今年5月、より事態が深刻な日立電鉄の高速バス1便を茨城交通に移管するなど対応に迫られていました。
 両社の社長を兼務する任田正史氏は、地元紙のインタビューに「バス路線の移管は、ある程度の手続きが必要。一つの会社になれば運転士や車両を動かすだけで済む」と説明しています。さらに旅行事業など統合による効率化の余地はあるとしました。ICカードの共通化については億単位の投資が必要で、バスの位置情報を表示する「バスロケーションシステム」や自動運転走行の導入も視野に「将来必要な投資に回していけるような経営基盤をまず作る」と語りました。

みちのりホールディングス
 関東や東北の交通・観光事業会社の持ち株会社。傘下に岩手県北バス(盛岡市)、福島交通(福島市)、関東自動車(宇都宮市)など8事業者があります。保有するバスは約2400台に上ります。茨城交通は従業員807人で、バス471台、タクシー7台(11月末現在)。日立電鉄交通サービスは従業員624人で、バス159台、タクシー98台、レンタカー194台(11月末現在)。日立電鉄タクシーは日立電鉄交通サービスの子会社です。