SDGs副教材 日本ユニセフ協会と外務省が制作した「持続可能な開発目標(SDGs)」の副教材が2019年10月から、全国の中学校(約1万校)へ配布が始まり、子どもたちの学習に活用されています。副教材を使った初の公開授業と、専門家の見解などから、SDGsを教育に取り入れる意義を再確認します。
参考:「持続可能な開発目標(SDGs)」副教材/私たちがつくる持続可能な世界〜SDGsをナビにして〜/ポータルサイト
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/kyozai/

■副教材が完成、全国で活用へ
 「世界の格差をなくすため、国と国が交流を続けていくことが大切だよね」
 10月9日、東京都板橋区立赤塚第二中学校で行われた公開授業の教室は、議論する生徒たちの声が響いていました。これは、3年生の約30人がSDGsを学ぶ社会科の授業で、机にはカラー刷りの真新しい副教材が並んでいます。授業には、ユニセフのヘンリエッタ・フォア事務局長が視察に訪れました。
 副教材は、貧困撲滅や気候変動への対応などSDGsで掲げる17項目の目標を、図表や写真を用いて解説しています。副教材を使った授業は、<持続可能な世界にしていくために、これから何が必要か>という議論へ展開していきます。
 まず、生徒全員が17項目の目標について「何を優先すべきか」の順位をつけます。そして、その理由を3、4人の班に分かれ、互いの意見を発表。担当教諭は「友人の考えを聞いて、自分の意見を新しくしていこう」と呼び掛けました。
 話し合った内容を受け、生徒は、自分が取り組んでいきたい目標や課題を整理します。最終的に、「今できることは何か」、あるいは「将来取り組みたいことは何か」などの視点からレポートをまとめます。このレポートを基に生徒一人一人がSDGsの達成をめざす「行動宣言」を作成します。
■貧困、環境問題など知る契機に
 授業では、フォア事務局長も登壇し、「若い皆さんがSDGsを推進する力になる」と期待を寄せました。授業を終えた成田彩楽さんは「今回の授業で、貧困に関する現状などを知った。学んだことを多くの人へ伝えていきたいと思った」と感想を語りました。
 2017年に日本ユニセフ協会と外務省は、専門家会議を立ち上げ、2017年5月から1年間、教材の方向性や内容などを検討してきました。副教材は、主に中学3年生の社会科(公民的分野)での活用を想定しています。
 教材の作成作業に携わった赤塚第二中学校の中野英水教諭は「興味や関心を高められるよう、内容とともにレイアウトにも力を入れた。彼らが高校生になり、将来にわたり追求したいと思うテーマを見つけてほしい」と述べました。
 
■公明、教育の重要性を強調
 今回、新しく制作された副教材は、政府が2016年12月に決定した「SDGs実施指針」に基づいています。
 日本ユニセフ協会が取り組んでいたSDGsの学習を推進するための事業などが契機となり、同協会が外務省とともに新たな教材づくりに取り組みました。
 実施指針の策定に先立ち、公明党SDGs推進委員会が政府に要望。この中で、日本が国際協力で主導的役割を果たすよう訴えました。さらに、17項目の目標の中で、子どもの貧困対策を優先して取り組むべきだと主張し、未来を担う子どもたちにSDGsを根付かせるため、「教育に取り込むことが重要」と強調されていました。
(公明新聞2018/10/18付け記事より)