太陽光発電に関する「2040年問題」をご存じでしょうか?
地球温暖化を抑えることはもちろん、東日本大震災で原発が深刻なダメージを受けたことによる電力供給体制の立て直しの点からも、太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)の普及が重要なことは論を待ちません。
とりわけ太陽光発電は、薄い板状のパネルを設置すれば一般家庭でも利用できるため、再エネ電力の9割を占めるまでに拡大しました。
折しも経済産業省は、太陽光で発電した電気を電力会社が買い取る固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、2019年度の買い取り価格を検討しています。再エネの一層の普及につながる議論が必要です。
一方、これとは別に、太陽光発電は大きな課題に直面していることを指摘しておかなくてはなりません。すなわち、使い終わった太陽光パネルの回収体制が未整備であることです。
太陽光パネルの寿命は25年から30年とされており、FITが始まった2012年からパネルの設置が急拡大していることから、早ければ2040年ごろには大量廃棄が始まります。
環境省によるとパネルの廃棄量は、2020年の約2800トンから39年には280倍近い約78万トンまで急増する見込みです。これにどう対応するか、これが「2040年問題」です。
特に問題なのは、カドミウムなどの人体に有害な物質を多く含んでいることです。本来は水漏れを防ぐ設備のある「管理型最終処分場」での埋め立てが望ましいが、廃棄パネルの急増で、処分場の逼迫を招いたり不法投棄につながることが懸念されています。
また、太陽光パネルは破片であっても発電するため、不用意に触れれば感電する恐れもあります。回収から廃棄までしっかりと管理できる体制を築かねばなりません。
具体的には、太陽光発電事業者や産廃処理業者に対し、回収や廃棄に関する情報の周知徹底が不可欠です。さらに、リサイクルも推進しなければなりません。太陽光パネルには、リサイクル時に値が付きやすいアルミや銀が含まれているからです。
環境省が既に検討しているように、FITによる売電収入の一部を廃棄費用として積み立てることを事業者に求めることを提案します。