SDGs勉強会
 最近、新聞やテレビの中でよく聞くようになった「SDGs(エス・ディー・ジー・ズ)」という言葉。テレビ画面からも、日本企業のトップが鮮やかな17色の丸いバッチを付けている姿をよく目にするようになってきました。学校の授業や仕事を通じて「SDGs」を知った、という人も多くなったのではないでしょうか。とはいえ、日本でのSDGs認知度は約14%と、非常に低いのが現状です。
 SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいます。
 さて、このSDGs達成に向けた地方自治体の役割はどのようなものがあるのでしょうか。
 今地方が抱える最大の課題は、「地方創生」です。地方創生は、少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指しています。地方が将来にわたって成長力を確保するには、人々が安心して暮らせるような、持続可能なまちづくりと地域活性化が重要です。特に、急速な人口減少が進む地域では、くらしの基盤の維持・再生を図ることが必要です。
 SDGsは、先進国、開発途上国を問わず、世界全体の経済、社会、そして環境の三つの側面における持続可能な開発を、統合的に推進するものであす。その具体的な目標の追求は、日本の各地域における諸課題の解決に貢献し、地方の持続可能な開発、すなわち地方創生を推進するものなのです。
 SDGsにおいては、17のゴール、169のターゲットが設定されています。とともに、進捗状況を測るための約230の指標(達成度を測定するための評価尺度)が提示されています。これらを活用することにより、行政、民間事業者、市民等の異なるステークホルダー(関係者)間で地方創生に向けた共通言語を持つことが可能となり、政策目標の理解が進展し、自治体業務の合理的な連携の促進が可能となります。これらによって、地方創生の課題解決を一層促進することが期待されています。
 つまりSDGsは、国連レベルで取り決めた国と国との開発目標であるとと同時に、私たち市民生活に身近な地方自治体の施策の方向性を具体的に示すものなのです。

 2月7日、茨城県議会公明党が主催して、「SDGsと地方議会の役割」と題した勉強が開催されました。茨城県において自治体SDGsを推進させるために、地方議会で公明党議員が先導的な役割を担いたいという思いで開催されたものです。外務省や内閣府の政策担当者を招いた、有意義な会合となりました。
 この勉強会では、質疑応答中で自治体SDGsの推進の具体像として、将来ビジョンづくり、体制づくり、各種計画への反映、関係者(ステークホルダー)との連携、情報発信と成果の共有、ローカル指標の設定の6項目が明示され、さらに具体例として11項目を例示されました。
 国は、2020年までに、こうした具体的項目に一つでも取り組んだ市町村を、市町村全体の3割にしたいとしています。
 参加した県議、市町村議員からは、茨城県は100%を目指したいとの声が上がりました。
自治体SDGsの推進の6つの視点
◎体制づくり
*部局を横断する推進組織の設置
*執行体制(人材・予算・権限・進捗管理)の整備
◎各種計画への反映
*各種計画(総合計画、地方版総合戦略、環境基本計画)にSDGsの要素を反映し、進捗管理するガバナンス手法を確立
◎関係者(ステークホルダー)との連携
*域内の連携(住民、企業、金融機関、教育・研究機関、NPO等)
*自治体間の連携(国内)、国際的な連携
◎情報発信と成果の共有
*内部における勉強会の開催、セミナー・シンポジュームの開催
*成功事例の国内外への発信
◎ローカル指標の設定
*取組を的確に測定するためのローカル指標の設定
 さらに、SDGsの先進的に取り組んでいるつくば市からは、市町村が総合計画などで掲げるKPIとSDGsの230の具体的な指標をどのようにリンクさせるべきかとの質問が寄せられました。国は早急にこの自治体の具体的な目標とSDGsの指標との関連性を示したマニュアルを作成するとしました。