自殺数の推移
 3月は、最も自殺が多い月であることから「自殺対策強化月間」に位置付けられています。
 警察庁の集計によると、日本の年間自殺者数は、9年連続で減少しているものの、2018年には2万598人もの尊い命が失われています。
 年齢別では、40歳未満を見ると2018年は5192人となりました。このうち、19歳以下の自殺者数はここ10年余り、500〜600人台で推移し、20代以上が前年同期より軒並み減少する中、この世代だけが575人と増えています。
 全国の15歳から39歳までの死因第1位は自殺です。若者の命を守るため、自殺対策が充実が喫緊の課題です。
 2006年には、自殺防止と自殺未遂者や自殺者の遺族への支援を、国や自治体の責務として明記した自殺対策基本法が成立しました。これにより、自殺の発生を未然に防ぎ、自殺者数を減らしていくための自殺予防に向けた取り組みが進められるようになりました。
 国は07年以降、文部科学省の電話相談窓口「24時間子供SOSダイヤル(0120―0―78310)」の設置や、自殺の危険を示すサインに気付き、適切な対応(声を掛け、話を聞き、必要な支援につなげ、見守る)をする厚生労働省の「ゲートキーパー」養成などの対策に取り組んできました。
 地方自治体でも、心の健康状態をチェックできる「こころの体温計」の導入などを推進しています。
■自殺対策基本法改正法施行(2016年)で対応強化
 さらに2016年4月には改正自殺対策基本法が施行され、これまで国だけに義務付けていた自殺対策の計画策定が、自治体にも求められるようになりました。
 この法律に基づいて17年7月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」には、「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」ことが明記され、具体的な施策として、困難やストレスへの対処方法を身に付ける「SOSの出し方教育」や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用も盛り込まれました。
 実際にSNSを用いた自殺対策が、各地で進んでいます。
 文科省は今年度から「SNS等を活用した相談体制の構築事業」をスタートさせました。北海道、東京都、大阪府、兵庫県、名古屋市など19都道府県11市ですでに実施され、全国的な広がりを見せています。茨城県も、8月に試行的に相談事業を行う予定です。
 10代から30代の連絡手段はSNSが圧倒的に多いので、若い世代からさまざまな声が寄せられるなど好評です。
 公明党は、自殺対策基本法の制定をリードしました。さらに、11年2月には「自殺防止対策プロジェクトチーム」を党内に設置し、同法改正の成立に尽力するなど、自殺対策を強力に進めてきました。SNSの相談事業については、党長野県本部青年局の推進により、17年9月、長野県がLINE株式会社と協定を締結して県内の中・高生を対象にLINEを利用した、いじめ・自殺相談を試行したところ、わずか2週間で前年1年間の電話相談の倍以上となる相談が寄せられました。
 こうした取り組みを参考に、党文部科学部会が17年11月、LINEなどを活用した、いじめ・自殺相談体制の構築を安倍晋三首相に要請し、SNSの相談事業の実現に結び付けました。公明党の国と地方のネットワークの力が、いかんなく発揮されているわけだね。
 公明党の推進で、今国会で審議されている19年度予算案にも、SNSの相談体制の充実に向けた費用を計上されています。