茨城製作所を訪問
■工事不要の水力発電機でネパールの山村に明かり
 茨城県議会公明党(代表:たかさき進県議会議員)は、県内中小企業のSDGs普及促進を図っています。
 SDGsの中核のコンセプトは「誰も置き去りにしない」であり、SDGsの取り組みを全国の隅々まで行き渡らせるには、日本企業の99.7%を占め、人々に生活の基盤を提供している中小企業の参画が不可欠です。
 さらに、SDGsへの取り組みは、今後の中小企業の経営にとっても非常に重要です。
 SDGsを基軸にビジネスのルールが大きく変化しつつあり、中小企業もこうしたルール変更に乗り遅れることは許されません。

 2月8日、日立選出の村本しゅうじ県議ともに、日立市神峰町の株式会社茨城製作所を訪問し、菊池伯夫社長より同社の取り組みについてご説明を伺いとともに、製品を見せていただきました。
 茨城製作所は、戦後間もない1946年の創業した回転電機(モーター・発電機・補機類)の製造全般や修理・オーバーホール、コイル巻替え、機械加工を手掛ける、工都日立の中小企業です。永年にわたり、日立製作所ならびに日立グループ各社の協力会社として、社会のあらゆる場面で重要な役割を果たしてきました。
 現在、茨城製作所は電気のないネパールの山村に、土木工事不要の水力発電機を届けようというプロジェクトに取り組んでいます。茨城製作所が開発した軽水力発電機「Cappa(カッパ)」は、小川や水路に沈めるだけで発電が可能です。現在、国際協力機構(JICA)の中小企業海外展開支援事業を活用した実証事業を進めています。

 貯めた水を一気に落下させる通常の水力発電はダムなど大規模インフラ建設が必要です。これに対してCappaは本体重量57キロと大人2人で持ち運びができます。流水の力でプロペラを回し発電を行う仕組みで、重機が使えない不便な場所にも設置でき、自然環境に負荷を与えないのが大きな特長です。
 「貧困地域に安定した電力を供給することにより、教育環境と生活水準の向上を後押ししたい」と菊池社長は語っていました。これまで子どもたちは暗い学校教室での勉強を強いられ、明かりのない自宅では夜に内職や学習ができず住民は低所得。Cappaの導入によって、LED照明やスマホの充電も可能になったほか、女性を対象にした夜間クラスも開かれるています。
 モーターなどを手掛けてきた茨城製作所が、Cappaを開発したきっかけは東日本大震災での停電でした。電気のない不安を体験し、自然エネルギーを活用した商品開発をめざす「earth milk(地球のミルク)」プロジェクトを立ち上げました。
 Cappaに続いて、ペットボトル大の軽水力発電機「Kingyo(キンギョ)」も完成させました。菊池社長は、「いまだに電気のない、世界の4分の1の地域にも明かりをともしたい」と、この先の取り組みを力強く語ってくれました。

ヨーロッパのニュースチャンネル「euronews」で茨城製作所が紹介されました。
 現在JICAのODA事業で、茨城製作所が進めている軽水力発電機CappaとKingyoの導入による、ヒマラヤ山間地域の生活水準の向上を目指すプロジェクトが euronews(ユーロニュース)の取材を受けました。その模様が2018年10月18日に、「global Japan」という番組で放送されました。euronews はフランスに本社のあるニュース専門チャンネルで、世界160カ国で視聴され、13言語に対応しています。日本ではひかりTVで、英語とフランス語の2ヶ国語で放送されています。
 取材では、軽水力発電機Cappaを導入した小学校とそこに通う女子小学生の生活、Cappaの現地製造の様子、ネパールの自然や現地の人々の生活などが、弊社社長 菊地のインタビューも交えて約4日間かけて撮影されました。
 未だにネパールの山間地域では電力が不足していて、子供は夜、勉強できず、親も内職が出来ず、外灯もないため夜間は外を安心して歩けません。
 今回の取材で、小学校に通う女子小学生が、Cappaで発電した電気で充電したランタンを自宅に持ち帰り、昼間でも真っ暗な室内に明かりを灯し勉強が出来た話や、嵐の恐怖で怯えた時にランタンの明かりでとても安心できた話を聞けて感動しました。
 4日間にも渡る撮影でしたが、私たちプロジェクトスタッフにとっても大変興味深く充実した内容でした。
 これからも、CappaやKingyoでより多くの方に明かりを届けていけるように頑張って参ります。
(茨城製作所のブログより:http://www.ibasei.jp/news/934/