令和の曙
 皇太子さまが、きょう新天皇に即位されました。
 平成の30年余、憲法に基づく象徴としての務めを果たされてきた上皇さまに多くの国民が敬愛の念を深め、新天皇陛下も祝意に包まれる中で即位されました。皇室の一層の繁栄を国民と共に心からお祈り申し上げます。
 きょうから元号は「令和」に改まりました。
 時代の節目に当たり、今後の日本の針路について考えてみたいと思います。
 わが国が直面する最も大きな課題は人口減少と少子高齢化にほかなりません。6年後に団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、およそ20年後には65歳以上の人口がピークを迎えます。一方で労働力人口は加速度的に減少します。
 これらに対処する手だてとして、全世代型社会保障の本格的な展開や、その財源を確保する消費税率の引き上げ、働き方改革といった重要な取り組みが、奇しくも令和スタートの年に始まります。一つ一つを着実に前に進め、課題解決へと道を開かねばなりません。
 国際社会も日本の取り組みに注目しています。とりわけ中国や韓国をはじめアジア諸国は、日本を追うように少子高齢化が進むとみられるだけに、日本が課題克服のモデルを示す意義は絶大です。
 災害対策についても同じことが言えます。平成は大規模自然災害が相次いだことから、官民を問わず防災・減災策の拡充に総力を挙げています。世界的にも気候変動による災害が激甚化する中、日本が蓄えてきた知見や優れた技術は諸外国の取り組みにも貢献できるはずです。
 欧米では格差の拡大が社会・政治の分断を生み、ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭を招いています。これに比べ日本の政治は安定しています。その要因として、社会の隅々にまで政治の光を当て合意形成型の政治を主導する公明党の存在を指摘する識者は少なくありません。
 今後、経済や外交・安全保障の面でも国際社会の中における日本の役割が問われる場面が訪れるでしょう。生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義を理念とする公明党が果たすべき責任はいや増して大きいと確信します。この自覚を一層深くし、新しい時代に臨みたいと思います。
退位礼正殿の儀の天皇陛下のおことば
(平成31年4月30日)

今日(こんにち)をもち、天皇としての務めを終えることになりました。
ただ今、国民を代表して、安倍内閣総理大臣の述べられた言葉に、深く謝意を表します。
即位から30年、これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します。
明日(あす)から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。

即位後朝見の儀の天皇陛下のおことば
(令和元年5月1日)

日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました。
この身に負った重責を思うと粛然たる思いがします。
顧みれば、上皇陛下には御即位より、30年以上の長きにわたり、世界の平和と国民の幸せを願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら,その強い御心(みごころ)を御自身のお姿でお示しになりつつ、一つ一つのお務めに真摯に取り組んでこられました。上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます。
ここに、皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します。