5月10日、幼児教育・保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法と、所得が低い世帯の学生を対象に大学、専門学校など高等教育を無償化する大学等修学支援法が、参院本会議で与党と国民民主党などの賛成多数により可決、成立しました。
公明党の長年の主張が実現する。こともあおろうに立憲民主党と共産党は反対しました。いずれの無償化も、財源には、今年10月の消費税率10%への引き上げによる増収分を活用します。
改正子ども・子育て支援法により、3〜5歳児(就学前3年間)は全世帯、0〜2歳児は住民税非課税世帯で10月1日から認可保育所などの利用料が無料になる、画期的な制度改革となります。約300万人の子どもが恩恵を受ける見通しです。
認可外保育施設(ベビーシッターなど含む)や幼稚園の預かり保育の利用者にも一定の上限額を設けた上で費用を補助します。
給食費は無償化後も引き続き自己負担になるが、公明党の主張で、おかずなどの副食費の免除対象は現在の生活保護世帯などから、年収360万円未満の世帯にまで広げられます。
大学等修学支援法は、所得が低い世帯の学生を対象に、授業料減免や返済不要の給付型奨学金を大幅拡充することで高等教育を無償化します。来春2020年4月から、新入学生だけでなく、在校生も対象となります。
減免の上限額は、国公立大が入学金約28万円、授業料は年間約54万円、私立大は入学金約26万円、授業料約70万円など。給付型奨学金の上限額は、国公立大などに通う自宅生は約35万円、自宅外生が約80万円。私大などは自宅生が約46万円、自宅外生は約91万円となります。
公明党は、今回の高等教育無償化の対象にならない中間所得層でも負担軽減を図るよう訴えており、政府は「検討を継続する」方針です。
反対のための反対/理解しがたい立憲民主党の対応
今回の法改正に、立憲、共産の両党が反対したことには、驚きを禁じ得ません。保育ニーズが高まり、待機児童が増えると主張していますが、待機児童対策は無償化と並ぶ車の両輪です。両方とも進めていくことが重要なのは論を待ちません。保育利用率が3割超の0〜2歳児は、まず一部世帯への無償化を行った上で、無償化の拡大と保育の受け皿確保を進めていくという決断です。無償化と待機児童対策のどちらかを優先するという考えではありません。両方重要なのです。
国の基準に満たない施設も対象としたことについて、保育の質の低下につながるとの指摘もあります。都市部では認可保育所を設置するための立地の確保が難しいことから、認可外や自治体独自の認証保育所が生まれています。そうした背景を無視した主張です。どのような形態であれ、保育の必要がある家庭に対する経済的支援が求められています。その上で、基準に満たない施設には、きちんと改善を誘導していく姿勢が重要です。
なぜ立憲民主党が反対なのか、理解できません。旧民主党は、社会保障制度が高齢世代に偏っていると批判してきました。消費税を生かし、子育て支援を社会保障の柱の一つに据える「社会保障と税の一体改革」の議論も忘れてしまっています。いたずらに政府・与党に反対することに、自身の存在意義を置いてしまっています。日本の社会に責任感を貫けない対応は厳しく批判されるべきです。
今後とも、子育て世代に安心感を持ってもらえるよう説明を、政府は説明を尽くしてもらいたい。